高原慶一朗さん死去

 私が日頃尊敬している高原慶一朗さん(たかはら・けいいちろう、ユニ・チャーム創業者)が10月3日、老衰で死去されました。87歳でした。愛媛県川之江市(現・四国中央市)の出身で、大阪市立大学商学部を卒業後に関西紙業に入社、29歳で1961年ユニ・チャームの前身の大成化工を創業し、建材板紙の製造販売を行いました。1963年生理用ナプキンの製造販売を開始。1974年に現社名に変更し、生理用品「ソフィ、1981年幼児向け紙おむつにも事業を広げ「ムーニー」で業界首位に。2001年に70歳で退くまで社長を務めました。乳幼児向け紙おむつ「ムーニー」をはじめヒット商品を世に送り、同社を町工場から世界的な企業へと育てました。2011年から取締役ファウンダー。2001年に長男の高原豪久さんに社長を引き継ぎました。

 『日本経済新聞』『産経新聞』の評伝によれば、高原さんは強烈な一番志向の持ち主だったそうです。原点には母親の教育があるようです。5人兄弟の長男である高原さんの誕生日だけ、鯛の尾頭付きが用意されたといいます。それだけ母親の期待が大きかったのでしょう。

 高原さんの人生においては、「決定的瞬間」が二度ほどあったといいます。自らの人生観や職業観、意識、物の見方や考え方が180度変わる転換点のことです。昭和16年ころの川之江(愛媛県四国中央市)の小学生の時に、いじめられて家に泣いて帰ると母親は「負けて帰ってくるな!」「みっともないことはするもんやない」と叱責しました。砂浜に顔をうずめられても「のちには見とれ」と相手に言い続けたといいます。また小学校4年生の時に、学業でもクラスで3番だと「なんや三番か、一番ではないのか」と、母親は不機嫌な表情になり、「一番になると母親が喜んでくれる」というトップ志向の原体験が刷り込まれました。小さな慢心を戒められて、以降幼いながらも「こまい(小さい)ことで満ち足りるな!」という自戒を腹に据えた出来事だったといいます。以来、一番を目指して突き進んできました。このような負けず魂こそが、世界の巨人P&Gや、花王資生堂ライオンなどの大手資本を相手に、当時ベンチャー企業だったユニ・チャームが互角以上の戦いを演じて、生理用品など数多くの分野でシェアナンバーワンを維持しています。

 もう一つの「決定的瞬間」は、起業して2年後31歳の時です。昭和30年代後半にアメリカ視察時に立ち寄ったサンフランシスコのスーパーで、生理用品が普通の商品と分け隔て無く陳列棚に堂々と並んでいたことに衝撃を受けました。当時の日本では生理用品は、まだ薬局の片隅で人目をはばかってひっそりと売られた時代で、目立たないように陳列されており、このような日常は考えられなかったのです。人目を忍んでこっそりと買っていく「日陰」の商品でした。ちょうど新しい市場を開拓しようとしていた彼は、このアメリカの日常を日本に持ち込んでみたらいけるんじゃないか?と思い、思い切ってトライしたのです。アメリカの実態を目の当たりにして、日本の意識がいかに遅れているかを実感し、男性社員たちの猛反発を受けながらも(実際に会社を辞めていった社員も多かったとか)、生理用品の取り扱いに踏み切りました。商品開発に励む一方で、しらみつぶしに問屋さんに飛び込み売り込みました。商品を身につけた高原さんがトイレを借りて取り出し、優秀さを説明しようとして相手を呆れさせたとか、高原さん自身が自ら生理用品を装着して寝ていた、と本で読んだことがあります。言われのない社会通念や古い意識を変えるときや」が彼の口癖でした。経済発展とともに女性の社会進出を見越して、経営の軸足を生理用品に移しました。「生理の不快感をなくせばどれほど女性のお役に立てることか」と使命感に燃えて、世の中の役に立ちたいという強い思いを実現していきました。女性の社会進出・活動を側面から支援する功績がありました。消費社会の構造変化をかぎ分ける嗅覚は鋭く、紙おむつ、老人用紙おむつ、ペット用品と紙を軸に成長分野へと事業の幅を広げていき、アジアを中心とした新興国へも進出をして大成功を収めています。

 2006年に脳梗塞で右半身が不自由になりましたが、持ち前の負けず魂で医者も驚くほどの回復を遂げ、意欲は晩年まで衰えなかったといいます。そんな高原さんの、私の心に染みた名言のいくつかを挙げておきます。噛みしめたいですね。❤❤❤

▲当たり前のことを、当たり前とバカにしている人は成功できない。当たり前がいちばんむずかしく、また見落としやすい。突飛なことや奇をてらうのは、一見、派手で目立ちやすいが継続がむずかしい。

▲賢い人が失敗するときは、その賢さに足をすくわれる。愚直に、一心不乱に、取り組んでいる人がいたら、その人こそ恐れよ。

▲物事をまっすぐにとらえ、素直、健全に行動すること。それが成功への最短距離になる。複雑なことほど単純に考え、単純なことほどじっくり考えよう。

▲今、不満を言う人は、もっと面白い場面や場所があるのに、これを探そうとしない横着者だと思う。

▲冷たい水に真っ先に飛び込み、率先して泥をかぶる覚悟を決めよ。その必死で真剣な思いがおのずと人の心を動かし、周囲にも伝わっていく。

▲本を読むとき、私たちの精神は活発に動き出す。読書の習慣をつけよう。孤独で静かな時間を確保して、その井戸を掘り下げよう。

▲失敗を失敗のまま放置したとき、失敗が失敗として確定してしまう。失敗してもチャレンジすれば、いつも成功の過程にいられる。成功するまで続けることが成功のコツ。

▲ケタ違いの努力をすれば、才能などなくても凌駕できる。努力なんて当たり前のこと。努力という言葉を必要としない努力こそが本物の努力だ。

▲「もう」といいたいときに、「まだ」といってみると、それだけで気持ちが前向きになる。言葉には意識を変える力がある。自分のテーマを言葉にしてみよう。

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