『ピアノスイッチ』

 私の大好きなピアニスト西村由紀江(にしむらゆきえ)さん(51歳)が4月24日に通算40枚目の新アルバム『ピアノスイッチ~ベストセレクション~』をリリースされました。繊細な表現力とオリジナリティあふれるメロディーに、多方面からリスペクトされ続ける孤高のピアニストです。年間60本を超えるコンサートの他、ライフワークとして「学校コンサート」(以前、大田高校にも来て頂きました)、「病院コンサート」、被災地にピアノを届ける活動(Smile Piano 500)を継続しておられます。通算40枚目となる新作は、ファン屈指の人気曲と新曲を織り交ぜた、全曲ニュー・レコーディングで臨むピアノ・ソロアルバムです。私はDVDの付いた特別盤を購入しました。彼女がまだ音大生の頃から応援しているんです。ドラマ『101回目のプロポーズ』の音楽担当になった記念のイベントに、東京・渋谷のベルコモンズまで出かけて、担任の女生徒に頼まれていた楽譜にサインをいただいたのもいい思い出です。若い頃、私の深夜の仕事部屋には、西村さんの美しいメロディーがいつも流れていました。そんな西村さんも、以前、約20年間所属した財団法人「ヤマハ音楽振興会」から思わぬリストラをつきつけられ、辛い思いを経験しておられます。なんで自分がこんな目に遭わなければいけないのか、と自問し悶々とする日々を送っておられます。そんな苦悶の様子は、以前にこのブログでも詳しく紹介しました。(→なぜ私がこんな目に~西村由紀江」コチラです)あの辛さを乗り越えたからこそ、今日の西村さんがあります。

▲セカンドアルバム  まだ音大生の頃のあどけない西村由紀江さん

 「なんで自分がこういう目に遭わなければいけないんだろう」と、悲観的に考えていたが、日ごとに、「きっと離れる時期だったんだ」と思えるようになった。急に環境が変わるときには、起こっていること一つひとつに腹を立てたりしがちだが、人生の中の大きな流れとして客観的に見てみると、必要があっての変化なんだと納得できる。―西村由紀江『私が輝くとき』(成美堂、2007年)

 「ピアノは楽しい。興味のある人が弾きたくなる、弾いて楽しくなる曲を作りたい。そんな思いから生まれたメロディーを新アルバムに収録しました」と彼女。40作目の節目を迎え原点に回帰する思いで、過去39枚のアルバムから、人気曲のリアレンジ版に、新曲を加えた全15曲に仕上げました。「弾く人が楽しくなるようなアレンジを考えました。例えば、演奏中に手を交差させてパーカッションの用に弾く場面や、黒鍵だけで弾けるように作り直しました」。これらリアレンジ版のピアノ曲集(楽譜)も、あえて楽曲ごとに難易度を提示、本人による演奏アドバイスも掲載したものを同時発売しています。「ピアノを弾く『憧れときっかけ』になれるような1枚です」と笑顔いっぱいです。

 アルバムタイトルは、昨年初めて共演したアーティストの大塚 愛さんから「8歳の頃、(西村の楽曲)『夢を追いかけて』でピアノ好きスイッチが入りました」と掛けられた言葉から名付けられたものです。昨年5月に開催された「第6回ならピ!」(Nara Piano Friends)の終了後、大塚さんから「ピアノを続けられたのは西村さんのおかげなんです」と声をかけられました。レッスンでピアノの先生から怒られて、もうピアノをやめようかと思った時に、西村さんの「夢を追いかけて」を弾いて、こんなに情景が浮かぶピアノの世界があるのか、と驚いたと言います。


西村さんは8歳の私に、ピアノが景色や人の表情、言葉を浮かばせてくれるものだと教えてくれました。「夢を追いかけて」でピアノ好きスイッチが入りました。   〜大塚  愛~


 今回のアルバムのコンセプトは、シンガーソングライター・大塚 愛さんのそんな言葉から生まれた、と西村さんは言います。「あるイベントでご一緒させていただいた時、大塚さんがピアノの弾き語りをされていました。ピアノが好きだという気持ちがひしひしと伝わってきて、素敵だなと思って見ていたんです。でも、私のことなんてご存知ないだろうと思っていたら、こんな言葉をいただいて」かねてから、ピアノの伝道師としてその楽しさを伝えていきたいと考えていた西村さんにとって、“ピアノスイッチ”という表現は言い得て妙。胸にストンと落ちたその言葉をキーワードに、アルバム制作がスタートしました。収録曲は、これまでの作品のリアレンジ版と新曲を織り交ぜた全15曲。でも過去の作品とひと口にいっても、その数はCDになっているものだけでも500曲以上に及びます。「曲の取捨選択は意外とスムーズでしたね。私がデビューしたのはディスコサウンドが流行っていた時代。ポピュラリティ―がないとか、地味、キャッチーじゃないなどと言われました。その記憶があって、耳に残る曲、口ずさめる曲をつくらなければいけないと、ずっと勝手に思い込んでいたんです。でも、今回“ピアノが弾きたくなる曲”という観点から選曲してみると、こんなに自分らしくいられるんだという発見がありました。デビュー33年目にして、新人に戻ったような気分でしたね」 すべての曲をリアレンジし、レコーディングに臨みました。私が若い頃にのぼせて聴いていた名曲がいっぱい詰まったアルバムです。ベスト盤ですが、15曲全て、弾く姿勢・向き合い方を変えて音源も録り直しています。全てが新曲の気分だとおっしゃいます。常に新しいことにチャレンジし続ける西村さんらしい試みです。最新の『月刊ピアノ』5月号には、今回のアルバムに関して、西村さんのインタビューが掲載されていて興味深く読みました。❤❤❤

《今回のアルバム収録曲目》
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1. あなたに最高のしあわせを
2. オルゴールを聴きながら
3. objet
4. 天空のワルツ
5. 夢を追いかけて〜薫のテーマ〜
6. 手紙
7. やさしさ
8. 雪の路
9. My Classic
10. 黒鍵
11. 少女がみたもの
12. 終わらない旅
13. DREAMS
14. すき
15. 時のきらめき
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DVD収録映像
「オルゴールを聴きながら」MV(新作)
「少女がみたもの」オーケストラVer. ※2016年6月放送MBSテレビ「ならピ!」より

【補足情報】

 上のCDのジャケット写真は、西村さん初めての着物姿です。大正15年に制作された日本画家 中村大三郎作・屏風「ピアノ」(京都市美術館所蔵)を参考にしています。ピアノを弾いている女性は、中村大三郎さんの奥様、都由子さんで、描かれているピアノは、チェコスロバキア製「ペトロフ」です。丁寧に描きこまれた楽譜から、演奏しているのは「トロイメライと小さなロマンス」であることがわかります。この「ペトロフ」は大正時代に京都・明倫小学校に校区の有志から寄贈されたピアノで、戦争や小学校の統廃合など、長年の間に痛みが進み京都芸術センターとなった校舎に保管されたままとなっていました。このピアノの存在を知る方々のお声がけによって、忘れられていた響きと容姿をもう一度蘇らせようと、京都芸術センターの協力のもと「明倫ペトロフの会」ができました。ピアノ修復のため2005年から15回のコンサートを開催し、その収益で屏風「ピアノ」に描かれた姿を元に、脚部や譜面台も忠実に再現した姿にピアノを蘇らせ、2008年11月15日に修復完成コンサートを開きました。現在も京都芸術センターに保存され、年に2回春秋コンサートも開かれています。2018年には100年を迎えました。

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