英文読解のコツ

 今、松江北高の3年生・補習科の授業で力説しているのは、表面的に英語を日本語で置き換えただけの答案では全然ダメだということです。まずは訳文を読んで何を言っているのか分からないような日本語は、だいたい理解が間違っています。これは私が答案を見るときに使っている「判別式」なんです。自分で答案を書いたらもう一度答案を読んでご覧なさい。分かったふりはダメです。英文は、特に長ければ長いほど、左から右に向かって読んでいきます。「同時通訳」の心ですね。英文が長ければ、長いほどこの心構えが重要です。英語は「同じ表現の繰り返しを嫌う」言語ですから、必ず前に出た表現とは異なる表現を使って、言い換えることが多いんです。これを「同一内容異表現の法則」と呼んでいます。内容的には、抽象」⇒「具体」へと展開していくことが多いので、抽象(読解問題の下線部はここが多い)で分からなくても次の「具体」まで読んでみると、そこがヒントになって「抽象」部分が想像できるようになるんです。英語の苦手な人は下線部分が分からなければ「もうダメだ!」と思ってあきらめてしまうので、進歩がないのです。また、難解な表現が出てきたら、「その具体例を考えるようにしなさい」と指導しています。今読んでいる数研出版のMake Progess in English Readingから例を挙げれば、”when a business find its old strategies failing in the face of new competitors”(会社が新しい商売敵に直面して旧来の戦術がうまく機能しないことが分かったとき)とあれば、たとえば将棋の世界で、今まで切磋琢磨して長年力を磨いてきたプロ棋士たちが、AIの登場により、コンピューター将棋ソフトに手も足も出ない現状を思い描けばいいのです(1996年に当時7冠だった羽生善治さんが「コンピューターがプロを負かす日は?」というアンケートに対して、他の棋士たちが「永遠になし」「来ないでしょう」と答える中、「2015年」と回答しておられたのはさすがですね)。あるいは、ホテルの接客は従来人間がやるものという常識が、AIの出現によりロボットが全部こなしてしまう「変なホテル」にくつがえされようとしている現実を想起すれば、よく理解できますね。無生物主語構文」は副詞的に処理しなさい(松江北高の大先輩佐川春水先生は、このことを「出川の鬼」と喝破されました)とか、名詞モード」「動詞モード」に読み替えなさい(”the gradual accumulation of knowedge”とあれば「知識の徐々の蓄積」ではなく、「知識が徐々に蓄積されていく」と動詞で処理する)、は1・2年生のうちにしっかりと押さえておきたいですね。なんとなく分かったような分からないようなもどかしさがある場合には、英々辞典にあたってみることをオススメします。今日は授業で、if anythingという成句が登場しました。生徒は「むしろ」と訳しました。私は何が「むしろ」なのか尋ねると、しどろもどろ。こういう時には英々辞典を引いてみるのがよろしい。八幡のオススメはLongman Dictionary of Contemporary English(LDOCE)です。訳語だけでなく、どんな使われ方をするのかを押さえておけば(spoken   used when you are adding something to emphasize what you have just said)、再び出てきたときにきちんと処理することができますね。

 私は低学年の頃から、こういったポイントを50ほど、少しずつ指導していっています。1枚の紙は薄い薄いものですが、それが50枚、100枚、200枚と重なると結構な厚みになる。それと同じで、ひとつ理解したからといって何かが起きるわけ ではないけれど、50、100、200個たまってくると、大きな力になる、それだけ自分の自信が積み重なっていくんですよ。英文読解八ちゃんの法則50」という資料をかつて「ダウンロードサイト」に登録しておきましたが、その「改訂最新版」を再び登録しておきますね。アクティブ・ラーニングだろうとICTであろうと、どんな教授法であろうと、英文ときちんと向き合って、正確に読むことができるというのは基本中の基本だと思っています。それを疎かにしていては(なんとなく分かればそれでよし?そんな授業が横行しています)、何のための英語学習か?ということを、痛切に感じる今日この頃です。

・「英文読解八ちゃんの法則50」(改訂最新版) 島根県立松江北高等学校 八幡成人

 

 

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