『屍人荘の殺人』

 「デビュー作にして、前代未聞の3冠達成!」(『このミステリーがすごい』、<週刊文春>ミステリーベスト10、『2018本格ミステリ・ベスト10』)という キャッチコピーにつられて、一昨年末に買っておいたのが、今村昌弘『屍人荘(しじんそう)の殺人』(創元社、1700円税別)でした。第27回鮎川哲也賞」受賞作品です。2018年の「本屋大賞(全国書店員が選んだ一番売りたい本)にもノミネートされていました。当時の新聞には23万部突破とありました。新人にして、処女作がこれだけ売れるというのは、推理小説の世界ではまずあり得ないことです。残念ながら、急ぎの原稿書きと他に読むべき本がたくさんあり、ずっと読むことができずにいました。ようやく時間が取れたので、一気に読み上げました。昨年文庫化されて出ていますね。

     私は高校時代は、エラリー・クイーンに夢中になり(国名シリーズ)、大学時代はアガサ・クリスティを全冊読破、教員になってからは、島田荘司・綾辻行人・法月綸太郎などの「新本格派」の推理小説にのめり込んだ、完全なミステリー・マニアなんです。アール・スタンリー・ガードナーの弁護士ペリー・メイソン物や、ド・マクベインの警察小説も大好きで、英語の勉強を兼ねてずっと読んでいました。熱狂的なミステリーファンです。

 「史上初、デビュー作にして3冠達成!」は、決して大げさな宣伝ではありませんでした。本格推理+奇想天外」の組み合わせで、一気に読むことができます。前半は多少まだるっこしい所にも気がつきますが、後半部分は怒濤の驚きの連発です。この若い作家さんはすごい!これがデビュー作とは思えませんでした。大学のホームズと呼ばれている明智(あけち)くん。その相棒・葉村(はむら)くんが、若くして数々の事件を解決。同じ大学の美少女と共に参加した映画研究会の湖畔の別荘での夏合宿。去年、自殺者まで出したいわくつきのその合宿は、とある理由で(これがとんでもなく奇想天外!)、クローズドサークル(閉ざされた場)になり、一夜明けて発見された部員の惨殺死体…。こういう「陸の孤島」の中で幕が上がる連続殺人!!!ミステリーマニアにはもう堪りませんね。ゾクゾク物です。でも、どうせ、去年自殺した人の関係者や恋人とかによる復讐でしょ、と分かるところまではいいんです。スマホを駆使する今どきの若者たちの間で、そんな閉ざされた状況を作れるのか?!がポイントです。そうきたか!!ビックリ!!どんなに自分の頭が「型」にハマっていたか。常識に囚われていたか?!を思い知らされます。単行本で重くて、値段も高かったけれど、読んで良かったですね。ただ、記憶力低下のせいで、巻頭のホテルの見取り図と、多くの登場人物の名前を何度も何度も見返すのが大変!途中で、多くなりすぎた登場人物の名前を、分かりやすく覚えやすく解説する場面では苦笑しました。でもこの描写はありがたかったですね。

 さて昨年末に、この作品の映画が公開されました。どう映画化されるのかに興味があったので、私は先日、イオン松江東宝」に見に行ってきました。結論的に言うと失敗作です。原作のおどろおどろした緊迫感は全く感じられず、一種のコメディ映画になりさがっていました。原作者の今村さんはこの映画をどう感じておられるのか、聞いてみたいとことですね。ただ、驚いたのは、映画の冒頭に、新日本プロレス永田裕志(ながたゆうじ)選手が、本人役でランニングをするところがありました。葉村譲(神木隆之介)、剣崎比留子(浜辺美波)、明智恭介(中村倫也)が訪れるサベア湖に、トレーニング中たまたま通りかかり、その後事件にも巻き込まれてしまい、なんと最後の場面ではゾンビとして登場しています。プロレスファンには堪らないシーンですが、「一体なんでー?」という疑問が湧きました。なんでも、この映画の木村ひさし監督は、自作の映画に“プロレスネタ”を放り込んでくることで有名なんだそうですよ。♥♥♥

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