レジェンド?葛西?

冬季オリンピックのイラスト「スキージャンプ」

 2014年ソチ冬季五輪のノルディックスキー・ジャンプで、葛西紀明(43歳)選手は、個人ラージヒルで銀、団体で銅メダルを獲得し、日本中が沸き立ちました。1998年長野五輪以降、ルール変更などの影響で低迷が続いていた日本ジャンプ界で、16年ぶりの表彰台に立ったのです。昨年11月には日本男子最多となるW杯通算17勝目を挙げるとともに、42歳176日の最年長優勝記録も更新し、「レジェンド」と呼ばれています。8度目のオリンピックに出場という偉業を成し遂げ、日本では英雄扱いです。今回の平昌オリンピック出発前は、「金メダルを取ってからレジェンドと呼んでくれ!」と強気の受け答えをしていました。その葛西選手がオリンピック出発前にインタビューに答えて、次のようなことをしゃべりました。あり得ない!たまげました。信じられませんでした。私はこれを聞いて、この人はもう、オリンピックでは絶対に勝てないと思いました。

 周囲は「がんばれ、ニッポン」と声援を送っていた。1998年2月17日の長野五輪ジャンプ団体戦。会場の白馬ジャンプ競技場に私もいた。応援するわけでもなく、叫んでいた。「飛ぶな!」「落ちろ!」自分が出ていないのに、金メダルを取ってほしくない、そんな気分だった。日本チームは2本目でノルウェーを逆転して金メダル。優勝の瞬間、私は会場にいなかった。2本目が始まる前に、悔し涙を流して宿舎に戻っていた。感動的な優勝で全国が歓喜に沸いていただろうが、団体のメンバーから漏れていた私の気持ちはまったく違うものだった。こんな経験はもう二度としたくない。そんな屈辱的な気分にさいなまれていた。夜は表彰式に出る気持ちにもならず、とにかく酒を飲むしかなかった

 同じ「日本チーム」にいながら、仲間の失敗を祈る同僚。プロであるがゆえに、試合に出られない悔しさや屈辱は分からないでもありませんが、全ては自分が招いた結果です。決して周りが悪いわけではありません。ならば、自分の代わりに出てくれた選手の活躍を祈るのが団体選手というものでしょう。このインタビューを読んだ当時の仲間の選手たちは、いったいどんな気持ちになるでしょう?葛西選手と同じような気持ちで、今回のオリンピックを見ていたかもしれませんね。

 私の尊敬する野村克也さんは、史上初の3,000試合出場を達成した1980年9月、選手生活最後の球団・西武ライオンズで、阪急戦。1点を追う8回、ワンアウトで一塁、三塁で打席が回ってきました。「よし、最低でも外野フライで同点だ」意気揚々とバッターボックスに向かおうとすると、「おい、野村」という声が聞こえました。根本監督です。「おれに、アドバイスかよ…」そう思ったら、「代わろう」と監督から代打を出されました。「えっ?」代打を出されたのは初めての体験でした。しかも野村さんは、犠牲フライの数では歴代最高の選手です。外野フライを打つことぐらい、朝飯前だと自負していました。愕然としました。ベンチに戻った野村さんは、思わず「打つな!」「失敗しろ、失敗しろ!」と心から願ったと言います。代打に出された鈴木葉留彦はショートゴロの併殺打でチェンジ。「ざまあみやがれ!」と溜飲を下げました。帰りの車中で「潮時かなあ…」 たとえ代打を送られたとしても、チームが勝利するために成功を祈らなければならない。自分はずっとそう考えてきたし、南海の監督だったときには、選手たちもそう言っていました。その自分が失敗を願うようになっては、チームに迷惑をかけることになる。もうプロ野球選手として失格ではないのか?この日に引退を決めた、と語っています。

 そして今回のピョンチャンオリンピック。ノーマルヒルに出場した葛西選手は、結果が振るわず21位でした。ただでさえマイナス10度を下回る極寒の中、強烈な強風が吹きすさび、たびたび競技が中断。競技終了は予定よりも1時間押した、厳しい環境での試合を、葛西選手は苦笑いで振り返り、こう言いました。「(寒さは)もう信じられないぐらい。風の音がすっごいんですよ。気持ちが怯むぐらい。ブワーって。W杯でもほぼない条件。“こんなの中止でしょう”ってちょっと心の隅で文句いいながら寒さに耐えてました」?????? やはりな。出場選手全員が、同じ条件の下で、戦っています。「言い訳」にしか聞こえません。やはりこの人には、神様は味方しません。誰も声を上げないのが不思議でなりません。

【追記】 この項を下書きしておいたんですが、その後、平昌五輪第9日の17日、ジャンプの男子ラージヒル(ヒルサイズ=HS142メートル)があり、葛西選手は、121メートルで、無情にもK点の4メートル手前で落ち「ちくしょう」と顔をゆがめました。上位30人による2回目に進むことはできませんでした。私の予想通りです。

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