おりづるタワー再訪

 被爆75年の今日ここで我々は(中略)二つのことを目の当たりにしています。一つは、75年は草木も生えないという予言に抗い、広島がこのように誇るべき復興を遂げているということ。もう一つは(中略)核兵器廃絶が、残念ながら未だ遠い現実であるということです(広島県知事の平和式典での挨拶)

 被爆後75年、広島に出ると私が必ず訪れる場所があります。「原爆ドーム」の隣にある「おりづるタワー」という施設です。「おりづるタワー」は、世界文化遺産である「原爆ドーム」と、広島市最大の繁華街に隣接した場所に位置しています。私は初めてここを訪問したときに感動しました。⇒その時の詳しいレポートを報告しました。ぜひご覧ください コチラです

 「おりづるタワー」は、広島市の中心部にある地上14階、高さ51.5mのビルディング。「原爆ドーム」のすぐ隣にあったオフィスビルを改築してできた複合商業施設です。「平和記念公園」「原爆ドーム」など、周辺の景観に配慮された落ち着いた外観で、ハード、ソフトともに世界遺産のある広島の象徴となるような建物として2016年9月にオープンしました。緑に隠れて原爆ドームをそっと見守っているようにも見えるこの「おりづるタワー」の館内は、1階に「カフェ」「物産館」、12階と屋上部分が「おりづる広場」「ひろしまの丘」といった観光施設となっていて、それ以外のフロアはオフィスや貸会議室となっています。上に上がるにはエレベーターかまたは、スロープを歩いて上がります。前回はエレベータで上がったので、今回はスロープを使うことにしました。スロープは結構きついんですが、壁にはさまざまな壁画が描かれており、目を楽しませてくれます。

 「原爆ドーム一帯を訪れる方に、雨風がしのげる『おもてなしの空間』をご用意したい。」「原爆の悲惨さだけでなく、復興や希望、未来などの『広島の豊かさ』を感じられる場所をつくりたい。」というコンセプトで造られています。コンセプトの背景にあるのは「原爆による悲劇と復興」です。「おりづるタワー」の建設・運営に携わる広島マツダは、1933年に当時原爆ドーム一帯に位置していた猿楽町で創業。しかし、1945年の原爆によって、社屋はもとより全社員を失うという悲劇に会います。原爆による悲劇を乗り越え、広島の復興とともに成長を続けた広島マツダは、2015年には創業83年をむかえました。「創業の地で、地元広島の皆様や観光に来た方へ、原爆の悲惨さだけでなく、広島の復興や未来、希望を感じて頂く場所を作りたい。そして、広島の地で活動し続けていくことで、広島から受けたご恩を返していきたい。」そんな思いが「おりづるタワー」には込められているのです。

 まずはおりづるタワー屋上階へ。時間は夕暮れの少し前がいいでしょう。この場所からの広島の夕陽は最高にきれいです。「ひろしまの丘」と呼ばれるこの屋上フロアは、ウッドデッキの展望スペース。「丘」という名前のとおり、ゆるやかな勾配にスロープや階段がつくられているので、気に入った場所に座って屋上からの景色をのんびりと眺めることができます。周囲は風がそのまま通り抜けられるよう開放的な設計となっていて、北には広島城、西側すぐ目の前には「原爆ドーム」、南は「平和記念公園」と天気のいい日には宮島の弥山まで見渡すことができます。「おりづるタワー」訪問の魅力の一つは、ここからの「原爆ドーム」の眺め。地上からみた「原爆ドーム」の姿はたびたび目にすることがありますが、「原爆ドーム」を上から眺める機会はここでしか味わえないでしょう。上から見ると、建物の中には、崩れた壁のようなものが思った以上に残っていることがわかります。

 「おりづる広場」「おりづるタワー」12階にあるワークスペース。ここにはおりづるにちなんだ映像で遊べるデジタルコンテンツや、広島の戦後の復興を表現したCG映像などのコーナー、原爆の爆心地を目の前に見下ろす展望スポットなどがありますが、メインはなんといっても「折り鶴体験」。おりづるカウンターでオリジナルのおりがみを購入(入場券とセット購入も可能)し、さっそく「折り鶴」にチャレンジしてみましょう。鶴の折り方は、おりがみセットや卓上のモバイルでも説明映像があるので、苦手な人、久しぶりでも大丈夫ですよ!この「おりづるタワー」のシンボルともいえるのが「おりづるの壁」。おりづる広場で折った鶴を、平和への想いや祈りを込めながら、このタワーの壁際の隙間に入れるのです。外から見ると、これまでに投入された無数の折り鶴がおりづるタワーの壁面に沿って積み重なっているのがわかります。いつの日かそれが全面を覆い尽くせば「おりづるの壁」は完成するのです。鶴が完成したら、それを持って「おりづるの壁」の屋内側の窓際へと移動します。さん、にい、いちで、折り鶴を手放すとき、誰もが心を鎮めて心の中でカウントダウン。それはこの「おりづるの壁」の中には、静謐な、特別な空気が流れているからかもしれません。これらのコンテンツが戦争の悲惨さや、平和に対する想いを直接的に訴えかけてくる事はありません。しかし、楽しんでいるうちに、自然と平和を祈願しているというのは、このタワーのコンセプトを最大限に伝える、大変優秀な企画ではないかと思うのです。

 で、問題の入場料ですが、1,700円です。外国人の方や遠方からの旅行客であれば「せっかくだから」と払わない金額でもありませんが、市民の方が2度3度行くには躊躇される金額です。実際、料金が高いと言う声が多く寄せられていて、入場者数も伸び悩んでいるそうです。しかし、この建物は、周辺が「広島平和記念公園」なので景観も配慮しての事もあると思いますが、派手さやきらびやかさでのごまかしが一切ありません。コンセプトからブレない企画とデザインが施された、とてもすばらしい施設だと思います。「おりづるタワー」を作った広島マツダの妥協を許さない信念を感じる施設です。大抵の商業デザインは、即効力のある大衆性や派手さがが優先されがちですから。「おりづるタワー」が今後多くの人に、長く愛される施設であるといいなーと思うのです。みなさんもぜひ「おりづるタワー」に足を運んでみてください。

 新型コロナウィルスの感染拡大による緊急事態宣言の発令を受けて、「おりづるタワー」は、4月13日から5月末まで休館しました。連休中に再び訪問したいと思っていただけに残念です。お客さんや従業員の安全を考えると、やむを得ない苦渋の選択でした。♠♠♠

 

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