『竹岡の英文法・語法ULTIMATE究極の600題』

 尊敬する竹岡広信(たけおかひろのぶ)先生の新著『竹岡の英文法・語法ULTIMATE究極の600題』(学研プラス、2018年5月)をご紹介します。「はじめに」を読むと竹岡先生がどうしてこの本を作ったのかという背景がよく分かります。懺悔から始まっています。巷には「頻出」と謳った杜撰な問題集がかなり出回っていますが、そういった「本の批判は本で」という精神で作られている究極形の問題集がこの本です。先生は以前にも『必携英語表現集  Essential English Expressions<厳選800表現>』(数研出版)という素晴らしい教材を出しておられます。私の書評はコチラです。

 最新の大学入試問題を徹底分析した上で、入試に本当によく出る文法・語法問題だけを厳選セレクトしています。問題選定にあたっては、高3生、受験生にすべての問題(3000題)をモニター受験者として解いてもらい、間違いの多かった「差がつく問題」を中心に収録しています。モニター受験者が正解の選択肢を選んだ割合を「正答率」としてパーセンテージで表示しているところもユニークです。問題の難易度を計る指標として活用でき、これにより自分の立ち位置を把握することができますね。この手法は、私が『センター試験英語過去問題集 文法・語法頻出17項目の演習 TREND 17』(桐原書店、760円+税)でも実践した手法です(犬の表情のアイコンで難易度を明示しました)。さらには、本書の全問には「使用頻度レベル」の表示が付いています。これは実際の英語で、それぞれの表現がどれだけ使用されているかを示したものです。CEFR-JのGrammar Profile、British Counsilが公開しているCore Inventoryなどの指標、そして本書の英文校閲のStephen Richmond先生のご意見などを踏まえて、本書独自の「使用頻度レベル」をA、B、Cの3段階で示しています。使用頻度がもっとも高いのはA、使用頻度は低いものの重要な文法事項にはCを付してあります。新しい入試にも対応している初めての問題集です。生徒の思考を育むために、従来のような分野ごとの配列にしていない所も斬新です。

 1回の演習は20問です。これを15分で片づけます。類題が時を置かずに繰り返し出てきます。それを30回分解くことで、重要ポイントを繰り返し学習できるような工夫(スパイラル方式)を採用しています。「手を替え品を替え」反復練習する、これが英語学習には実に重要なんです。このことは、英単語の学習に関しても『音読英単語』(Z会)において、その成果がはっきりと実証されています。本書を最後まで解き切ることで、入試にも、そのあとも使える英文法がしっかり身につきます!

 何よりもこの本の素晴らしいところは、正解に至るプロセスを、全600問すべてにおいて、竹岡先生がくわしい解説を加えているところでしょう。解答のカギになっている文法事項についての知識や関連表現、解答のコツなどを竹岡流にコンパクトにまとめた「Ultimate Rules、「正答率」が50%を切りとくに低かった問題については、受験生を励ますために竹岡先生がコメントを加える「Cheer up!」のコーナーなど、竹岡先生の日頃の授業のエッセンスを私たちも味わうことができます。先生の英語教師としてのスタンスを感じる事が出来るコラムです。正解に至るプロセスがわかるだけでなく、文法事項の要点のまとめや竹岡先生による誤答分析コメントなども豊富に掲載しているので、英文法が基礎からよく分かるようになっています。この本で、私が非常に勉強になったのは、「Oh, my…」という竹岡先生の英語への思いを吐露しているコラムです。「CEFR(セファール)とは何か?」「日本の文法問題集について思うこと」「theとは何?」「end focus「文末強調」の概念」「「イコール」で結ぶのはやめよう!」「学校は「なぜ、何」を説明するところ」「英英辞典で単語の正しい意味を知ろう①②」など、膝を打ちながら興味深く読ませていただきました。竹岡先生がただの英語教師ではないことがよく分かります。一つだけコメントを。「使用頻度と使用場面が重要!」というコラムで、forget to do「…することを忘れる」/ forget doing「…したことを忘れる」というよく参考書に見られる記述を批判して(私も全面賛成です)、「これは単純にforget doingとは言わないからです」と言い切っておられます。実は、事はそれほど単純明快なものではなく、一筋縄ではいかないやっかいな問題を含んでいて、なかなかに奥の深い語法なんです。かつて私が、三浦新市教授(慶應大学)『英語教育』(大修館)誌上で再三論争した語法の問題です。八幡成人「Forget+V-ingの語法とその問題点」 『英語教育』10月号  1980年(大修館)八幡成人「再びForget+V-ingの語法とその問題点~三浦新市氏の調査に答える」 『英語教育』3 月号 1982年(大修館)をお読みいただければ、そう簡単に割り切ることができないことがお分かりいただけると思います。「ダウンロードサイト」に登録しておきました。 ⇒コチラコチラです

 特設ウェブサイトで本書の使い方を竹岡先生が語り尽くした動画「本書の使い方」を公開しておられます。これはこの問題集を効果的に使うために、始める前に生徒にぜひ見させたいすぐれた講義です。また、本書の問題英文の正解英文を読み上げた音声を、同じく特設ウェブサイトで無料ダウンロードできるようになっています。この音声を使って、英文のイメージを抱きながら、問題を「瞬殺」できるレベルにまで引き上げることが可能です。ぜひ受験生に勧めたい一冊です。

 この本は学研プライムゼミの一冊ですが、著者の竹岡先生が、今年のセンター本試験で正答率の低かった問題を取り上げて解説しておられる映像を、同ゼミから公開しておられます。非常に核心を突いた優れた講義ですので、みなさん、ぜひご覧ください。松江北高の生徒たちにも勧めている映像です。❤❤❤

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