「ラストラン」

 日本ミステリー界の重鎮・西村京太郎先生(90歳)が生み出した人気キャラクター“十津川警部”“亀井刑事”が、時刻表や鉄道にまつわるトリックを解明し、事件の背後に潜む人間ドラマを浮かび上がらせていくテレビ朝日の人気シリーズです。1979年にスタートし、昨年3月に70作という大きな節目を越え、今回が第72弾「十津川警部の“ラストラン” JR札沼線廃線を撤回せよ!殺人容疑者籠城 東京~北海道1200キロ、究極ダイヤトリック!!新十津川駅で待つ女 」で、日曜プライムで昨日7月26日(日)に放送されました。2000年の第34作から主人公・十津川警部役で主演するのは、高橋英樹さん(76歳)です。舞台は、北海道・新十津川町。この春、“ラストラン”が大きな話題となったJR札沼(さっしょう)線“日本一最終列車が早い駅”として鉄道ファンに親しまれてきた新十津川駅が登場します。

 実は、十津川警部新十津川町の間には、浅からぬ“縁”があるんです。実は、新十津川町は、十津川警部の名前の由来である奈良・十津川村の住民が、明治時代に水害を逃れて移住し、築き上げた町です。原作者の西村先生十津川村では「観光大使、今回の舞台である新十津川町でも「応援大使」を務めておられ、十津川警部とは切っても切れない“深い縁”で結ばれた場所なんです。しかし、40年以上の歴史を誇る『西村京太郎トラベルミステリー』シリーズで、十津川警部新十津川町に降り立つのは今作が初めてのことです。原作は西村先生『札沼線の愛と死 新十津川町を行く』(ジョイノベルス、2017年)。この3月には文庫本が発売され、西村先生ご本人の「あとがき」が収録され、十津川村新十津川町への思いが語られています。下の最新文庫本(実業之日本社文庫)の帯で予告されていた「今春放送」は、新型コロナウィルスの影響でロケが遅れたために、今までずれ込んできたのです。

 最新作では、大学教授が刺殺される事件が発生。捜査を始めた十津川警部と亀井刑事(高田純次)は、防犯カメラに映っていた男が北海道・新十津川町に住む生産者・赤池庄五郎(松尾 諭)であることを突き止める。赤池は、被害者とともに研究を行っていた准教授・早瀬由美(黒谷友香)や、研究を支援するバイオ関連会社社長・中園宏司(中村俊介)の幼なじみだった。その後、故郷の新十津川町に戻った赤池は猟銃を手に町役場に立てこもり、“札沼線”廃線の撤回を要求。赤池の暴走を止めようと駆けつけた由美をかばい、十津川は銃口の前に立ちはだかる緊迫の場面も。新十津川で青春を過ごした男女3人の愛と友情、そして多くの人々の思いを運んできた札沼線の運命がからんだ、切なくも悲しいミステリーが展開していきます。推理小説の鉄則、「一番犯人らしくない人が犯人」です。

 やはりなんと言っても、今作「十津川警部のラストラン」の最大のみどころは、この春、一部廃線となった札沼線と、それに伴い駅としての役目を終えた新十津川駅がふんだんに登場することでしょう。札沼線は、札幌市中央区の桑園駅から新十津川駅まで76.5キロを結ぶ路線で、1935(昭和10)年に全線開通し、この春、北海道医療大学~新十津川の区間が廃止となり、85年の歴史に幕を下ろしました。新十津川駅は出発便が午前中の1便のみのため、“日本一早い最終列車が出る終着駅”として、鉄道ファンに愛されてきましたが、札沼線の区間廃線にともない、廃駅となりました。今作では、その引退を迎えた札沼線新十津川駅でロケを敢行。作品ではその姿を、美しい映像の中にノスタルジックに閉じ込めました。

 初めて新十津川町を訪れたという高橋英樹さんは「奈良の故郷から100年以上前にこの地に移り住んだ人々の思い、そして今、素晴らしい町になっている現実…。そこに歴史を感じました。そして、とにかく町の方々がやさしくて素晴らしかったですね」と、町の歩みに思いをめぐらしつつ、温かくロケ隊を迎えてくれた地元の人々にしみじみ感謝「私が少年の頃、新十津川駅と同じような風景の駅がたくさんありました。懐かしい、いい時代だったなぁ~と思いました。そして札沼線はたくさんの人々が乗り、みなさんの思い出が詰まった線だと思います。地域の交通として大切な役割を担ってくれた札沼線、本当にありがとう!!」と、ねぎらいの言葉を送っておられます。

 高橋さんは人生は線路に似ているんですよね…。果てしなく続く先に何があるのか、どんな人生が待ち受けているのか…。青春の夢を線路に託した男女がラストランを迎えて…彼らがどんな運命をたどるのか、(台本を)読んでいて、とても楽しみでした。のどかな地域を走る札沼線。そこに生き、そこに育ち、大人になっていく若者たち。彼らの人生に待ち受けるものとは…!? ロマンとサスペンスが詰まった大変面白い作品だと思いますので、ぜひご期待ください!」と、語っておられました。

