「穴熊校長は学校を潰す」?

 若い頃は将棋が好きで、のぼせてやっていた時代もあります。引退された加藤一二三(かとうひふみ)先生が大好きで(今や「ひふみん」としてアイドルになってしまわれましたね!)、「矢倉」を一生懸命勉強したりもしていました。すると、田中寅彦(たなかとらひこ)先生が登場して居飛車穴熊」戦法を駆使して勝ちまくりだしました。王将を自陣の隅に囲い込んで、金、銀、桂馬、香車で守る鉄壁の陣形ですね。ちょっとやそっとでは、王手がかからず、数ある将棋の守備陣形の中でも最も堅牢と言われています。故・大内延介(おおうちのぶゆき)先生が愛用された王囲いです(2017年にお亡くなりになりました⇒コチラです)。当時は私も真似をして結構勝っていました。もう最近は、将棋を指すこともほとんどないので、ずいぶん弱くなりました。常勤で現場復帰して、松江北高将棋部の顧問を務めましたが、生徒たちに全く勝てませんでした。序盤はいいところまで行くんですが、終盤は全くダメです。さて、今日の本論は穴熊社長は会社を潰す」です。

 経営コンサルタントの大御所、一倉 定(いちくらさだむ)先生は、穴熊社長は会社をつぶす」という名言を残しておられます(私は一倉先生の残された数多くの名言を愛唱しています)。組織のリーダーが穴熊のように社内に閉じこもり、部下に指示するばかりでは、組織の衰退は間違いなしだ、と言うのです。お客さんや世間のニーズは、会社の中にいては絶対に感じ取ることはできません。常に会社内・現場・世間をしっかりと観察して、現場の問題点を洗い出しておかねば、会社のさらなる発展は見込めないでしょう。自社製品がどのように陳列されており、お客様が手に取っているのか、いないのか、手に取っているとしたらどういった客層が多いのか、といったことを細かく観察することが必要です。加えて、自社のライバル商品をチェックし、価格面、外観、性能面など、比較すべきポイントは山のようにあることでしょう。時には自らユーザーとなって使ってみて、体感する事も重要です。経営者が社内に穴熊のようにこもっていては、お客さんのことや現場は絶対に分からないということを、厳に戒められた言葉がこれです。環境変化やお客様の動向、現場での状況を経営者が見極めることは、企業の「方向づけ」をする上でとても大切なことです。また、現状が上手くいっているかどうか、あるいは逆に現場での問題点を見極めるためにも、お客様の意見や現場がとても重要です。それは、社長室にで~んと座っているだけでは分かりません。社長室の外へ出て、現場を見る、お客様を訪問するといったことを行わないと分からないことです。

 私の尊敬する経営コンサルタントの小宮一慶(こみやかずよし)さんのお話によると、小宮さんの会社(東京・麹町)のすぐ近くに、セブン&アイホールディングスの大きな本社ビルがあり、それに併設して、傘下のファミレスのデニーズがあります。小宮さんが、お客さんやスタッフとときどきデニーズで食事をとっていると、そこで何度か、創業者の伊藤雅俊さんをお見かけしたことがあるそうです。もう90歳を過ぎてご高齢なんですが、ご自身で階段を上り、2階のお店にやって来られるのだそうです。売上高6兆円もの会社の創業経営者ですから、デニーズの料理を食べたいのなら、秘書に言えば名誉会長室まですぐに届けてもらえると思うんですが、ご自身でお店に出かけて食べられるのです。味だけなら、名誉会長室で食べても分かりますが、お店の雰囲気や、サービスの状況、そしてお客さんが何を食べ、満足されているかどうかは、お店まで出ない限り絶対にわかりません。やはり、一代で会社を大きく伸ばす経営者は、お客さんを直接見ることや現場を大切にされるのですね。名誉会長でもあり、高齢であるので、そこまでしなくてもと思われるかもしれませんが、その「一歩の踏み込み」を自然にできるところが、一般の人と違うところなのでしょう、と小宮さんは観察しておられました。なるほど!

 長年教育現場に勤め、よ~く考えて見たら、このことは学校現場にも言えることでないかと感じるようになりました。松江北高・元校長泉 雄二郎(いずみゆうじろう)先生(現・島根大学 教育・学生支援機構アドミッションセンター教授)は、朝早くからいつも校内を歩き回って、学校内を鋭く観察をしておられましたね。今学校がどうなっているのかを、ご自分の目で確かめるべく、暇があると校内を歩いて細かなところまで目を光らせておられました。廊下で生徒に声をかけ、先生方の授業をしょっちゅう見に来られていました。学校外部の多くの方々とも太いパイプを持っておられ、その方々から絶えず情報を仕入れられ、北高を客観的な立場で俯瞰しておられました。我々教員に、朝礼や職員会議で、それらをフィードバックしてくださっていました。一方、対照的に、校長室に引き籠もって本ばかり読んでいる校長先生もおられましたね。東大の合格人数にしか興味のない校長も。研究授業に顔を出したことのない校長も。夜遅くまでみんなで頑張る高校入試の採点当日、さっさと帰ってしまった校長も。生徒・学校の成績に全く興味のない校長も。穴熊校長は学校を潰す」と言えるかもしれません。

 やはり一倉 定先生の言葉に、「良い会社とか悪い会社はない、あるのは良い社長と悪い社長である」というのがあります。私はこれをもじって、「良い学校とか悪い学校はない、あるのは良い校長(教師)と悪い校長(教師)である」と言っています。❤❤❤

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 補足です。一倉 定先生は、1918年4月群馬県前橋市に生まれ、1999年3月に80歳でお亡くなりになりました。5000社を超える企業を指導し、多くの倒産寸前の企業を再建しました。徹底して、現場実践主義とお客様第一主義を標榜。経営コンサルタントの第一人者とされ、苛烈なまでに経営者を叱り飛ばす姿から、「社長の教祖」「炎のコンサルタント」との異名を持つ指導者です。中小企業の社長さん方には絶大な人気で、二日間で7万8千円のセミナーには、千人もの社長さんたちが押し寄せました。それを年に6回、30年間も続けておられたのですから、人気のほどはお分かりでしょう。「ダメな会社はTOPがすべて悪い、人のせいにするな、部下のせいにするな、環境のせいにするな」が基本方針。空理空論で経営する社長や、利益だけを追求する社長に対しては、烈火の如く怒り叱り飛ばすとされ、「こんなに叱られるのは生まれて初めてだ」「講義と聞いて来たが、これは講義ではない、落雷だ」との感想を述べる経営者もいたそうですよ。事業経営の成否は、社長次第で決まるという信念から、赤字会社の社長だけを対象に、情熱的に指導した異色の経営コンサルタントです。社長を小学生のように叱りつけ、時には、手にしたチョークを投げつける反面、社長と悩みを共にし、親身になって対応策を練る、まさに「社長の教祖」的存在でした。「経営者として成功したければ、電信柱が高いのも、郵便ポストが赤いのも、全部自分のせいだと思いなさい」という言葉もありましたね。「社長が知らないうちに起ったこと」でもすべて社長の責任なのだ。会社の中では、何がどうなっていようと、結果に対する責任は、すべて社長がとらなければならないことを述べた言葉です。自分は知らなかった、部下がやったことで、と言い訳する社長がいかに多いことでしょう。指導者はそれぐらいの覚悟を持ってあたらなければ、成功はおぼつかないということでしょう。そのような指導者がいかに少ないことか!♠♠♠

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