利他

 このブログでも何回か取り上げてきましたが、稲盛和夫さんの「利他の心」です。人間の性(さが)として、私たちはどうしても自分中心に考えてしまいがちです。もっと欲しい、こうして欲しい、とまわりに望むことばかりが多くなり、我欲が先立つのです。伝教大師最澄(でんぎょうだいしさいちょう)の言葉に『好事は他に与え、悪事は己に迎え、己(おのれ)を忘(わす)れて他(た)を利(り)するは慈悲の極みなり』という言葉があります。自分のことは後回しにしておいて、まず人に喜んでいただくことをしましょう、それは仏さまの行いで、そこに幸せがあるのだという言葉です。つまり我欲が先に立つような生活からは幸せは生まれないのだという教えです。この教えを「忘己利他」(もうこりた、「もう懲りた」ではありませんよと言います。
 「インドの母」と言われた故マザー・テレサさんの講演のなかで、こういう話がありました。ある日、七人の子供をかかえる貧しい母親のところへ、マザー・テレサは両手いっぱいほどのお米を持って行ってあげたのでした。するとその母親はそのお米の半分を手にして、外へ出ていきました。マザーが問うと、隣りにも自分たちと同じような貧しい親子がいるので、そのお米を分けてきたのだ、と言うのでした。一俵もあるお米ではありません。自分の子供たちの一食分にも足りないお米でさえ、それを半分にして、隣りの子供たちも喜ぶだろうと分けてやれる崇高な精神に、マザー・テレサも感動したのです。 

IMG_3514 最近、稲盛和夫・瀬戸内寂聴『利他 人は人のために生きる』(小学館文庫、520円)が出ました。これは2011年12月に出た同名の単行本に解説を加え、文庫化したものです。阿川佐和子さんも勇気づけられた奇跡の対談」と帯にうたってあります。私もまた買って再読しましたが、勉強になるところの実に多い、心に染みる本でした。みなさんにお薦めしたいと思います。詳細なレビューはコチラをご覧になるといいと思います。

 自己チューで利己的な人が嫌われるのは当然として、「利己的でない人」も、メンバー全体に求められる「基準」を引き上げてしまい、他の同僚たちを「悪く見える」ようにするため、同僚たちの恨みを買うことになるという、という心理学の意外な実験結果もあるようですが、それでもなお、私たちは人のために生きるべきだ、というのが私の強い願いです。そんな思いで教壇に立っています。

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