「驛舎」

 私の大好きなさだまさしさんの歌に、「驛舎」(えき)(1981年)という名曲があります。疲れた時には、いつもお風呂の中で流して聞いています。都会で疲れて故郷に戻ってきた女性を、駅舎に迎えに来たかつての恋人だったろう男性の、大げさに励ますでもない、さりとて過去を責めている訳でもない、ただ『重い荷物』を手にとってあげているだけ、それだけで伝わる優しさ…優しさが溢れ出る詩の世界、さださんの真骨頂がたっぷりと楽しめる曲です。心に沁みる詩の世界、それがさださんの魅力です。       →★聞いてみたい方はコチラへ「驛舎」

君の手荷物は 小さな包みがふたつ
少し猫背に 列車のタラップを 降りて来る

驚いた顔で 僕を見つめてる君は
夕べ一晩 泣き続けていた そんな目をしてる

故郷訛りの アナウンスが今
ホームを包み込んで

都会でのことは 誰も知らないよ
話す事もいらない

驛舎に降り立てば それですべてを
忘れられたらいいね

 彼はこの曲を、作曲家服部克久先生の命で、箱根の山荘にこもり一晩で書き上げ、翌日レコーディングするという離れ業を演じました。長崎駅の一番線ホームをイメージして作った歌です。お父様の故服部良一先生曰く「音楽作品というものは、その音楽家が自分の命を削って作り出す音楽の神様に捧げる供物のことをいうんだ」と。命がけで書け!という教えです。出来上がったこの楽曲を、音楽評論家の故こすぎじゅんいち氏は、長崎駅のホームをこの歌を聴きながらゆっくり歩いたら、改札口にたどり着いた時にこの歌が終わった。「計算して書いたの?」とさだに尋ねます。当時は、書く方も聞く方も、命がけだったんですね。

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