「お久しぶりです」の英語として知られるLong time no see.が、最近も英作文に出てきました(以前私はこの句についてブログで触れたことがあります⇒コチラ)、ピジン英語が起源と言われ、「親しい間で用いる」というのが、たいていの人の理解でしょうか。和英辞典を見ると、次のように出ています。
●くだけた言い方 ―『ジーニアス和英辞典』
●親しい間柄で用いる。これをもじってLong time no talk.ともいう ―『ウィズダ
ム和英辞典』
●親しい間柄で用いる。これをもじってLong time no talk.もよく用いる ―『グラ
ンドセンチュリー和英辞典』
●くだけた言い方ではLong time no see. ―『ライトハウス和英辞典』
松江北高のALTジーノ先生によれば、友達同士ではよく使う、でも職場のボスにはちょっと使えない、職場の同僚にならOKだ、とのことでした。あまりにも”informal” “casual”な表現だからです。
『日本経済新聞』の、デビッド・セイン先生の「ドンマイ!イングリッシュ」(2014年5月3日付け)の同欄には、次のような記事が掲載されました。そこには、私の知らないこの句のニュアンスについて書かれていました。私はすぐにコピーを取って英語科の先生方に回覧しました。
日本語の表現には英語にしにくいものがあります。「久しぶり」もそのひとつ。これにあたる表現としてLong time no see.という英訳があてられているのをよく見かけます。これでも通じないことはありませんが、気持ちがこもっていない社交辞令のように聞こえます。つまりこれでは「久しぶりに会った喜び」は表れていないのです。ネイティブはこの表現を単なる挨拶として、また時には皮肉にも使うことがあります。例えば数日間ずる休みをした同僚にLong time no see.などと言ったりもします。「おやおや、久しぶりですねー」と言ったニュアンスでしょうか。久しぶりに会えた喜びを伝えたいならHow have you been?という表現を使うといいでしょう。同じく、It’s been a long time.という表現もよく使われます。大事なのはスマイルとうれしいという気持ちです。
最新刊のジェームズ・M・バーダマン『英語の処方箋―「日本人英語」を変える100のコツ』(ちくま新書、2019年5月)にも(この本オススメです)、注意が喚起されています。❤❤❤
「お久しぶりです」という意味で、”Long time no see.”を使う人は日本人に多い。しかし、どのような場合も”Long time no see.”で良いという訳ではない。友達同士のくだけた会話ならば問題はないだろうが、年齢が離れていたり、社会的立場が異なるような場合は避けたほうが良い。学生が教授に向かって使ったら、教授のほうはちょっと不愉快に思うはずだ。 (p.16 )