「多義語」の学習

 英語の勉強は、まず単語を覚えることが基本です。私は英語の勉強の8割までは「単語力」だと思っています。来年から新しく始まる「共通テスト」では、試験時間の80分はそのままで、「センター試験」と比べて大幅に単語数が増加して(1,000語以上)、極めて忙しい試験となっています。すると余計に「語彙力」が重要なものとなってきますね。

 その英単語の中には、たくさんの意味をもった「多義語」(polysemous word)があります。これらの多くの意味を丸暗記して済ませようとする生徒が多いのですが、それは得策ではありません。⇒コチラcapitalの例を述べましたのでご覧ください   私は教室で生徒たちに、「多義語の意味は必ずどこかでつながっている。その核心部分を押さえるようにしなさい」と強調しています。丸暗記では、すぐに忘れてしまいます。大学に入学したものの、高校時代に覚えた英単語は全部忘れてしまった、ということになりかねません。

 最近の雑誌『ENGLISH JOURNAL』5月号(アルク)が、その「多義語」の特集を組んでいて、実に面白かった。そこで取り上げられた単語は、barでした。英和辞典によれば、①棒 ②柵 ③酒場、バー ④法廷 ⑤弁護士 ⑥(音楽)小節線 といった複数の意味を持っています。多岐にわたる複数の意味を持ち、しかも一見したところでは、異なる意味の間に何のつながりもないように思えます。しかし元々は、12世紀後半にフランス語から借用され、当時は「(門などを固定する)横木、かんぬき」などの「棒状の物」を意味していたことが分かります。その棒状の物で土地などを囲うフェンスを作ったことで「柵」という意味が生まれ、その柵のような棒状の仕切りでカウンターがよく見られる「酒場、バー」の意味が生まれました。同様に裁判官席や弁護士席や傍聴席を仕切るための横棒の仕切りがあることから、「法廷」やそこで職務を行う「弁護士」を指すようになりました。また音楽用語として、楽譜で小節と小節を分け隔てる「小節線」の意味でも用いられています。このようにbarという語が経てきた歴史をたどることで、バラバラだった意味の間に結びつきを観察することができるのです。さらに、このようにbarを理解することで、barrier(棒状のもの→障壁)、barricade(障害物)、embarrassment(棒の中にいる状態→気まずさ)、embargo(障害の中に→禁輸)、barrel(樽)、barracks(バラック)、barbell(バーベル)などが、芋づる式に理解できるようになりますね。実に楽しい。

 先日、英作文の教科書に、An elephant has a long (              ).「象は鼻が長い」という英文で、trunkという単語が出てきました。なかなか難しい問題ですが、そもそもtrunkには、①木の幹 ②象の鼻 ③胴体 ④かばん、トランク といった意味が載っています。これも木の幹と象の鼻の形が似ていること、そしてそれを人の「胴体」にまで発展させたことが見えれば、易々と覚えることが出来ますね。生徒がそれをうまくイラストに描いてくれたので、早速写真に撮っておきました(写真上)。異なる意味のつながりは決してランダムなものではなく、その間には必ず何らかの類似性や隣接・共存関係が存在しています。でも問題は、「かばん、トランク」の意味とのつながりがどうしてもよく見えませんね。勝田ケ丘志学館の授業では、それを考えて見るように宿題としたところ、次時に解決してくれました。英単語をこのような観点から学習することで、丸暗記とは全く違った定着度が生まれるということは、私の長年に渡る指導経験からも明らかです。昨年、勝田ケ丘志学館では、竹岡広信先生『必携英単語 LEAP』(数研出版)と、清水建二先生『英単語の語源図鑑』(かんき出版)の二冊を使って、このような単語の学習を進めましたが、一定の成果が得られました。今年も続けています。私は日頃、英単語の学習の鉄則は、「反復+α」だよと、強調しています。♥♥♥

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