「サンライズ出雲の女」

 「サンライズ出雲の女~消えた似顔絵の女」の再放送をやっていました。十津川警部役で故・渡瀬恒彦(わたせつねひこ)さんが主演した2015年の「十津川警部シリーズ」の第54弾、最終作・遺作となったドラマです。そう言われて見れば、渡瀬さん、心なしか、いつものはりや元気が無いような気がしました。十津川警部は出張先の出雲で奇妙な事件に遭遇。出雲のホテルで絞殺された女の死体が発見されたのだが、事情を知ると思われる別の女は行方不明。似顔絵を手掛かりに捜査を進めるが、関係者が次々に殺害されて…。寝台特急サンライズ出雲」の車内でも撮影が行われ、さらに出雲大社穴道湖などの島根県の名所もめぐり、鉄道旅の魅力も満載のサスペンスです!

【ストーリー内容】
 十津川警部(渡瀬恒彦)は行方を追っていた容疑者が出雲で自殺したとの知らせを受けて、本人確認をするため出雲署へ向かうことになった。乗車する「寝台特急サンライズ」が停車している東京駅のホームで、十津川は女性(平山あや)をサンライズ前に立たせて撮影するカメラマン、軽部孝(川田広樹)とすれ違う。署内で軽部が殺人事件の参考人として事情聴取を受けていたのだが、話が妙なのだ。軽部はホームで写真を撮った女とは初対面だったが、女は神在みゆきと名乗ったと語る。サンライズを下車後、みゆきが宿泊するホテルの部屋を訪ねた軽部は、女の絞殺死体を発見した。警察は被害者が神在みゆき(我謝レイラニ)本人であると確認したが、それは軽部が撮影していた女ではないというのだ。しかも、軽部のカメラにはサンライズ前で微笑む、殺された女の画像が残っていたのだ。笑顔の写真もみゆきの殺害も軽部には身に覚えの無いことと主張した。絵心のある軽部は消えた女の似顔絵を描き、この女が事情を知っているに違いないと、似顔絵を手掛かりに捜査が始まった。懸命の聞き込みが実り、似顔絵の女は大社出身の小柳ゆみ(平山あや)だと判明するが、ゆみは一年前に伊豆の海に投身自殺していたことも分かった。遺体は発見されていない。十津川は再び出雲へ行き、ゆみが義父に虐待されていたこと、高校卒業後、逃げるように上京したことを知る。その後、ゆみは都内で老舗菓子店の主人と恋仲になったという。一方、軽部も独自に似顔絵の女を捜していて、偶然見つけるのだが、私立探偵・中松勇(小林大樹)に阻まれる。事件の鍵を握ると思われていた中松が絞殺され、軽部も同じ手口で殺される。依然として行方の分からない似顔絵の女。次々殺される関係者。そんな中、十津川は人気菓子開発を巡る不正があったことに気付く。大手製菓会社の社長・五十嵐泰三(市川左團次)と顧問弁護士・酒井久仁(横内正)、製薬会社の元社長塚本専太郎(寺田農)など、疑惑の人々の捜査を進め、十津川と亀井刑事(伊東四朗)は真相を推理する。(TBSホームページより)

 さて、ドラマの感想です。昨年の米子ロケ内藤剛志さん演ずる十津川警部シリーズ「愛と裏切りの伯備線」でも感じたことですが、刑事の「出雲弁」が実にぎこちない。一生懸命「出雲弁」をしゃべっているのですが、我々「出雲人」からすると、非常に違和感がぬぐえませんでした。イントネーションや語尾がなんか違うんですよね。出雲弁は難しいんです!(上の「出雲弁番付」をご覧ください)出雲弁のネイティブ・スピーカー(笑)が指導しているんでしょうかね?ドラマ中のカギを握る重要人物となる神在みゆは、出雲だけに、「神在月」から「神在みゆき」だったのでしょうね。ドラマのタイトルですが、寝台列車サンライズ出雲」の中で殺人が起こるわけでもないので、別にどの列車でも構わない展開です。ただ単に、出雲に向かう列車という位置づけです。トラベル・ミステリーとしては、列車の名前があるほうが、気分は出ますものね。特に地元の人たちの関心度が全く違います。また、列車の中で人殺しをするという設定は、JRも嫌うでしょうからね(笑)。かつてJR九州の唐池社長(当時)が「列車の中で人を殺さないで下さい」と懇願しておられます。ドラマの中には、私の大好きな旧大社駅出雲大社日御碕といった出雲の名所、松江の宍道湖松江城も登場していましたね。玉造温泉の「ホテル玉泉(ぎょくせん)」は、若い頃松江南高校の忘年会の定番会場でした。日御碕の灯台をバックに、切り立った断崖絶壁で犯人を追い詰める、というのは、2時間サスペンス・ドラマの定番ですね(笑)。

