冠詞とアームストロング船長の汚名

 That’s one small step for a man, one giant leap for mankind.(一人の人間にとっては小さな一歩だが、人類にとっては大きな飛躍だ)という有名な言葉がありますね。1969年、人類初の月面着陸に成功したニール・アームストロング船長が言った言葉とされ、誰もが知っています。この言葉をめぐってチョットした論争があったことをご存じですか?当時船長の言葉を聞いた人には、前半部分のaが聞き取れず、manのままでは「人類」の意味となり、結局「人類にとっては小さな一歩で、人類にとっては大きな飛躍だ」と訳の分からない文章になってしまいます。アームストロング船長の「文法ミス」を指摘する声も一部には聞かれたと言われています。ご本人はaを発したつもりだと主張されました。

 2006年に、オーストラリアのコンピュータ専門家が当時のデータを分析、人間の声に聞こえる通常の長さのわずか十分の一ではあったが(0.035秒)、aが発声されていたことが分かったのです。ハイテク技術のおかげで船長の長年(37年)の汚名ががそそがれることとなったわけですね。

 高校で作文を教えていて常にぶつかる問題が、この「適切な冠詞の選択」ということです。何せ、冠詞は日本語にないものです。生徒は平気で普通名詞を裸で使ったりします。英文を読んだり、聞いたりする時は、何とかごまかせても、どうにもならないのが、自分で英文を書くときです。一歩間違うと、ネイティブ・スピーカーから、アームストロング船長が受けたようなバッシングを覚悟しなければならなくなります。それだけ、ネイティブにとって、冠詞の有無は重要だということなんですね。私は教室で、「英語には3枚のパンツがあります。(1)a/an、(2)the、(3)~s、の3つです。ノーパンはいけません!必ずパンツをはきましょう。」と説明しています。

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