長崎・グラバー園を降りたところの、海沿い長崎港の一角に、平和への切なる願いを発信する「ナガサキピースミュージアム」(鉄筋コンクリート2階建て、広さ約80平方メートル)はあります。名誉館長は、私が大好きな画家の原田泰治(はらだたいじ)さんで、理事会長はさだまさしさんが務め
ておられます。地元・長崎出身のシンガーソングライター・さだまさしさんは、1987年から8月6日の広島の原爆忌に「長崎から広島に向かって歌う」平和祈念コンサート『夏・長崎から』(2006年終了)を20年間に渡って行っていましたが(翌年長崎に原爆の落ちた日に広島から歌い計21年)、年1回のコンサートだけではなく、具体的に「平和を考える玄関
口」になる場所があれば良いと考え、全国のコンサート会場で、ミュージアム落成のためのボランティア活動を呼びかけ始めました。自分の借金返済(28億円)も大変だった時期に、こうやって平和の尊さを訴え続ける、さださんの男気に惹かれたものです。8年をかけ、賛同者約5万人の募金(私もその一人)で、総工費約5500万円で建設されました。2003年4月19日に開館した時に、さださんは「長崎の意思がここにある、と伝える拠点ができた。正しい戦争なんてないし、今日を平和への新たなスタートにしたい」と語りました。設計は古市徹雄(ふるいちてつお)さん。県の土地を借りているため、入館料は無料です。
ミュージアムに入ると、目の前にグラフィックデザイナー福田繁雄(ふくだしげお)さんが制作を手がけた、五線に音符のモニュメントがあります。タイトルは「宙(そら)へ」(2004年、九州地方を襲った台風の暴風により、高さが約10メートルという高さのため、一度曲がってしまいましたが、現在は修復され固定されています)と言います。さださんが「何故、「五線に音符」がモチーフなのですか?」と尋ねると、福田さんは、「平和じゃ無くなる時、真っ先に奪われるのは音楽だからだよ」と答えた、といいます。ぜひ訪れていただきたい長崎のスポットです。
私は今回、「グラバー園」から歩いて「ピースミュージアム」を目指しました。中に入ると米ニューヨーク在住の写真家、マイケル・メイジャーズさん(39)の写真展「Shokunin 日本の職人」が行われていました。アメリカ人の目から見た日本の職人の素晴らしさ・伝統美を撮し出していました。また別コーナーでは、さださん本人の写真展が開催中でした。さださんはカメラマニアでいい写真を撮られます。
さて、係の人と親しくお話をさせていただく中で、 「みどりのせんそうほうき」をいただきました(写真)。「みどりのせんそうほうき」は、「戦争放棄」を意味する小さな平和の取り組みです。湾岸戦争のはじまった1991年、東京の女性、入江篤子(あつこ)さんがこの「ほうき」の発案者です。「戦争」という名の人殺しと、環境破壊が地球上からすべてなくなることを願い、「戦争反対」の意思表示として、洋服の胸やかばんにちょっと付ける小さな「ほうき」のアクセサリーとして誕生しました。「ナガサキピースミュージアム」から、「ピーススフィア貝の火運動」の会員・ボランティア・来館者を通じ、全国へと広がりをみせていきました。「戦争」だけでなく、身近な「けんか」や「いじめ」、「差別」もやめ、みんなが仲よくしよう。「いのち」を大切にしよう。そんな思いを込めた「せんそうほうき」は、小中学校での校外授業で作られたり、平和学習、様々な団体での平和活動など、多くの人々の間で話題となっています。そんな「みどりのせんそうほうき」をいただきました。戦争放棄は、平和を願う世界の人々の「希望」となっていますが、この「せんそうほうき」は「コマカけどフトカちからになるばい(小さいけど大きな力になりますね)」とのことでした。このアクセサリーの作り方もちゃんと入っていました。詳しく知りたい方は⇒コチラです
私はこのアクセサリーを胸につけて次の目的地、さださんのお店「自由飛行館」へ向かいました。