岡山の紀伊國屋書店でロッシェル・カップ・大野和基『英語の品格』(インターナショナル新書、集英社)という新刊本を見つけました。タイトルに惹かれたのはもちろんのことですが、真っ赤な表紙に白地でタイトルという非常に目立つ本だったこともあります。最初のページを開きますと、「以下のような英語表現を聞いて、ネイティブスピーカーがどのような印象を受けるか、分かりますか?」という興味深いクイズで始まっていました。みなさんも考えてみてください。
1.病気で会社を休んでいる人に電話をかけて、
Please get well.
2.アメリカ人が自分の家に来たときに、
Please take off your shoes.
3.アメリカ人に何か提案されて、それを断るときに、
We cannot do it now.
4.相手の考えに賛成できないときに、
I disagree with you.
5.誤解が生じてほしくないときに、
I really don't want to have a misunderstanding.
6.「明日までにこれをしなければなりません」と言いたいときに、
You must do this by tomorrow.
7.「あなたは間違いを犯しました」と言いたいときに、
You made a mistake.
8.「なぜここに来たのですか?」と聞きたいときに、
Why did you come here?
上の英文は英語としてどれも間違ってはいません。全部正しい英語です。でも私たち英語教師は、こう言われたネイティブスピーカーたちがどんな印象を持つか、というレベルまで語感を磨いておかねばなりません。安直に「pleaseを使うと丁寧になる」と思い込んだり、whyやmustを安易に使うと相手がどのような感じを抱くのかに無頓着ではダメなんです。英語にもTPOがあって、そこらへんの「品格」も大事にしなければなりません。本書はそのような、繊細で豊かな表現にあふれている英語の心を解説した面白い本でした。それを「品格」というタイトルで集約してあります。
小林克也(DJ、タレント)さんも推薦。
「何十年もかけて手に入れたと思った英語の心。この本に全部集約されていました――こんな本なかった!」