「西村京太郎記念館」余話

 私の大好きな「西村京太郎記念館」は、2001年10月に湯河原にオープンしました。私は2回ほど訪れています。西村先生は長年住んだ京都の家を引き払うときに、このような記念館を思いつきます。住んでいた家が空いてしまうので、何かしようかなと思い立ったのです。図面を引いて、着工寸前までいったのですが、いろいろな事情があって断念せざるを得ませんでした。その後先生は、ご病気(脳梗塞)の転地療養のために湯河原に移ってきて、マンションに暮らしますが、いろいろと不自由なこともあったので、どうせ永住するなら一戸建てにしようと、奥様と話し合います。それで土地探しが始まりました。なかなか気に入った土地が見つからなくて、苦労しますが、現在の土地に行き当たります。でも最初はここも嫌だったと言います。道路よりも一メートル五十ぐらい低くて、駐車場になっていました。前には千歳川があるし危険だと思いました。他の土地をあちこち見て回りますが、なかなかいいところがなくて、帰りがけにさっきの土地の裏側を通りました。すると竹林が広がっており、中に入ってみると、景色が良くてロケーションがいい。奥さんが「ここいいじゃない!」と言い、二人とも気に入ってしまいました。向こう側からみると全然良くなくて地盤も低い。でも裏手は絶景が広がっている。ふっと横を見たら隣接して空き地がある。もう先生の頭の中では、ここに自宅記念館を作りたいという気持ちになっていました。調べてみると、駐車場と空き地は、同じ地主さんではありませんでした。空き地のほうは国有地だったんです。

 もうすぐ国有地の入札があるからということで、役所に出向き、見積額を書いて箱に入れます。ところが、当日やって来たのは先生一人だけで、他に誰も来ません。相場は前もって分かりますね。八十坪の空き地で、坪単価いくらだからこれくらいの金額だろうと。どうしても買い逃したくないので、他の人に買われないようにかなり高い値段をつけて入札してしまいました。誰も来ないならもっと安く買えたのに、勿体ないことをしました(笑)。それで二百坪の駐車場に自宅を建てて、八十坪の空き地を記念館にしました。同時進行で工事が進みます。設計図は奥様が書きました(奥様は設計士になりたかったんです)。

▲これが西村邸!

 ご自宅の方は、最初奥様は平屋にしようというおつもりでした。奥に離れを作って、先生の書斎にするプランだったんです。でも西村先生は平屋では、海が見えないので、二階建てにしようと、図面を引きますが、地盤を上げても海が見えそうにないので、結局三階建てにしました。というわけで、先生の三階の書斎からは線路(新幹線・在来線)が見えます。ちょうど目線に入るように窓がこしらえてあって、ベランダに出ると海が見えます。「トラベルミステリー」の名作のインスピレーションは、この環境の中で作り上げられるのです。

  記念館が出来上がって、本ぐらいしか展示物がなかったので、実家に連絡して、とにかく残っているものを全部送ってくれと頼んで、初期の頃の貴重な資料が展示されました。生原稿や、趣味で集めたライターとかパイプとかを陳列ケースで展示しましたが、これも奥様のアイデアです。二階の中央にでんと鎮座している鉄道ジオラマは、子どもの頃からの西村先生の憧れ・夢でした。二メートル四方のスペースが街の模型になっていて、ミニチュアの電車(新幹線・在来線)を走らせています。殺人事件発生という設定にしてあって、警察が現場検証をしていて、死体も転がっています(笑)。実はこのジオラマは「何でも鑑定団」で買ったものでした。

 そもそも湯河原に居を構えたきっかけは、リハビリのためでした。脳梗塞で倒れた先生は、京都府立病院に入院してリハビリをやっておられました。主治医から「今後は温泉に行って療養しなさい。湯河原修善寺なら紹介できる」と言われ、新幹線が停まる町の方が便利だと思って、新幹線の停まる熱海に近い湯河原を希望します。奥様となる方は、湯河原で健康器具を紹介する仕事をされていました。入院中に、たまたま毎日足湯のマッサージをしてもらっていました。奥様はミステリーには全く興味がなく、全然先生のことはご存じありませんでした。車の運転を頼んだりするうちにだんだん親しくなって、秘書的な仕事もやってもらうようになります。よく気がつく、行動力のある女性だったので、身の回りのことを見てもらおうと思ったのが、結婚のきっかけでした。もしもリハビリで修善寺を選んでいたら、奥様と出会うこともなかったんですね。奥様とのなれそめの詳細については、「西村先生、奥様とのなれそめ」と題して書きました。⇒コチラをご覧ください

 ということで、600冊超えのベストセラー推理作家・西村京太郎ファンの「聖地」が誕生したわけです。実は、先生は最初から売れた作家ではありませんでした。その苦労話を明日のブログで。❤❤❤

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