 以下は、今回のロケにあたって、高橋さんが語った思いです。「人生は線路に似ている」はまさに名言でした。80作への強い思いも語られていて、ファンには嬉しい限りでした。

 札沼線が廃線になってしまうドラマが作れないか、ということで実現したのが今回の作品。ロケ中もたくさんの鉄道ファンが写真を撮りに来ていましたね。私が少年の頃は、新十津川駅と同じような風景の駅がたくさんありました。札沼線は、のどかな田園地帯のど真ん中を走っているんですよ。そこを電車が走る姿がまたいい! 郷愁に駆られて、私も山ほど写真を撮ってしまいました(笑)。

 車社会になって、利用者が減ってしまったとはいえ、札沼線は地域の交通として大切な役割を担ってくれた。たくさんの人々が乗り、皆さんの思い出が詰まった線だと思います。そういうローカル線が、廃線になってしまうというのも、移りゆく時代を感じさせますが、かつてここに線路を敷いた先人たちがいて、そのおかげで便利になって、豊かになって、今があるということを忘れてはならない。昔を思い起こすことも大事なことだな、と思います。

 今回は、新十津川町出身で、札沼線に乗って学校に通い、友情を誓った男女3人(演じるのは黒谷友香、松尾諭、中村俊介)が登場します。2人は大学進学を機に上京。1人は地元に残って農業を継いだ。そんな彼らに何があったのか。どんな運命をたどるのか、ロマンとサスペンスが詰まった大変面白い作品だと思います。

 人生は線路に似ているんですよね…。どこまでも続く線路の先に何があるのか、どんな人生が待ち受けているのか…。乗り換える路線によって行き先が変化し、風景も変わっていく。それを十津川警部がひも解いていく「トラベルミステリー」とは、本当によくできた作品だと思います。人間の生き方についての教えみたいなものも散りばめられていると思うので、犯人探しを楽しんでいただきながら、何か感じていただけたらうれしいですね。

 新十津川町の景色が映し出されるだけで十分伝わるものがあるんですよ。我々はその場にいるだけでいい。ロケの良さを改めて感じました。それくらい、なんとも言えない雰囲気のあるところでした。それに、新十津川町が全面的に協力してくださって、町長さん以下、たくさんの方々がロケに参加して下さいましたし、撮影に合わせて特別に札沼線も走らせてくださり、本当にありがたかったですね。そういうリアルな人情も含めて、いいドラマになった、と感じています。

 歴史は、時代劇で歴史上の人物を演じることも多かったですから、そのたびにどういう人物だったのか掘り下げたくなって、そこから歴史そのものに興味を持つようになっていったんです。その人物がどういうところで生まれたのか? どういうところに住んでいたのか?というのも気になって、地理にもだんだん詳しくなって。私、性格的に「何それ、教えて」と、なんでも興味を持つタイプなんですね。それが積み重なっている感じですね。私も元気の秘けつはそれだと思います。いまだにいろんなことにすぐ興味が湧くので、退屈しないですね(笑)。

 正直、昨年の70作目でキリよく終わるんじゃないかと思っていたんですが、今回、72作目を放送できるのは、うれしい限りですね。このシリーズは、撮影に電車を使ったり、地方ロケがあったりで、時間もかかりますし、大変なこともあるのですが、その分、撮影でお世話になった地方の方々との交流はかけがえのないものですし、しんどい分だけ一緒に作り上げる喜びは大きい。こういう作品が残ってくれたらありがたいですね。純ちゃん(亀井刑事役の高田純次)とのコンビネーションもいいですし、ほかのレギュラーメンバーもみんな仲が良いので、できる限り続けたい。80作を目指したいですね

◎前代未聞の変更が…

 JR北海道の全線の約半分(48%)が単独維持が困難な路線であることは、佐藤伸之『JR北海道の危機 日本からローカル線が消える日』(イースト新書、2017年)で詳しく紹介されていました。今春の札沼線の一部区間廃線の動きもその流れに沿ったものでした。実は、この札沼線、鉄道界でも前代未聞のことが起きていました。札沼線北海道医療大学~新十津川間の「ラストラン」の日が、なんと二度も変更されたんです。当初はゴールデンウィーク最終日の5月6日を予定していました。全国からたくさんの鉄道ファンが来ることを見越しての設定でした。しかし新型コロナウィルスの影響(東京など7都道府県に緊急事態宣言が発令)などで、4月27日に早めると発表しました。その後、緊急事態宣言の対象地域が全国に拡大された上、北海道も特定警戒都道府県に指定されたために、廃止は4月17日に繰り上げられることが発表されたんです。しかもこの決定は、前日4月16日の午後8時に発表されたんです。そんなギリギリ直前に言われても、遠方の鉄道ファンは手の打ちようがありません。こうやって殺伐として詰めかける鉄道オタクの人たちを遠ざけることで、感染拡大を見事に封じ込めたのです。♥♥♥

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