地蔵かつぎ

 私は推理小説マニアでしてね、高校生の頃からずっと読み続けています。高校時代は、エラリー・クイーン(Ellery Queen)の国名シリーズ、XYZシリーズをのぼせて読みました。大学生になると、アガサ・クリスティ(Agatha Christie)の推理小説が面白くて、洋書ペーパーバックを全部揃えて読破しました。当時、三島房夫先生や故・大谷静夫先生から、87分署シリーズエド・マクベイン(Ed McBain)の面白さを教えてもらい、これも全冊読んでいます。アール・スタンリー・ガードナー(Earl Stanley Gardner)ペリー・メイソン物も、手当たり次第読んでいきました。何か副産物はありましたか?ですって。英語の語彙力がついたことと、テレビの2時間サスペンスドラマの冒頭でだいたい犯人が分かることぐらいですかね〔笑〕。教員になってからは西村京太郎、島田荘司、法月綸太郞、綾辻行人、折原 一、津村秀介さんなどの著作にのぼせて、みんな読んでいます。西村先生の初期の鉄道物、津村さんのアリバイ崩し、島田さん以降の新本格派ものはゾクゾクしながら読んでいました。昨年は、峰 隆一郎という推理作家の作品(鉄道ミステリーで現在は絶版)に偶然出会い、各地(松江・出雲・広島・東京)の「ブックオフ」で見つけては、他は「ブックオフオンラインショップ」で手に入るものは全部取り寄せて、ほぼ全作品を片っ端からむさぼり読みました。実に面白かった。

 その峰 隆一郎(みねりゅういちろう)さんの、昔の推理小説『横浜外人墓地殺人事件』(立風ノベルス、1992年)を読んでいると、「地蔵担ぎ(かつぎ)」なる殺人方法が出てきました。

 「若い女が久利子を殺せますかね」「殺せるね、“地蔵かつぎ”という技がある。これは素人にだってできる技だ。紐を手にして、後ろから久利子に近づき、紐を久利子の首に掛ける。そして体をくるりと回す。体をまわすことでによって紐は交差する。背中にかつぐ。この紐は絶対に抜けられない。暴れることもできない、背中が急に重くなると死んだということだ。声もあげることができないだろう。おそらく知美は久利子を地蔵かつぎで殺したんだろうね。これだと、相手の顔を見なくてもいい。殺すほうも比較的に楽だろうね」(pp.108-109)

 おそらくこの若い女が犯人だろうと、そう決めてかかると、若い女は久利子を殺せるのだ。“地蔵かつぎ”はむつかしい技ではない。簡単に誰にもできる技である。稽古せずにできる技でもある。この技を使えば男だって殺せる。紐が顎のしたに入ってしまえば、どうにもならないのだ。もしかしたら、知美はこの技を望田に教えられたのかもしれない。二、三度、稽古すればできる。なによりもいいことは久利子の顔を見ないですむことだ。(p.111)

「ええ、久利子さんは知りすぎた女だったようです。自分たちが勝手に利用しておいて、邪魔になったら殺すんですからね。望田はあたしに“地蔵かつぎ”という技を教えました。これだったらきみでも簡単に殺せるって。人を殺すのに簡単なんですからね。あたしは引き受けました。どうせ望田も殺すつもりでしたから、望田のために何かしてやろうと思ったんです」(p.211)

 昔は、お地蔵さんを運ぶにも人の手に頼っていました。お地蔵さんの首に縄をくくりつけて、背中合わせに背負っていました(写真右参照)。石ですから結構な重さがあったと思います。この要領で、生身の人間の首に縄をかけて、同じような格好で背負うと、ちょうど首を吊ったようになります。後ろ向きに背負うというスタイルそのままに、被害者の前頸部にマフラーやネクタイなどをかけて、後ろ向きに担いで絞める殺害方法です。「地蔵担ぎ」では、首つり自殺と共通して、死体の前頸部に帯状の皮膚変色が残り、死因は頭部圧迫による窒息死となります。巧妙に首つりに偽装することもできるわけです。⇒コチラに殺人テクニック「地蔵かつぎ」のイラストがあります    一つ、勉強になりました。本を読むことは、こういった新発見がついてくるので、やめられません。♥♥♥

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