内申書

 この人の書く物は、いつも文章の上手さに感嘆するのですが(新刊が出るとすぐ書店に走ります)、外山滋比古(とやましげひこ)先生の『思考力の方法 聴く力篇』(さくら舎、2015年)にショッキングな記述があります。そして笑ってしまいます(下線は八幡)。真実を突いているだけに…。

 私はかなり長い間、大学入試で受験生の内申書を見る役についていた。そして高校の書くことが、実にデタラメであることを知った。すこしできると、「抜群」になる。同じ学年に抜群が何人もいるに違いない。学業がさえない生徒には、「生徒間の人望が最高である」などと半分でまかせのようなことが書かれている。どうせウソをつくなら、もっとうまいウソを考えないといけないアメリカの大学は、日本人留学生の提出する推薦をほとんど信用しないようである。日本人の書く推薦状は正直でない、というのが一部で定評になっているのは重大な問題である。日本人はこころにもないことを書くのが文章力のように考える傾向が見られるが、”正直は最上の策”であるということを噛みしめる必要がある。”正直は最上の策”というのは、もとは商売について言われたイギリスのことばであるが、日本では教育、文化においても、ウソが多すぎる。(p.117)

 私も長い間、高校現場で担任をして、調査書」はずいぶんの数書いてきました。進路部長も長い間務めてきて、どうやったらアピールできる「調査書」を書けるかについてもずいぶん研究を重ねました。大学側が「調査書」のどこを見ているかについても、いろいろと大学を回って調べたこともあります。たどり着いた結論が「具体的事実で勝負する!」ということでした。これなら本人の人柄が一発で分かるし、大学側もきちんと評価してくれることに気づいたのです。日頃の学業成績、本人が取った資格、参加した諸活動、部活動での成績、生徒会活動で取り組んだこと、表彰された大会、等々。とにかく「具体的事実」で埋めていく、決して曖昧な表現や抽象的な言葉でごまかさない、ということを信条にして「調査書」に取り組んできました。私が担当した学校で、実際に合格する生徒が飛躍的に増えていますから、少しは成果があったと思います。もう一つは、たくさんの先生方の目に触れる機会を増やすということがあります。以前勤めた学校では、担任が書いたものを、進路部長の私が見て、さらに教頭、校長が目を通すというシステムを取っていました。ただ儀礼通過的に判を押すのではなく、中身をしっかり吟味してゴーサインを出す(「面接練習」も同じシステムで多くの人を巻き込んで準備していました)。真っ赤になって担任の元に返ってくるということも度々。「推薦入試」の合格者が飛躍的に増えたのも、ちゃんと理由があったのでした。

広告
カテゴリー: 日々の日記 パーマリンク

コメントを残す

以下に詳細を記入するか、アイコンをクリックしてログインしてください。

WordPress.com ロゴ

WordPress.com アカウントを使ってコメントしています。 ログアウト /  変更 )

Google+ フォト

Google+ アカウントを使ってコメントしています。 ログアウト /  変更 )

Twitter 画像

Twitter アカウントを使ってコメントしています。 ログアウト /  変更 )

Facebook の写真

Facebook アカウントを使ってコメントしています。 ログアウト /  変更 )

%s と連携中