水野・小田コラボ

 「いきものがかり」のメンバーであり、たくさんのアーティストへの楽曲提供でも知られるソング・ライターの水野良樹(みずのよしき)さんが、「考えること  つながること  つくること」これらをもっと豊かに楽しむための「場」を、他ならぬ自分自身の手で作りだしたい、そんなコンセプトのもと、立ち上げた新プロジェクト「HIROBA」が、第1弾シングルを昨年4月にリリースしました。音楽作品をはじめ、水野さんが尊敬するアーティストやクリエイターとの対談、テキストコンテンツなど様々な表現活動を模索していくと言います。その第1弾コラボは、小田和正さんとでした。私は全く今まで知らなかったんですが、先週見た小田さんの年間活動記録DVD『LIFE-SIZE 2019』(会員限定)で初めて知り、すぐにアマゾンで取り寄せて聴いてみました。「YOU (with 小田和正)」水野さんと小田さんとが世代の枠を越えて向き合い、長い対話を重ね、約半年間にも及ぶ制作期間を経て完成した珠玉のバラードです。またカップリングには、二人のやりとりのなかで一度は未完成のまま廃案になりかけていた楽曲を、自分の言葉を、自分で歌う経験をしてほしい」という小田さんの思いを受けて、水野さんが最後まで完成させた「I」を収録。まさに決意表明ともとれる歌詞を、水野さんが歌っています。この曲の完成に至るまでの険しい道のりを、水野さん自身が「HIROBA」のウェブサイトの中で、4回に渡り語っていました。ここでは、いろいろな人との対談やエッセイを読むことができます。⇒コチラです

 まずこの曲の始まりは、2017年の冬に遡ります。水野さんが「委員会バンド」の一員として毎年出演している小田さんの音楽特番TBS「クリスマスの約束」の本番日に、無事収録を終え、会場内で行われた小さな打ち上げの席上。乾杯を終え、出演者たちで記念写真。なごやかな空気の中、水野さんは一人だけ、緊張でそわそわとしていました。まるで恋の告白を控える少年のように…。別れ際、覚悟を抱いて、その背中にかけた、ひと声が、「一緒に曲をつくってくれませんか」 一瞬、驚いた顔をしたが、小田さんは即答で「おお、いいですよ」と。

 小田さんに「一緒に曲をつくってくれ」と頼むことは、作品作りという根幹において、小田さんに頼ることにならないか?そこを甘えてしまっては、小田さんに出会ってからこれまで13年間経験させてもらってきたことを、むしろ反故にしてしまう気がすると思って、そのたぐいの話は一度も口にしたことがありませんでした。安易に踏み出してはならない。ゆえに、これを頼むことは水野さんにとって決して小さな出来事ではありませんでした。曲づくりを始めてから完成まで、はたして6カ月もかかってしまった制作期間のなかで、多くの言葉を交わしながらも、小田さんが水野さんに投げかけていたことは、このたったひとつの問いに集約されていました。「理由は、なんだ?」そもそも、ひとりで詞も曲も書いてきたお前が、一緒に曲をつくってくれと言ってくる理由はなんだ。これまでそれを口にしなかったお前が、踏み出した理由はなんだ。「こっちは、(水野のなかにある)その“理由”に応えなきゃいけないんだからな」その“理由”に答えていく旅が、YOU」「I」の曲作りだったのかもしれません。

 以前、藤井フミヤさんが「クリスマスの約束」のテレビ収録現場で、はしゃぐ後輩たちに向かって言ったことがありました。「お前らはさ、小田さんが優しくなってからしか知らないんだよ。昔の小田さん、めちゃくちゃ怖かったんだからな!」もちろん冗談めかして話していましたが、あながち大げさでもなく、小田さんは、少なくとも近寄りやすい存在ではなかったはずです。難攻不落の“オフコース城”」なんても言われていましたね。

 小田さん自身もそう当時を振り返って笑っていましたが、テレビをはじめメディアに出ること自体が少なく、インタビューなどでもあまり多くを語らず、ブレイクしてからも、他のアーティストと交わるようなことも少なかったと思います。孤高という言葉のほうが似合っていたでしょう。それでも、ずっと小田さんはたった一人で旗を振っていました。絶対に弱音は吐かない。人のせいにもしない。言い訳もしない。ただ懸命に、懸命に旗を振っています。そんな小田さんのひたむきな姿から何を受け取るか?それが水野さんの命題でした。

 「歌うと変わらざるを得ないだろうなとは思ったんだよ。そこを通ってほしかったんだよね。一緒に何かをやろうってなったときに、何よりもまずは(水野に)“歌を懸命に歌わせよう”と。それは最初に思ったよね」「もっと歌と近くなって、本人が本人の書いた言葉で、本人の声で歌うっていうことを、ちゃんと体験してほしかった」 これが小田さんの正直な思いでした。

▲実にいいバラードでした

   完成間近まで行って、小田さんの判断もあって、ストップしてボツになりかけた曲があります。あの曲を最後まで書いて、ひとりで歌って、完成させます」  小田さんが経験させようと思ってくれたことに、自分も応えなければならない。自分のために、与えてくれた課題。それには、あの曲で自分なりに答えを出す「でも、この曲は小田さんと向き合うことに意味がある。だから一緒に歌ってください」なかなかにしびれる時間だった。数分の会話でのやりとりだったと思う。小田さんは頷くでもなく、静かに聞いてくれた。そして一言。俺は無し(=水野がひとりで歌う)をおすすめするけどね」と笑って席を立ち、ブースに入っていき、マイクの前に立ってくれました。そこら辺のやりとりが映像として公開されています。小田さんと向き合ってつくった曲のタイトルを「YOU」とし、そして一人で最後まで完成させることを選んだ曲のタイトルを、あえて「I」にすることにしたのです。

 この曲は、「初回生産限定盤」(CD+DVD)と「通常盤」(CDのみ)の2形態でのリリースで、私の買った「初回生産限定盤」の付属DVDには、水野さんと小田さんのスペシャル対談や、緊張感と熱意に満ちた貴重な楽曲制作のやりとりを垣間見ることができるレコーディング・ドキュメンタリー映像が収録されていて、とても面白く観ました。一部は映像として公開されています。小田さん特有の美しいハモリ追っかけコーラス、も健在です。♥♥♥

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