ブックテスト

 年末に古いマジック道具を整理していたら、懐かしい本が出てきました。直木賞作家の泡坂妻夫(あわさかつまお)さんの『しあわせの書 迷探偵ヨギガンジーの心霊術』(新潮文庫)です。紋章上絵師が本職でしたが、推理作家として、また人情小説家IMG_1269として人気のあった方です。2009年の2月に75歳で亡くなられました。実はこの方はマジックの世界では有名な方で、泡坂妻夫」というペンネームも、本名の「厚川昌男」を組み替えた茶目っ気たっぷりの名前なんです。ATSUKAWA MASAOを組み替えてみてごらんなさい。AWASAKA TSUMAOという名前が作れるでしょう。こういうのを英語では「アナグラム」(anagram)と呼ぶんです(「タモリ」は「森田」のアナグラムです)。小説家としてだけでなく、奇術愛好家兼奇術師として、1969年には第2回石田天海賞を受賞しておられます。また自身の名を冠した「厚川昌男賞」という創作奇術家賞が設けられています。泡坂妻夫マジックの世界』(東京堂、2006年)という専門書も書いておられます。この本の最後に出てくる「ワープナイン(名付け親はマックス名人です)というパズル傑作が私は大好きで、マジックランドで何個も買ったことを覚えています。不思議ですよ(現在は「魔術館の♥9」の名前で販売されています)。

 さて、上の『しあわせの書』に戻りますが、これは立派な小説であると同時に、とんでもない「仕掛け本」でもあります。本の好きなページを開きます。 そこに書いてある単語を、マジシャンはそのページを見ること無く当てることができるという「ブックテスト」というメンタルマジックの分野があるんですが、この本はそれができるある巧妙な仕掛けが施してあるのです。昔マジックを覚えたての頃、教えてもらって本屋に買いに走った思い出の一冊です。よくもまあこんなに手の込んだ本が作れたものです。今でも手に入ると思いますので、興味ある方はご覧になってください。ただし、著者が扉に書いておられるように「未読の人に「しあわせの書」の秘密を明かさないでください」となっていますので、この本のどこを見てもその秘密は書いてありません。ご自分でいろいろと観察して考えてみるしかないのです。以前に、この本でずいぶん高校生をビックリさせたのを覚えています。本が傷んでいるのが証拠ですね。

 「ブックテスト」と言えば、それはもうたくさんの商品が出ていまして、日本のもの、アメリカのもの、イギリスのものと、私も沢山持っていますが、極めつけは「ブックテスト最終兵器」(フェザータッチマジック)ですね。2003年1月3日、テレビの特番でMr.マリックさんが演じているのを見て、どうしても欲しくて捜しに捜して手に入れた傑作です。もう十年前のことですが、当時9000円もしました。今でも売れているみたいですね。保護者の前でこれをやって非常に受けたことを思い出します。♠♣♥♦

  観客にまず一冊の本をよく改めてもらった後、好きなページを選んでもらいます。そのページを開いて、数行を心の中で読んでもらいます。そこに描かれている、登場人物(固有IMG_1270の名前を持った人物であったり、ある時は男性、または女性、子供等)や、出来事、そして場面を、声に出さずに読みながら、ゆっくりとシーンを頭に描いてもらいます。マジシャンは、静かに相手の思考・イメージを読み取りながら、生々とそのシーンを再現していきます。驚いている観客に、そのページを声を出して読んでもらいますと、今、マジシャンによって描かれたシーンとピッタリ一致するのには、他の観客も絶句します!今度は別なページでやってみせます。一切相手の持っている本をのぞき見ることなく、触りもせず、また何度でも繰り返し即演じることができるのです。

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