「KISSの法則」

 昨日10月28日(日)、鳥取県立米子東高等学校の専攻科・3年生のみなさんにお話をさせていただきました。その中で触れた英作文のコツとしての「KISSの法則」*のお話です。Keep It Short and Simple(短く簡潔に)の頭文字をとって「KISSの法則」と呼んでいます。まず「短く」は、長~い日本語の文章を英語に直す時に、そのまま英語に直して、つながりを間違えてしまう生徒が多く見られます。実は、必ずしも1文で書く必要はなく、2文、3文に分けて書くと割と楽に書くことができるんです(翻訳を求められているのではありません。意味を伝えればよいのです)。京都大学大阪大学などの難しい英作文を書くときに効果を発揮します。もう一つの「簡潔に」は、決して難しい単語や表現を使う必要もないし、また使ってはならない(当然間違える確率は高くなるのですから)というものです。数年前に松江北高から東大の理科三類に合格したWくんは、決して難しい単語を使わずに、中学生のような簡単な語句を使って作文をしてきていました。これが秘訣なんです。難しい」ことをいかに「簡単に」書けるか、これが英語の力だと思います。ここらへんの詳しい解説は、毎度おなじみの山下りょうとく先生(河合塾)ホームページの中の、「紙上特別講義」の「第8回」をご覧ください。これは英作文の解法の秘訣のいっぱい詰まった、お薦めの解説です。受験生のみなさんにぜひ読んでもらいたい貴重な資料ですよ。

*この言葉は、航空機メーカーロッキード社の技術者のケリー・ジョンソンによって造られたもので、一般には “Keep it simple, stupid” (シンプルにしておけ!この間抜け)と解釈されますが、ジョンソンは “Keep it short and simple” (簡潔に単純にしておけ)の意味で用いていました。専門家の独り善がりに警鐘を鳴らす意味があります。この原則の実例として、ジョンソンが設計チームに一握りの工具を手渡して、平凡な整備員が戦闘中に故障しても、この工具だけを使って修理ができるようなジェット戦闘機を開発しろ、と課題を出したと言われています。「オッカムの剃刀」もほぼ同じような意味で使われますが、この話はいずれまた。

 今回このような機会を与えてくださった、米子東高校専攻科主任の福田理壽先生、依藤典篤校長先生、さらには一生懸命聞いてくれた生徒のみなさんに感謝いたします。終わってからもゾロゾロと質問に来てくれた多くの生徒のみなさん、メールでさらに質問してくれた生徒のみなさんから、八幡は元気をもらって今週も過ごせそうです。ありがとうございました。

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