井上和子さんの最新刊『”自分を磨く”一日24時間』(知的生き方文庫、2016年2月)の中に、こんなくだりがあります。
休暇でアメリカに行っていたとき、市長や町長、大学教授や地方議員のグループの通訳をしたことがあります。そのとき、アメリカ側の人たちとのパーティーでそれぞれ自己紹介をしましたが、日本側の婦人たちのほとんどが、「私の趣味は、おいしいものを食べることです」といいました。アメリカ人の一人が「食べることが趣味ってどういうことでしょう」と私にたずねました。私には答えられませんでした。食べることが遊び、食べることが趣味というのは、私にはどうも理解できません。
「趣味」=hobby という間違った理解が、上のようなトンチンカンな会話を生みます。自己紹介で、”My hobby is reading a book.”といった発言をよく高校生がしますが、読書や音楽鑑賞は、そもそもhobbyではありません。実は「趣味」の概念は、日本人と英語ネイティブ・スピーカーの間では大きく異なっているのです。そもそも「趣味」というのは欧米では、「何かしらの勉強、スキル、長い時間をかけて努力を要するもの」を指します。「時間がある時にやるもの」「暇つぶし」「楽しむもの」といった日本人が「趣味」と呼ぶモノは、欧米人にとっては「趣味」とは呼ばないモノなのです。テレビを見ることも、寝ることも、買い物に行くことも、食べることも「趣味」とは呼びません。
スポーツ・ガーデニング・切手収集・写真・絵画など、創造的で、ある程度の技術や知識を要する非職業的活動をいう;クロスワードパズル・散歩など気晴らしとしての行動はpastime (ジーニアス英和)
hobbyは料理や絵画などのほかダイビングや乗馬。また物の収集のように自分で積極的に作業をするものに対して通例用いられるので、読書や映画鑑賞、音楽鑑賞、さらにショッピングなどはpastime(気晴らし)が適当。一般的に「趣味は何ですか」という場合は、What are you interested in?, What do you do in[How do you spend] your free time?のようにいう。(アンカー英和)