ミスしたら負け~自己採点

 今年の「日本シリーズ」は巨人の完敗でした。あれだけたくさんジャイアンツにミスが出たらもう勝てません。内野手山本の2回に渡る大チョンボ、若林がサードゴロをヒットにしてしまったプレー、岡本の三塁前のバントをダッシュが遅れて内野安打にしてしまった怠慢、増田の暴走、一死満塁で岡本のフェンス直撃の二塁打で二人しか帰って来れず、おまけに岡本は挟まれてアウト、それぞれが失点・得点に直結するミスでした。野球はミスをしたら負けです。一方のソフトバンクといったら、守備の下手なデスパイネが、フェンス際の大飛球を捕りきれずに二塁打にしたぐらいのミスがあっただけです。内外野ともに鉄壁の守備陣でした。明らかに力の差があった両チームでした。

 「ミスしたら負け」というのは野球に限りません。私が身を置いている教育の世界でも、センター試験」「自己採点」でミスが目立ちます。そもそもマーク模試の「自己採点」段階からデタラメです。○×の確認だけの採点がきちんとできないのは一体どういうことか??某予備校のデータによれば、自己採点と実際の得点が一致しない生徒の割合は82%もあります。模試会社の公表によれば85%とも言われています。ですから少々自己採点が間違っていても、「みんなで渡れば怖くない」実態があるので、合格していきます。でもよ~く合否結果分析を見てみると、自己採点が10点以上間違っている生徒は、まず難関大学には不合格になっています。ひどいのになると数十点も違います。笑ってしまったのは、数年前に浪人して補習科にやってきた生徒の成績開示を見ると、自己採点と117点(!)も違っていました。しかも地方大学に合格してきていました〔笑〕。成績が悪いことよりも、自己採点がデタラメなことの方が問題ですが、もっと問題なのは、それをきちんと理解してミスをなくす努力をきちんとしている生徒が非常に少ない、という点です。なんとなく済ませてしまっています。担任も「きちんとしなさい!」とは言うけれど、それ以上の手立てを講じようとはしません。無関心なんです。私が松江北高に赴任した今から15年前は、模試の各回ごとに全クラス追跡をかけて、対策を講じていたものですが、今はそれもありません。当時は、冬休みに学校独自で行うセンター模試演習でさえも、その日のうちにマークリーダーで得点と自己採点の照合をしていたぐらいです。こういう基本(私は「ABC」(たり前のことをカになってゃんとやる)と呼んでいます)がきちんとできていたから、進学成績も好結果が出ていたことを忘れてはなりません。

 今日は、なぜ「自己採点ミス」が起こるのか?その原因を考えてみたいと思います。私の考える主な原因は次の通りです。いずれも2回点検することで防げる凡ミスばかりです。

(1)問題を解く際に、自分の解答をきちんと問題用紙に転写していない。問題番号をずらしてしまう。不鮮明でどれにマークしたのかが読めない。消しゴムできちんと消していない。その結果、自己採点当日に自分の答案が再現できなくなる。

(2)問題用紙の解答を「自己採点用紙」に転記する際に写し間違える。もう1回点検することで防げるミス。

(3)正解と自分の解答を照合する際にうっかり○×を間違える。もう1回点検することで防げるミス。

(4)得点を小計、合計する際に暗算でやって間違える。電卓を使って、2回計算することで正確に合計できる。自己採点当日、電卓を忘れ手計算でいい加減にやっている生徒も目につく。

(5)解答用紙にマークする際に、決められたようにマークしていないので(形、濃さ、消し忘れ)機械が読み取れない。

受験ノイローゼのイラスト(男性)

 これらはもう一度見直す(検算)ことで全部防ぐことができますね。いかに正確な「自己採点」が重要かは、受験指導を長年やった先生なら、よくよく分かっておられることでしょう。以前に、英語のセンター本試験の分布で、平均点付近で2点違うとどのくらいの順位が違ってくるのかを、同僚の数学科の正村先生に計算してもらったことがあります。それによれば9,504人です。長文問題1問6点違うと、28,621人です。どうです?馬鹿にならないことが一目瞭然でしょう?たった1問でこれだけ順位が異なってくるのです。模試の判定でも、自己採点がデタラメ状態では、デタラメな志望校判定結果しか返って来ません。ましてやこれが本番となると…?この恐ろしさを生徒にきちんと伝えて、毎回追跡をかけて、限りなく自己採点ミスを0点に近づけていく努力を怠ってはなりません。現場では「忙しい」と称して、こうした努力を行っていない学校が数多くあります。私には本末転倒の「言い訳」としか思えません。生徒の「自己採点」を信じて、二次出願を行う訳ですから、そこをきちんとしておかないと、ボロボロと取りこぼしが出てくるでしょう。長年進路部長を務め、毎年校内データ追跡をしながら痛感したことです。

 私は若い頃、島根県立松江南高等学校に13年間勤務させていただき、そこで教師として、一から育ててもらいました。当時は「北高に追いつけ、追い越せ!」を合い言葉にして、方法論こそ違え、全教員がそこを目指して精一杯努力をしていました。そしてそれを実現して、島根県のトップに立ったものです(今はもう見る影もありませんが…)。今では信じられないでしょうが、センター試験の初日、2日目に島根大学で試験終了後には、会場で担任が生徒一人一人から問題用紙を段ボール箱に回収して持ち帰っていたんです。これには三つの理由があって、①初日、家に帰って自ら自己採点をしたりして2日目に動揺する生徒を出さないため②学校での「自己採点」当日の問題用紙忘れを避けるため、そしてここが一番重要なんですが、③担任がその夜のうちにクラス全生徒の自己採点をして、翌日学校で生徒の自己採点との照合をして正確を期すため。当時は、ここまでやっていたんです。真夜中に、その結果を担任同士で電話連絡を取り合ったりしたものです。忘れられない想い出ですが、ある年には真夜中にクラス全員の自己採点をしていて、英語があまりにも点が低いので、ショックで鼻血を出した〔笑〕こともありましたっけ(実はこの年は英語がとびきり難しく全国平均点が96.4点で、私のクラスの生徒たちはかなり高得点を取っていたにもかかわらず、見かけの点の低さに愕然としたものです。英語のセンター試験平均が100点割れを起こしたのはこの時だけです)。すでに「自己採点」の始まる当日には、生徒の点を担任がちゃんと把握しているのですから、生徒がいい加減な「自己採点」をすればすぐ突き返すことができました。ここまで正確を期してやっていたのです。

 教員が「忙しい」と称して、肝心の所で手抜きをしているのがとても気になります。事情の分かっている私などは、「ここできちんとやっておけば後で楽ができるのに。結局、後で苦労することになるのになあ…」と感じています。「負けに不思議の負けなし」です。○×の「自己採点」くらいきちんとできなければうそです。今の松江北高で「自己採点」をパーフェクトにやっているのは、クラスに数人だけです。おそらく全国の学校でも同様の実態でしょう。みんながそういう実態だから少々間違えても合格できる…。♠♠♠

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