日本語の面白さ

 とっても面白い本が出ました。日本語研究会(編)『「かど」と「すみ」の違いIMG_3351を言えますか?』(青春文庫、630円)がそれです。私は学生時代に、国広哲弥先生の講義を受けて以来、このような日本語の微妙な類義語には、とても興味を持つようになりましたことばの意味』シリーズはなめるように読んだのを覚えています。英語ではどちらもcornerと言いますが、みなさんは「かど」「すみ」の違いは分かりますか?私は以前このブログで、英語の副詞recentlylatelyの違いを取り上げたことがありますが、そこで日本語の「最近」(さいきん)「近頃」(ちかごろ)の違いについても触れました。日本語もなかなか一筋縄ではいきませんね。⇒コチラ

 では皆さんは、「上がる」「登る」の違いを、日本語を勉強中の外国人に説明できますか?この本には(p.15)、次のような説明があります。

▲「あがる」は、それほど苦労をしないで上に達する。「のぼる」は、時間や体力を使って、苦労をして上に達する。「富士山にあがる」というと、イメージするとしたら、ヘリコプターやエレベーターで頂上に達する感じ。

 もう少し突っ込んで考えてみましょう。確かに「山にのぼった」とは言えますが、「山にあがった」は不自然ですね。でも山を「山頂」に変えたらどうでしょう?「山頂にあがった」はOKでしょう。「ヘリコプターを使って山頂にあがった」も許容可能ですよね。この点を考えると、「あがる」は「移動経路」ではなく「到達点」に焦点を当てる表現ということが言えると思います。「山」は山全体を指す言葉ですが、「山頂」はある一点を指す言葉です。したがって「山」を「山頂」に変えると、「移動経路」よりも「到達点」が強調されるようになるのです。「移動経路」の存在が強く意識される登山では、「あがる」を用いることはできません。「のぼる」は「到達点」ではなく「移動経路」に焦点を当てる表現です。「歩いて山にのぼる」「ケーブルカーで山にのぼる」はOKですが、「ヘリコプターで山にのぼる」は不自然です。ここら辺の様子を、「のぼる」を「アナログ時計(長針と短針が少しずつ動いて時を刻んでいく)に、「あがる」「デジタル時計(ある時期にパッと時間が変わる)にたとえて説明しておられる学者もおられます。

 昔、大学でアメリカ文学を教えていただいたサンフォード・マロビッツ博士に、目くじらを立てる」という日本語の表現は、「くじら」と何の関係があるのか教えてほしい、とお手紙をいただいたことがあります。必死になって調べたのがいい思い出です。日本語の難しさを感じます。

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