A rolling stone gathers no moss.2つの意味の理由

 私がまだ教員に成り立ての若い頃に、 A rolling stone gathers no moss.(転石苔むさず)に、二通りの解釈が存在するということがよく話題になっていました。すなわち、(A)「落ち着きなく転居や転職を重ねて動き回っていると財産も地位も身につかない」(悪い意味)(B)「常に活動的に動き回っているものはいつまでも古くならない」(良い意味)と、英米で、+-全く正反対の意味に取られるという興味深いものです。当然、この問題はさまざまな研究書に取り上げられ、結論的には(A)はイギリス古来の解釈、(B)はアメリカの新しい解釈、という扱いが一般的であったようです。しかしこれをもって、(A)―英用法、(B)―米用法と割り切るのはとても危険です。そのことを、私の調査結果を踏まえて、「現代英語の語法観察(4)」(『研究紀要』第49号 島根県立松江北高等学校)の中で明らかにしました。⇒コチラで全文を読むことができます このブログでも、そのエッセンスを紹介しています。⇒コチラです  今日はその続きです。

 同じ表現でも、「苔」の解釈一つで、これほどまでに受け止め方が異なるものか、と面白く思ったものですが、なぜそのような意味の違いを生んだのか?ということについては、どこにも解説が見当たらないようですので、ここで考えてみたいと思います。興味のある方は、外山滋比古『歯切れよく生きる人 知的な健康生活』(祥伝社黄金文庫、2017年)『日本の英語、英文学』(研究社、2017年)を読まれるとよいでしょう。

 日本もそうですが、雨の多い多湿のイギリスでは、コケは美しく好ましいものと感じられています。コケも生えないというのは貧しさを暗示するのです。コロコロ転がっていたら何も身につかない。その点では日本も同じで、コケを自慢する「コケ寺」があるくらいです。いかにも風情がありますね。日本の国歌の「さざれ石」も、コケがむすまでじっとしているのがよい、という意味ですね。絶えずあちこちに住居を変えたり、やたら仕事を変えたりする者はコケをつけない転石と同じである、成功しない、一つのことにじっとしろ、という意味で使われてきました。他方、アメリカは、イギリスや日本に比べると気候が乾燥しています。湿地でないと育たないコケはむしろ不潔で邪魔な好ましくないもの、コケのつかないのは結構なことだとなります。コケがアメリカではあたかもサビのように感じられるのでしょう。才能や能力のある人は、一カ所にじっとしていない、次々と仕事を変えて多忙で錆びついたりすることがない、コケもつかないという、転がる石はコケをつけなくていい、と考えるわけです。絶えず動き回っているのは優秀な人間で、動いていればコケのような余計なものがついたりはしない、いつも輝いている。日本における終身雇用のように一つの所にじっとしていたら、いつまで経っても飛躍は望めない。条件のいいところがあったら、どんどん転職していったほうがよい。活動的なアメリカ人は、転がる石を評価するのです。戦後の日本では、なぜかコケを美しいと感じない人が増えたようで、転がる石はいい石だというアメリカ的な解釈が、若い人を中心に広がったようですね。世界的ロック・バンド「ローリングストンーズ」(The Rolling Stones)の活躍・人気も、このことに拍車をかけたかもしれません。❤❤❤

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