学力はまず生活から!

 その昔、サッカーの強豪校国見高校小嶺総監督が、全国制覇した時の優勝インタビューで、「監督、どんな練習をしたらこんなに強いチームができるのですか?」という質問に答えて、「特別のことはやっていません。ただ、①挨拶のできる子、②返事のできる子、③後始末のできる子、を作りたいと思っています。」と、テレビで言っておられたのが強く印象に残っています。サッカーの「技術」に関する言葉は一言もありませんでした。生徒達にもよくこの話はしてやるんです。

 私が若い頃、顧問をしていたソフトテニス部で、夜6時半に練習が終わると、部室にも戻らずどこかに消える部員が2人いました。いったい何をしているのだろうと思って、この生徒たちの後を付けてみる(!)と、体育館下にある雨天練習コートの草むしりを黙々としていたんです。練習でクタクタになっている体でです。これには感動しましたね。この生徒達は初心者だったんですが、個人戦でも県6位に入りインターハイまで出場しました。この生徒のペアを団体戦の常に3番手に置いて、勝負所で全試合を競り勝ち、総体では県で団体優勝し、中国大会・インターハイに出場しました。「心」が勝たせてくれた、と確信しました。忘れられない生徒達です。こうした素晴らしい生徒たちのおかげで全国いろいろな所へ行かせてもらいました。今ではいい想い出になっています。彼らが立派な指導者になっているのも嬉しいことです。

 「学力をつけるためにはどうしたらいいのですか?」という質問には、「まず生活から」と答えることにしています。テストの点さえ取れればそれでよし、では必ず壁にぶち当たります。礼儀を、挨拶を、マナー、日頃の生活習慣を大切にすることが、学力の増進に大きなウェイトを占める、と言ったら、不思議に思われるでしょうが、実は本当なんです。長い教員生活の末、到達した結論がこれです。

(後日談) 2004年島根県でインターハイが開催された時に、この小嶺さんのチームを益田市で実際に目にしました。会場の補助員達に上の話をしてやり、生徒達によ~く見ておくように言っておいたんです。ところが残念ながら、会場入りしても、補助員たちには挨拶も全くしない。サッカー関係者(大学のスカウトを含む)には大きな声で挨拶。言っていることと、実際の行動のギャップに失望しました。世の中こんなもんですかね。

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