松下幸之助と問題意識

 八幡家の家電製品は、すべてパナソニック製品で占められています。私は創業者・故松下幸之助(まつしたこうのすけ)さんの熱狂的な信奉者なんです。お風呂もパナソニックの特注バスです。まだ若い頃に、松下幸之助さんの生き方に惚れ込んだことがきっかけでした。映画「長江」で負った借金返済(35億円)で苦しんでいたにもかかわらず、さだまさしさんが、自費で始めた志・平和イベント「夏・長崎から」(20年続きました)に、ポーンと寄付をして救いの手を差し伸べてくれたのもパナソニックでしたね。病気平癒の感謝の心から、東京・浅草浅草寺雷門大提灯を寄贈したのも松下さんでした(名前を出さないで欲しい、と希望したそうですよ)。ますます好きになりました。今日は、そんな松下さんの「問題意識」について考えてみます。

▲最近の松下幸之助論

 松下幸之助さんの側近中の側近、直弟子の江口克彦(えぐちかつひこ、前PHP社長、前参議院議員)さんがまだ若い頃の話です。冬のある寒い朝、京都の松下さんの私邸の茶室に緊張しながら座っておられました。外は風が強く、庭の杉木立がヒューヒューと鳴っていました。突然、松下さんが、「きみ、風の音を聞いても悟る人がおるわなあ」と、一言言われました。「ハア…?」江口さんはその時、松下さんが何を言っているのか分かりませんでした。その言葉が、二、三日頭から離れなかったと言います。そしてフッと、松下さんの声なき声を聞いたと言います。「君はわしの話をいつも聞いておるけど、右から左へ聞き流しとる。そういうことではあかん。風の音を聞いてもハッと悟ることの出来る人もおる。要するに、問題意識を持っていれば、風の音を聞いても『ああそうか』と思うものや。ニュートンも問題意識があったからこそ、リンゴが木から落ちるのを見ただけで万有引力を発見したわけや。君ももっと問題意識を持ってわしの話を聞けば、もう少し賢くなるやろ」 聞く耳を持っていたら、なんでもない風の音を聞いただけでもハッと悟ることができるのに、自分と話していても、何とも頼りない。もう少し問題意識を持って話を聞け、そういうことを自分に言いたかったのだ、と悟ります。「風が吹いても悟る人がおるわな」というのは、松下幸之助さんの江口さんへの「常に問題意識を持て!」という語りかけでした。松下さんの部下の育て方の特徴に、「導かずに導く」ということがありますが、まさにこれでした。

 松下さんが、京都の中小企業の経営者の方々を対象に、「ダム式経営」について講演をしたことがありました。川にダムを作り水を貯めておくように、企業も余裕のある経営をすべきだという松下さんの持論です。話が終わり質疑応答に移ったとき、参加していた約400人の経営者の中の一人が手を挙げて質問をしました。「松下さんのように成功されて余裕のあるところではダム経営が可能でも、私どもでは、なかなかそれが出来ないのです。どうすれば経営のダムが作れるのでしょうか。どのようにすれば、ダム式経営が出来るでしょうか。教えて下さい。」と。この質問に対して松下さんは、「そうでんなあ、やはりまず大切なことは、ダム式経営をやろうと思うことですな」と答えました。あまりにも当たり前の答えに、会場からは「なんだ、そんなことか」と失笑が起こったといいます。具体的な方法を教えてもらいたかったのに、答えになっていないということでしょう。ところが、その中に一人だけ衝撃を受けた若い経営者がいました。それは、京セラを創業して間もない頃の稲盛和夫(いなもりかずお)さんでした。稲盛さんがまだ経営の進め方に悶々としていた頃でした。後に、その時の思いをこう述懐しています。

 その時、私はほんとうにガツンと感じたのです。なにか簡単な方法を教えてくれというような生半可な考えでは経営は出来ない。実現出来るか出来ないかではなく、まず『そうでありたい、自分は経営をこうしよう、という強い願望を持つことが大切なのだ、そのことを松下さんは言っておられるのだ』と。そう感じた時、非常に感動したのです。

 そこでは、400人ほどの経営者が同じ話を聞いていました。しかしそのように受け取った人は、稲盛さんただ一人でした。稲盛さんにはそのように受け止めるだけの力量があった、「問題意識」があったということです。その後の京セラ」の大発展は言うまでもありませんね。

 日頃から「問題意識」を持っていれば、何気ない言葉の中にもヒントを見いだすことが出来ます。英語の勉強に関して言えば、「○○はなぜだろう?」という疑問を持っていると、不思議とそれにまつわる情報にいろんな所で出くわす事が出来る、ということは私の経験からも明らかです。大学生時代にアメリカの推理小説を読んでいて、Mirandaという言葉がしょっちゅう出てくるんです。「何、これ???」 当時の辞典・事典を見ても、何のヒントも出ていません。悶々としながら小説・新聞を読んでいると、出てくるわ、出てくるわ、百例以上の用例(Miranda, Miranda-Escobedo, Miranda-Arizona)を集めることが出来ました。「黙秘権」に関することなんだな、と当たりをつけることが出来ました。次は、なぜMirandaと呼ぶのだろう?という疑問です。「あ、また出てきた!」 そうやって貴重な数々の資料を今まで集めてきました。生徒たちにも、「問題意識」を持っていれば、解答は向こうから近づいて来るよ、と話しています。今、私は、建築家の安藤忠雄(あんどうただお)さんの生き方に興味を持っているのですが、最近、いろいろな安藤忠雄情報(テレビ、新聞、書籍等々)が向こうから飛び込んできます。こんなものですね。今月は、神戸と京都で、安藤忠雄さんの建てた建物を二つばかり見てくる予定です。❤❤❤

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