稲盛和夫(京セラ名誉会長)先生の『ゼロからの挑戦』(PHPビジネス新書)を読みました。この人は京セラを世界の大会社に導いただけでなく、NTTの独占に対抗して作ったKDDIも大成功し、破綻して瀕死の重傷であったJALも一気に奇跡の黒字回復するなど(世界の航空会社の中で最高収益)、手がける事業すべてに結果を出しておられる名経営者です。その基本理念は「人間として正しいことを正しいままに追及する」ということです。先生がよく口にされる「利他」の考えもこれに基づくものです。月刊『致知』(致知出版)にはよく登場する概念ですね。事業を通じて、従業員をはじめ世の多くの人に貢献したい、という崇高な考え方を持っておられるところが、成功の秘訣だと思います。
稲盛先生は、人生成功の方程式というのを提唱しておられて、それは
(人生・仕事の結果)=(考え方)×(熱意)×(能力)
というものです。私が教室でよく紹介する方程式です。掛け算であるところと、「考え方」が一番前に来ているところに注目しましょう。(能力)は0点―100点まで、(熱意)も0点―100点まで、(考え方)はマイナス100点―プラス100点まであります。(考え方)はその人の魂から発するもので、生きる姿勢ともいうべきもので、人間として正しい生き方がどうかが問われるのです。私利私欲に走る人が失敗するのはここに原因があると言えるでしょう。これは、教育の世界でも通用する方程式だと思っています。
「どうしてもこうありたい」という強い願望、「何としてもやり遂げなければならない」という強い責任感、さらに「弱音を吐くな」と自分を励ます強い意思、を持って事にあたれば、必ずや成功に導くことができるというのです。情熱を持ち続け、生真面目に努力を続ける、といういかにも愚直な方法こそが、成功をもたらす秘訣であることを、毎日生徒に話しているところです。こうした稲盛哲学を手っ取り早く知るには、最近中国人経営者・曹岫雲の書いた『稲盛和夫の「人生の方程式」』『稲盛和夫の「成功の方程式」』(サンマーク文庫)の2冊が、文庫本で出ましたからこれを読むとよいでしょう。
最近、熊本で広岡達朗(大好きな巨人の名ショート選手で、西武の監督として黄金時代を築いた)さんの提唱する「勝者の方程式」を紹介して、これが「野球」だけでなく、「教育」の世界にも通用する考えであることを述べました。参加されたみなさんに納得していただいたようです。ご参考までに私がまとめたレジュメをダウンロードサイトに登録しておきます。この資料の中の「指導者」「監督」という単語を「教師」に置き換えて読むと、教育の世界で勝利するコツが見事に見えてきますよ。先生方、ぜひご覧になってみてください。
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広岡達朗の「勝者の方程式」