コネ

 コネを使って裏口入学したとか、コネを使って就職を斡旋してもらったとか、コネを使って国有地を安く譲り受けただとか、コネを使って大学認可を有利に進めたとか、世の中は今「コネ」ばやりです。そういうことの大嫌いな私は義憤を感じながら、これらのニュースを耳にしています。

 ここ数日のうだるような猛暑に悲鳴をあげそうな八幡ですが、今夜の2階の寝室はあまりにも熱く、エアコンを24度設定でガンガンに冷やしても一向に寝付かれません。何度もタイマーをつけては寝付けないもので、覚悟を決めて本を読むことにしました。結局朝まで一睡もせずにずっと本を読んでいました(笑)。今日読み終えたのは、大好きな西村京太郎先生610冊目(!)の著書となる『十津川警部 海の見える駅~愛ある伊予灘線』(小学館、2018年7月)です。発売日に手に入れて読もうと思ってベッドの枕元に積んであった作品です。四国・予讃線にある無人駅・下灘駅は、海に最も近く伊予灘に沈む夕陽の美しさで有名です。失踪した父親が、ここ下灘駅で伊予灘の美しい夜景を写真に撮った後に死体となって発見されます。珍しく十津川警部の犯した捜査ミスを煽る容疑者のどす黒い策謀と戦う、なかなか面白い作品でした。その中にこんな記述が出てきました。

 十津川は、日本というのは、昔も今も、コネ社会だと思っている
 ここに来て、その感が、強くなった。有力政治家と親しければ、それまで役所の窓口へ
行って、何回陳情しても、予算がないとか、人手が足りないといって、動いてくれなかっ
たものが、政治家の一言で、突然神風が吹いて、あっという間に、陳情していた仕事が
できあがってしまうことを、知っているのだ。
 ただ、日本人というのは、それを非難するより、自分も政治家に知り合いがいればいい
のにと考えてしまうのである。  ―p.128

 そういえば、最近、西村先生の新作には、この「コネ」の描写が多いなあと感じていました。先生の思いが筆に表れたものと私は理解しています。例えば、このようなものです。

 「私の友人が京都に住んでいるんですが、裏が国有林で杉林なんだそうです。ところが、
手入れが悪いので、台風が来ると、何本も倒れる。ところが、それを処分してくれないの
で、倒れたママになっている。大雨が降ると、土砂が友人の庭に流れ込んでくる。そこ
で、営林署に行って、何とかしてくれと陳情したが、予算がないとか、人手が足りないと
かいって、いっこうに動いてくれないというのです。そんなとき、友人は、クラブで、
時の国務大臣と偶然、知り合いになった。その大臣は、趣味の広い人で、クラブに来ると、
ピアノを弾いたり、コースターに、客の似顔絵を描いたりしている。友人も、ピアノを弾
いたり、水彩画を描いたりするので、親しくなったら、大臣の秘書が、何か困ったことが
あれば遠慮なくいって下さい、というので、裏山の倒木のことを話したそうです。さして、
期待せずに話したというのですが、翌朝、裏がうるさいのでカーテンを開けたら、十人以
上の作業員が動き廻っていて、あっという間に、倒木を、きれいに処分してしまったとい
うのです。その時、友人は、つくづく『日本という国は、コネが生きている国だ』と思っ
たそうです。特に、政治家にコネがあれば、多くの問題が解決してしまうんです。だから、
友人の話を聞いても、けしからんと怒る人は殆どいなくて、自分も政治家の知り合いが欲
しいというそうです」  ―西村京太郎『能登花嫁列車殺人事件』(カッパノベルス、2
018年6月)
 「有力政治家は、いくつかの後援会を持っています。その後援会同士が、功を競うんで
す。日本は実力社会というより、コネ社会ですよ。特に、政治家とのコネがあれば、日本
では得になることが多いのです。
 例えば、市民が何かの陳情に、役所に行くとします。窓口で必死にお願いしても、たい
ていは予算がないとか、人員が足りないとかいって、何もやってくれない。ところが、政
治家、得に有力政治家とのコネを作ってから、話をすれば、あっという間に実現してしま
うのです。誰かがいったように、突然、神風が吹くのです。だから、誰もが政治家とのコ
ネを作りたがる。
 今、われわれがマークしている川口真一郎は、将来の総理として有望視されていますか
ら、今から彼とコネを作りたいと願う人間が、沢山いるはずです。そういう人間か、ある
いは集団が、功を焦った末に引き起こしたのが、今回の事件ではないか。そんな感じがし
ているのです」
 「私は、政治家とのコネなんか、持ちたくありませんがね」と、若月が、いった。
 十津川は微笑した。
 「日本人は、コネが好きで、政治家の力を借りるのを、別に悪いことだとは思っていな
いんですよ。例えば、総理大臣が友人に便宜を図る。当然マスコミなんかに批判されます
が、国民の方は、内心、自分が総理とコネのないことを残念がっている。そんな嫉妬心
が、事件を呼ぶ場合もある。私は、そう思っているのです。
―西村京太郎『広島電鉄殺人事件』(新潮社、2018年1月)

 津和野から松江北高に戻ってきた年に、大学入試センター試験「リスニング試験」が導入されることになり、模擬試験もICプレーヤーを使って演習を始めることになったんです。ところが模試会社のリスニング・プレーヤーが全国の学校で取り合いになり(スピーキング試験のためのタブレットの取り合いと同じ現象です)、全く在庫がないので、北高には手配することができない、と河合塾・広島校の島根県担当者から連絡。途方にくれた進路部長が、私の所に相談にみえました。「先生は、河合塾の松井悦夫(まついえつお)さんと知り合いだから、何とか頼んでみてもらえませんか?」ということでした。松井さんは、河合塾・広島校の校長時代から、私は追っかけをして(いつも一番前の席で講演を聞いていました)、親しくしていただいていました。その後、名古屋の本校に戻られて当時河合塾のNo.2(本部長)に昇進しておられました。早速、名古屋本部の松井さんにお電話して事情を話して泣きつきました。するとなかったはずのものが、その日のうちに本部から手配され、ICプレーヤー一式が生徒人数分送られてきました。やはり偉い人の力はすごいですね。奇しくも同じ時期に入院・手術を経験して、「一緒に頑張りましょうね」と励まし合っていましたが、松井さんは急死なさってしまいました。御冥福をお祈りしております。⇒松井悦夫さんの思い出はコチラです

 今から12年前に心臓の手術をした時には、上手く行かずに途中で執刀医が変わりました。おかげで右腕が内出血で1ヶ月間使う事ができませんでした。私が退職する際に、お祝いに集まってくれた教え子たちにこの話をすると、医者となっている(7人!)教え子たちが、「今度入院する時には僕たちに知らせて下さい。その病院で一番の先生に担当してもらいますから。先生の命は僕たちが守るから」と、有り難い事を言ってくれました。その節にはお世話になります。よろしくね。

▲私の退職を祝って集まってくれた松江南高校3年2Rの面々

 私はコネは嫌いです、と述べました。さて、考えてみますに、私も自宅を新築したときに、お風呂だけはチョット贅沢をしたくて、施工のミサワホームではなく、探し回ってパナソニックの特注品で作ったんです。その時の担当者が、たまたま私が松江南高で担任した女生徒で、ずいぶん安くしてもらい、いろいろと便宜を図ってもらいました。なんだ、私もコネを使っているじゃないか!やはりコネは大事か??(笑)♣♣♣

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