「ミラクルエッシャー展」

 大阪・天王寺にある「あべのハルカス美術館」(16階)で開催中の「生誕120年 イスラエル博物館所蔵 ミラクルエッシャー展」の来場者数が、5万人を突破して大人気のようですね。私が出かけたこの日も、朝から開場時間(10時)を待つ長蛇の行列ができていました。私は荷物をロッカーに預けて、先に展望台(58階~60階)の方に上がって、その後で美術館会場に出向いたのですが、それでもすごい行列です。私は展望台美術館の共通券(2600円)を買っていたので、チケット・カウンターに並ぶことなく、館内へと向かいます。大行列です(写真下)。

 「だまし絵」として有名なマウリッツ・コルネリス・エッシャー(1898~1972)は、20世紀を代表する奇想の版画家。“視覚の魔術師”とも呼ばれる彼は、独特の構図と唯一無二の技法を使った「だまし絵(トロンプ・ルイユ)」の作品で有名ですね。コンピュータの存在しない時代に発想した、緻密で数学的なアートワークは人々を驚かせました。本展はエッシャーの生誕120周年を記念して、世界最大級のエッシャー・コレクションを誇る「イスラエル博物館」から選りすぐられた作品152点が、日本初公開されています。彼の代表的な作品に加え、初期に制作された作品、さらにその版画制作に使用された板や、直筆のドローイングなどが集結しています。

 本展は「エッシャーと科学」「聖書」「風景」「人物」「広告」「技法」「反射」「錯視」の全8章から構成され、各章ごとに様々な切り口でエッシャー作品を楽しむことができます。さらに今回の展覧会は、版画作品だけでなく初期の作品や木版、直筆のドローイングなども鑑賞できる貴重な機会ですね。エッシャーが版画家として生きる決意をしてから、成熟するまでの道程を窺い知れる内容となっていました。現在の感覚では、まるでCGによる画像加工のように見えるんですが、当時彼は図面上に緻密な計算を行い、完成させたそうですよ。

 トリック・アートが大好きな私は、中でも「錯視」展示に興味があります。重力に逆らって流れる水が描かれた「滝」や、水田の風景がいつのまにか鳥に変化する「昼と夜」など、ひとつの空間に複数存在する重力や、モチーフが変化し続けループするエッシャー特有の“ありえない不思議な世界”は、いつまでも見ていたくなります。本展示最後に迎えてくれる幅4mの大作「メタモルフォーゼⅡ」は、彼の集大成とも言える作品です。エッシャーの代表的な構図の原点ともいえる、抽象的な形がだんだんと具体的な姿に変容していく横長の構図が特徴です。文字からはじまり、様々な形態が変容しながら循環し続け、やがて最初の文字へと戻る。これは彼の芸術の極点であり、まさに圧巻でもありますね。

 また、エッシャーは、作品によって版画技法を変えたり組み合わせて、作品の完成度を高めていたのですが、本展ではその技法についても詳しく解説されているため、より彼の作品に対する興味と理解を深めることができるでしょう。実現不可能な建築表現や、永遠に変化し続けるパターンを描いたイメージなどの“ありそうでありえない世界”は、エッシャー芸術の真骨頂です。それは、当時の数学者たちが発表した不可能な図形に着想を得たものもあり、エッシャーが独自に発展した理論が形になったものです。エッシャーと言えば、トロンプ・ルイユと呼ばれる手法のだまし絵が特に有名で、「だまし絵しか書いてない」と思われがちです。しかし実はだまし絵以外にも、さまざまな作品を残しています。エッシャーが生まれたイスラエルはユダヤ教とキリスト教とイスラム教の聖地であるエルサレムのある国であり、キリスト教が主題の作品も多く描かれていることが、本展示ではよく理解できます。聖書にも登場する「バベルの塔」は圧巻でした。だまし絵的な要素はないのですが、緻密な遠近法によって描かれた塔は、ものすごい高さが表現されています。

 展示の最後は、体験型映像コンテンツとして「ミラクルデジタルフュージョン」のコーナーで、表彰台のような台に上がって、いろいろなポーズを取ると、それをカメラが撮影してくれて、エッシャーの代表作「相対性」とCG合成してくれるのです。その映像が画面に写し出されるのを各自がスマホで記録するというサービスでした。上の写真で、私がどこにいるか分かりますか?合成した動画データは持ち帰ることも可能なので、SNSに投稿してもらおうという試みです。実に面白かった。充実の展示会でしたね。

 出口には「ミュージアムショップ」があり、エッシャー関連の商品もたくさん販売されていました。その昔、エッシャー「錯視トランプ」を、どこかのトリックアート美術館で買った記憶があるんですが(今どこにあるんだろう?)、今回は、展覧会公式図録」、「ポストカードセット」、「フリップ絵画集」、「レンズクリーナー」、「クリアファイル」等を購入して帰りました。必見は「図録」で、通常の製本方法と違い、コデックス装と呼ばれる180度開く豪華製本。これによって図録を手で押さえなくても、好きなだけエッシャーの不思議な世界に没入できます。また、「メタモルフォーゼⅡ」という超横長の大作作品だけでなく、全作品が収録されています。会計場では、4種類の中から1つブック・バンドをサービスしてくれました。帰ってから、もう一度全作品を見返しているところです。

 この「ミラクルエッシャー展」は2019年1月14日(月・祝)まで「あべのハルカス美術館」で開催されています。土・日・祝日や会期終盤になると混雑が予想されますので、興味のある方は早めに行かれることをオススメします。❤❤❤

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