Waiter/ Waitressの危なさ

 次に挙げるのは、現行の英和辞典に堂々と載っている用例です。

Waiter, three coffees, please.
Waiter! Check, please.
Waiter, two sirloin steaks, pelase.
Waitress! Two coffees, please.

確かに「呼びかけも可」(ジーニアス英和辞典)とありますし、私の手元にも数多くの小説からの用例があります。しかし、です。ちょっとこれは安易すぎる扱いと言わねばなりません。なぜなら「非常に失礼」「無礼」な印象を与えると感じるネイティブスピーカーが多いからです。かつてLDCE2が、”though some  people consider that this is impolite”と、Language Noteで注意を促したことに注目しましょう。詳細な調査の結果、次のようなことが判明しました。

①呼びかけ語としてのWaiter, Waitressは無礼に受け取られる可能性が強い。
②その度合いはWaitressのほうがWaiterに比べて強い。
③目で合図したり、手招きで合図を送るのが無難。
④Missと呼びかけることはあってもSirとは言わない。 
         *”Excuse me, ...”/ ”Server, ...” はどうでしょうか?

  辞典や参考書に載っているからといって、それを鵜吞みにすることの危険性を表す好例だと思います。さすがに山岸勝榮教授は『スーパーアンカー英和辞典』で「なお、呼びかけるときは、Waiter!などと言わないで、名前を呼ぶのが普通(向こうから自己紹介するか、大きな名札をつけている)」と注意を促しています。詳しくは私の「ボリンジャー博士の語法診断」『現代英語教育』 3月号、1991年に述べてあります。ボリンジャー博士やイルソン博士のコメントもそこに載っていますので、ご参考になさってください。ダウンロードサイトに登録しておきますね。

  • 「ボリンジャー博士の語法診断」(12)『現代英語教育』3月号 1991年(研究社)

    今日も私のブログをのぞいていただきありがとうございました。今週はチョット嬉しいことがありました。

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