 このドラマ、原作は西村京太郎先先生の『夜行列車の女』です。2003年にはテレビ朝日系でも、髙橋英樹(たかはしひでき)さん扮する十津川警部が、「西村京太郎トラベルミステリー41 夜行列車の女 東京~高松サンライズエクスプレス 終着駅のホームで死体がすりかわった!」として放送されています。同じ原作でありながら、ドラマ自体はずいぶん設定が違いますね。

 西本刑事は所用で夜行列車サンライズエクスプレスに乗ることになった。サンライズエクスプレスは東京駅発22時の高松行き「サンライズ瀬戸」と出雲行き「サンライズ出雲」の混合編成で、岡山で切り離されてそれぞれの目的地に向かう。翌朝7時20分、サンライズ瀬戸は終着駅の高松に着いた。ホームで女の絞殺死体が発見された。女は永井みゆき名の免許証と名刺を所持していた。「この女は違う」東京の出版社のカメラマンで瀬戸の個室に乗っていた木下孝が西本につぶやいた。木下は東京駅でサングラスの美女と知り合った。女はコンパニオン会社を経営する永井みゆきと名乗っていた。しかし、殺された女は別人だと言うのだ。木下は高松署で事情聴取されたが、犯行を否認した。西本は十津川に事件を報告した。十津川と西本は永井みゆきのマンションに向かい、殺された女はみゆきと断定した。そこに証拠不十分で釈放された木下が現れた。「幻の女を探し出してやる」力む木下に十津川は危惧を抱き、西本たちに木下の尾行を命じた。翌朝、多摩川で木下の死体が発見された。十津川・亀井は連続殺人事件として捜査を開始した。

 TBS系とはずいぶん違いますね。さらに、原作の西村先生『夜行列車の女』はもっと異なります。カメラマン・木下孝は、「寝台特急サンライズエクスプレス」取材のため、高松まで乗車することになった。女好きの木下は、隣りの個室に乗り合わせた美女と知りあい、永井みゆきと名のるその女の目的地・道後温泉まで同行することを企む。が、乗りかえ駅の坂出で彼女が起きてこないのに不審を抱き、その室をあけると、別の女の死体が出てきたのだ。しかも、永井みゆきは、去年東京で死んだはずだという。謎が謎を呼ぶ事件に十津川と亀井が挑む、というものです。脚本家&プロデューサーが原作と微妙に設定を変えながら、ドラマを構築しているのが、上の2本の作品でハッキリと分かりますね。ドラマ化を許してしまうと、こんな風に原作とは似ても似つかぬ形に作品がねじ曲げられる(?)のを、作者の西村先生はどのようにお感じになっているのか、聞いてみたいところです。以前、西村先生はご自分の作品のテレビドラマはほとんど見ない、とおっしゃっておられました。次のインタビューで、小さい頃のお弁当」になぞらえておられるのが、実に興味深いと思いました。♥♥♥

日垣: 先生は、テレビはお好きですか。
奥様: 自分の作品は一切見ません。
西村: 嫌なんだ。
日垣: どのあたりを見たくないのですか。
奥様: 先生のご本の中には、あまり女性は出ていないんですよね。だけどテレビには 女性を入れないと絵にならないので、女性の刑事や、飲み屋のおかみさんが出るでしょ。だから、自分の作品と違うから見ないと。
日垣: 原作と違うというのは、やはりストレスになりますか。
西村: 小学生のときに、学校でお弁当を食べるでしょう。その時、手で隠しながら食べていたんです。それがずっと続いている。隠れて食べていたから、隠れて見ているんです。 自分の作品のテレビを見ているのを見られるのも恥ずかしいんですよ。見ていない 時の方が多いですけれどもね。なんとなく照れちゃうんだな  ―日 垣 隆「日本一 有名 な 作家 直撃・西村京太郎 さん 公開 インタビュー」(2016年)

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