2007年の5月27日に、3年生の授業を終えて帰ってきたら、机上のパソコンに同僚の先生からメールが入っていて「先生、ZARDの坂井泉水さんが亡くなりました!」とあり、愕然としました。病気(子宮頸がん)だったことも全く知りませんでした。手すりに乗っていて3メートル下に転落、病棟脇の非常階段で倒れているのが発見。脳挫傷でした。まだ40歳!ZARDの歌は大好きで、昔はファンクラブにも入って応援していたものです。先月4月14日(土)付の『朝日新聞』の朝刊別刷り「be」の『うたの旅人』というページで、ZARDの「負けないで」が2ページに渡り詳しく取り上げられていて、懐かしくもあり、思い出していました。命日が近づいています。
坂井泉水さんは、メディア露出が極端に少なく、「テレビ等に出演しない」というスタイルを貫いた先駆者です。デビュー当初はともかく、3年目にシングル「負けないで」で大ブレイクして以降は、テレビ出演・ラジオ出演がほとんどなくなり、全盛期にメディア露出やライブを全く行わなかったため、世間に露出をしないアーティストとして強く印象付けられることになりました。デビュー以来3700万枚以上のCDを売り、16年間の歌手生活でテレビ出演はたったの7回。「テレビに出なかったのは,彼女が極度に緊張してしまい、良さが伝わらないと考えたから。それに何より、曲作りに力を傾けていたから」とプロデューサー。彼女の魅力は何と言っても、その研ぎ澄まされた詩にあります。以前に「追悼展」で直筆のノートを見る機会がありましたが、言葉を選び、何度も何度も詩を書き直している様子が伝わってきました。一切の妥協を許さず、レコーディングの最終段階では20回でも30回でも歌い直したといいます。90年代に最も売れた女性シンガーですが、ただのアイドルではなかったことがうかがえます。昨年出た3枚のDVDを見ながら思い出に浸っていました。