安藤貞雄先生の思い出

 恩師の広島大名誉教授安藤貞雄(あんどうさだお)先生(享年89歳)が、2017年3月31日、肺炎でお亡くなりになり、私はその追悼記事をこのブログに書きました。⇒コチラです  するとこの記事をお読みになった安藤先生の息子さんからお電話をいただきました!安藤先生の在りし日の思い出などを、電話でずっと語り合っていました。若い頃の先生の意外な一面をたくさん知ることができました。一番ビックリしたのは、息子さんがなんと松江北高の卒業生だったということです。不思議なご縁ですね。

 『英語教育』の7月号に澤田治美先生(関西外国語大学教授)の追悼記事が載りました。澤田先生は私の故郷・安来市能義郡広瀬町の出身で、大先輩にあたります。学部生時代、よく安藤先生から、澤田先生のお話を伺っていました。追悼記事の中でも出てくる言葉が、安藤先生の教師観を評して、“a severe teacher and a kind friend”ということでした。当時の厳しかった授業を、懐かしく思い出しますね。教師になってからも、先生にはずいぶん面倒を見ていただきました。本当に感謝しています。私が東京の研究社に行く前には、安藤先生が「今度、私の教え子の八幡くんが来ますからよろしく」と事前に道筋をつけてくださっていました(編集長から聞いてビックリしました。そんなことを一言も安藤先生はおっしゃいませんでしたから)。四国でご講演をなさった時に、私のことを例に挙げられ褒めていただいたことを、四国の知り合いの先生からお知らせいただきとても嬉しく励みになったのを覚えています(この講演録は私の宝物です)。東京で、『ライトハウス英和辞典』の主幹の故・竹林 滋先生とお話するときも、安藤先生を「あの人はすごいです」と評しておられたのを思い出します。私が発表した論考をお送りする度に、あの独特の文字でびっしりと書き込まれたコメントの数々をいただいたのが懐かしいですね。生徒は教師の力以上には伸びないものだ。だから教師は生徒にとって「高い壁」でないといけない、が先生の哲学でした。先生は私にとって理想の教師像でした。

 もう一度、安藤先生の考える「理想の英語教師像」を再録しておきます。一つ一つを噛みしめたい重い言葉の数々です。これからの若い先生方に贈りたいですね。

a.  教え方が上手であること―これは大切である。日本語も英語も、いい発音で明快に教えないと生徒に十分理解させることができないからである。

b.  生徒にえこひいきしないこと。

c.  叱るべき時には叱る(怒るのではない)が、意地の悪い叱り方をしないこと。

d.  生徒に親切で思いやりがあること。

e.  生徒の質問にごまかさずに誠実に答えること。自信をもって答えられない場合は、十分に調べた上、のちほど報告すること。(生徒に誠実でありたいと思うならば、このような措置は当然であろう。)

f.  時には生徒と平等の立場(footing)に立つこと―教師は生徒を教え指導する立場では、権威をもって、生徒より一段高い位置に立って差し支えないが(そのためには時には礼儀も敬語の使い方も教えなければならないことがあろう)、生徒が何かcriticalな状況にある時は、教師は「教師」であることをやめて、生徒と同じ(恐らくは「人間同士」という)footingに立って、“まごころ”をもって生徒の悩みと付き合う用意がなければならない。

g.  last but not leastには、教師は肝の奥底に何かゆるぎない信念を持っていなければならない―その信念が恐らくその人の人格を統一しているのであろうが、それが何であるかは、人によって異なっていてもいいのではないか。ただ、それは狂信的でない、理性と普遍性に裏打ちされたものであることが望ましい。(私の場合は、それは「生命の尊厳」という言葉で言い表せるように思われる。〔そこから、平和への決意も、ヒューマニズムも生じてくる。〕

   以上のような資質を兼ね備えた教師が私の「理想の教師像」です。それは、私にとっては、恐らく生涯かけても到達し得ない、にも拘らず、志向することをやめてはならないイデーなのです。(安藤貞雄)

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