新幹線の座席は先頭・最後から売れていく

 いよいよゴールデン・ウィーク真っ盛りです。私はどこにも行かずに、ひたすら原稿書きに明け暮れています。大好きな巨人が絶好調になってきたので、筆が進みます。今日は4点差をはね返しての大逆転勝ちでした。講演の準備もしなくちゃ。仕事柄全国に出かけることもあり、新幹線に乗ることも多いんですが、座席はいつも窓ぎわをお願いして景色を楽しんでいます。ただ困るのは、途中下車する際に荷物を抱えていた場合、隣の人が眠っていて、どいてもらうことができないときです。先日も、ビジネスマンが私の隣に乗ってくるなり缶ビールを2本空けて、そのままグーグー眠ってしまわれて、岡山で降りようとする時、私はかなりおみやげを買っていて荷物が多かったので、通路に出るのに往生しました(笑)。これなら通路側の方が都合がいいかなと思ったりもします。

 著作が600冊を超えた、大好きな西村京太郎先生の最近作品を読んでいて、面白い記述に出くわしました。新幹線は、先頭と最後の座席から売れていくというのです。次の描写をご覧ください。

 十津川と亀井はのぞみの9号車グリーン車に乗った。二人の乗った広島行きののぞみは下りの列車なので、16のAと16のBは、9号車の最後尾になる。二人は、そこに並んで腰を下ろした。「何でも最近のグリーン車の座席は、両側から売れていくそうですね。最近は老人が多くなったので、両端は、トイレが近くにあって便利だし、出入り口も、近いですからね。それで、両側から売れていくんだそうですよ。」と亀井が、いった。「その話なら、私も聞いたことがあるよ」十津川が応じる。―西村京太郎『西から来た死体』(中央公論社、2018年2月)

 十年ぶりの会だというので、京都に行く沢田たちは、グリーンを選んでいる。九号車の一番後ろの席に並んで、腰を下ろすと、「この一番後ろの席というのは、最近では取るのが、難しいんだよ」と長谷川が、いった。たしかに、沢田も、大学で交通学を教えているので、新幹線では、真ん中の席よりも車両の一番先頭か、あるいは、一番後ろの席から売れていくということは知っていた。老人社会になって、出入口や、あるいはトイレに近い座席が先に買い占められていくのを、沢田も感じていた。改めて、日本が老人社会になったことを実感させられる瞬間だった。―西村京太郎『京都感傷旅行』(文藝春秋、2018年4月)

 トラベル・ミステリー作家らしい細やかな観察です。全く気づきませんでした。最新作の『京都感傷旅行』には、こんな記述もあって、思わずニヤリとしてしまいます。西村先生は、こんなふうにさりげなく社会風刺を盛り込むのが得意なんです。❤❤❤

 ところが、ここにきて、日本の政治や社会の動きを見ていると、京都どころか、日本全体が、古めかしいコネの世界ではないかと、思えてきた。とにかく、政治家とのコネがあれば、たいていのことが可能なのだと、わかったからである。土地も安く手に入るし、大学の学部だって新設できるのだ。評論家は、批判し、なげいてみせるが、沢田の見たところ、一般市民は、さほど、怒ってはいないのだ。市民は、みんな、羨ましいのだと、沢田は、思った。自分も、政治家にコネがあればと、なげいているのである。(pp.104-105)

広告
カテゴリー: 日々の日記 パーマリンク

コメントを残す

以下に詳細を記入するか、アイコンをクリックしてログインしてください。

WordPress.com ロゴ

WordPress.com アカウントを使ってコメントしています。 ログアウト /  変更 )

Google+ フォト

Google+ アカウントを使ってコメントしています。 ログアウト /  変更 )

Twitter 画像

Twitter アカウントを使ってコメントしています。 ログアウト /  変更 )

Facebook の写真

Facebook アカウントを使ってコメントしています。 ログアウト /  変更 )

%s と連携中