鬼塚ちひろニューシングル発表!

goodbye-my-love 鬼束ちひさんの5年ぶりのニューシング「goodbye my love」が発売になりました。未発表曲のアコースティックバージョンの新曲2曲に加え、名プロデユーサー羽毛田丈史さんとの13年ぶりの再タッグとなりました。デビュー当時の鬼塚さんは清楚で歌唱力もひときわ高く、私は出す曲全~部買い込んで応援していたものでした。その頃のことについては、このブログにも綴っていますコチラです

 

 

 「月光」を歌っていた頃の鬼束ちひろさんは、本当に輝いていました。2000年2月に「シャイン」でデビューした鬼束さんは、仲間由紀恵と阿部 寛出演のTVドラマ『TRICK』の主題歌に「月光」が起用されたことによって名が知られるようになりました。「月光」を歌っていた頃の鬼束さんからは、彼女の魂で歌い上げるようなパフォーマンスによって鳥肌を立てる人も多かったものです。歌い方や歌声にも特徴があったことからインパクトがあり、歌を聞いたり、見る人を釘付けにするようなシンガー・ソングライターでしたね。それが…。

 2002年、『This Armor』というアルバムをリリースして、二度目の全国ツアーを行っているときのことだった。いつもの緊張、いつもの不安。その日も緊張のあまりどうにかなりそうな状態で、ステージに向かった。オープニングの音楽が鳴る。緊張感は最高潮に達する。ゆっくりと幕が開いて、深呼吸をしながら顔を上げたそのとき、目の前に広がる光景に思わず息を飲んだ。うわっ、悪魔だ!あろうことか、会場を埋め尽くしたお客さん全員の顔が、悪魔に見えてしまったのだ。わざわざ私の歌を聴きに来てくれた人たちには、本当に申し訳ないと思うんだけど。何々?いったい何が起こったの?まるでホラー映画の中に放り込まれたような気分だ。右も左も、手前もずっと後ろの方も悪魔の顔、顔、顔…。私は悪魔に囲まれて、ぽつんとステージの中央に立っていた。歌なんか歌っている場合じゃない。今すぐここから逃げ出さないと!だけど金縛りにかかったように、その場を動くことができない。私んおなかの何かが、逃げ出したい気持ちを必死に抑え込もうとしていた。じいっとコチラを見つめている大勢の悪魔を前に、生け贄にされた少女のようにおっかなびっくり歌を歌う。足がすくんで、マイクを持つ手がガタガタと小刻みに震えている。襲われる…、早く逃げなければ。だけど、こんなバカなことがあるはずない。きっと悪い夢に決まっている。そう言い聞かせて、声を絞り出す。でもやっぱり本当に襲われるかも…。思考は振り出しに戻ってしまう。歌に集中することなんて、とてもじゃないけどできやしない。早く終われと念じながら、義務的に歌い続けるしかなかった。

 結局悪魔は襲いかかってこなかった。ライブが終わって、生け贄は無事解放されたのだ。奇跡の生還!不思議なことに、周りの人たちは「良かったね」とか「おつかれさま」とか、いつも通りのことしか言わなかった。悪魔の「あ」の字も出てこない。あれはやっぱり、幻だったのだろうか。起きながら、悪魔を見てしまったってこと?普段と変わらない周りの人たちの様子を見ていると、疲弊し切っていた私は何も言い出すことができなかった。こんなことは、もう二度と起こりませんように。そう思って、自分の胸にそっとしまっておいた。   ―鬼束ちひろ『月の破片』(幻冬舎、2011年)より引用

 お客さんの顔が突如として悪魔に見え、マイクを持つ手が震え出すというような状況を何度も味わった鬼束さんは、「パニック障害」と診断されました。状況は改善するどころか、周りのスタッフや友達さえも怖く感じるようになって悪化していきました。移動中の飛行機の中でパニックを起こし「今すぐ降ろして!」と泣き叫んだことも。2003年には声帯結節を患い活動を休止。その後、事務所をいくつか移籍しながら、2007年に活動再開しますが、休業を挟みつつ活動を続けていました。ところが、2010年8月18日、鬼束さんは自宅マンションで同棲していた男性に全治1ヶ月の暴行被害を受けます。芸能人がDV被害によって警察沙汰になったことはこれまでになかったことのようです。被害状況は、流血状態にあったと言われているほどです。そのことをきっかけに自傷行為に走っていたという噂です。彼氏からのDVがきっかけで心を病み始めたのでしょう。暴行事件の影響から精神が再び不安定な状況に陥り、体調不良での音楽活動休止や復活を繰り返していたようです。以前にも大量の薬を服用して自殺未遂をした経験があるということが著書にも書いてあります。その後も「和田アキ子殺してえ」「伸介殺してえ」とネットでつぶやくなど、奇行で大騒ぎに発展したこともありましたね。

 鬼束さんは、2011年4月20日に自伝エッセイ『月の破片』(幻冬舎)を発売しています。これを読むと、清楚なイメージの「鬼束ちひろ」を裏切るような強烈なエピソードばかりが出てきます。鬼束さん自身、清楚なイメージが大嫌いだったようです。本当は派手好きで気が狂ったかと思われるようなコーディネートが好きなのだということです。どんどん派手なメイクに変わっていったのも、これが本来の姿だったんですね。世間の認識する鬼束ちひろと、本来の自分で苦悩した鬼束ちひろが辿り着いた過程がしっかりと書き込まれていました。彼女の本当の姿を理解するには、絶対の1冊です。

 さて本題のニューシングルに戻ります。「goodbye my love」がタイトルとなっているのですが、私は平岡なつみさんに提供した「夏の扉」(初めての他人への楽曲提供)の方が気に入りました。13年ぶりに羽毛田丈史さんとのタッグを組んだ原点回帰の曲です。曲のバックに流れる切ないピアノの旋律は間違いなく羽毛田ワールドです。羽毛田さんのピアノは本当に素敵です。昔の鬼束タッチの曲に戻ってきた感じのする曲で、私は仕事部屋で毎日何度も聞いています。原点に戻って活躍して欲しいと願うシンガーソングライターです。❤❤❤

【閑話休題】 どうして鬼束さんに「ちひろ」という名前をご両親がつけたかご存知ですか?ご両親ともにさだまさしさんの熱狂的なファンで、彼の「歳時記」(ダイアリィ)という曲の中に出てくる名前から取ったのが「ちひろ」なんです。もう一つ名前の候補が上がっていたそうですよ。やはりさださんの「檸檬」(れもん)から取った「檸檬」です。鬼束檸檬(おにつかれもん)、小学校で間違いなくいじめられそうだからと、お母さんが猛反対して、「ちひろ」に落ち着いたそうです。私はこの話を聞いたときに、この二つの曲を口ずさんでいました。それと、彼女のアルバムの中に必ず「Thanks for God 」という言葉が入っているのは、神様に対する感謝のメッセージで、自分の人生があまりにも運がいいので、神様に対して感謝せずにはいられない、そんな思いで入れている言葉です。音楽をやっている人間ならば自分で宗教を作らねばならない、人の心を捕えて妄信的にさせるのは、音楽も宗教もおんなじだというのが、彼女の考えなんです。

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