英語のなぜ?

 最近、伏木賢一(監修)『「英語のなぜ?」がわかる図鑑』(青春出版社、2020年7月)という面白い新書が出ました。英語を勉強する中で、素朴な疑問のようでいて、実は英語の核心をついた80項目を扱っています。英語を学び始めた初心者の頃に抱いた疑問は、それらを一つ一つ紐解いていくことで、英語の世界が広がっていきます。私はこういうことを大切にしたいと思っているんです。

 かつて、松江北高では、3月になると、先輩の先生方から受け継がれ長年の伝統であった「学問探究講座」というのがありました。こんなことをやっていたのは島根県でも松江北高だけで、赴任早々、さすがに伝統校は違うなあと思ったのを覚えています。1年生3月の数日間早朝に開催され、先生方が自分の得意な分野をちょっと深掘りして取り上げていたんです。「源氏物語を読む」「ビートルズを歌う」「楽器を弾く」「陶芸」「数学の定理を深掘り」など、実にユニークな講座が開設されていましたっけ。生徒たちは自分の希望する講座に登録して出かけます。いかにも北高らしい行事だったんですが、受験に関係ないということで、とり潰されてしまいました(実は受験にも大きな関係があったと思っています。私はあのあたりから北高の迷走が始まったように感じています)。私は最後まで反対を貫きました。こういうことが、現場教師を育て、生徒たちの学問への興味のきっかけとなったり、大学選びの動機となり、日頃の教科の勉強に及ぼす波及効果が大きい、疑問を大切にする姿勢を育むことにより大学に進学してからも大きな違いを生む、と固く信じていたからでした。当時の私は、毎年「英語のなぜ?」と題して、日頃疑問に思うような英語の事項を取り上げては、一緒に考えてみようという講座を開設して、結構人気だったんです。当時、受講し終わった生徒たちが書いてくれた感想を挙げてみますね。そのときに使った私の講座の資料の一部を見ることができます。⇒コチラです  懐かしや、学問探究講座!!

普段は英語は大嫌いだけど、すごく楽しくて、この時だけは英語を好きになった。/話を聞いて英語っておもしろいなと初めて思った。/すごくタメになりました。/英語の授業では学べないようなことを教えていただきました。とても興味深い内容で、わからないことをはじめて知るワクワクを感じました。/とてもためになり楽しい講座だったので来年の1年生にも受けて欲しい。/とてもいい時間が過ごせました。もっと早い時期にこの授業を受けたいです。/とても有意義な3時間でした。来年の1年生のみでなく、時間が許すのなら2年生も行ってほしいと思います。/とてもためになった3日間だけにすごく残念です。英語が好きになりそうです。/自分の知らなかった英語の不思議をたくさん知ることができ、とても楽しく興味深かった。3日間では短すぎると思った。/普段の授業や勉強で聞くことができなかった興味深い話を知ることができ、これからの学習にも意欲がでた。2年次も実施して欲しい。 (原文ママ)

 私は英語の勉強の「面白さ」「奥深さ」を伝えて、ずっと勉強を続けてもらいたい、単に大学入試のためだけではなく、大学に行っても、社会人になっても、一生英語を学び続けてもらいたい、そのための基礎を築く授業だと思って精一杯やっています。「単語の記憶」に、語源学習を取り入れるのもそのためです。点さえ取ればそれでよし、といった教育には与したくありません(もちろん力をつけるから、点も取れるようにはしますが)。私は「生徒の心に火をつける」のが、教師の役割だと思っていますので。

 今年も昨年に引き続き、「勝田ケ丘志学館」では、授業の冒頭に、そんな生徒たちが抱く疑問を自分で調べて解決する、という時間をとっています。輪番制で毎時間報告をしてもらっています。最近の話題は、(1)Iはなぜ大文字か?、(2)joinとjoin inの区別、(3)世界の分数表記、(4)betweenとamong の区別、(5)同一人物・事物の最上級にtheがつかない理由、(6)shouldに「万一~」の意味が出る理由、(7)「人」を表す-er/-or/-istの違い、(8)No.はなぜこのような表記になった?、(9)this morningにinが付かない理由、(10)canとbe able toの違い、(11)prefer/superior/inferior/senior/juniorがthanではなくtoを取る理由、でした。実に面白い!今の大学生が、こういうことに興味を持って勉強しているのでしょうか?近年の教育実習生を見ていると、悲観的になりますね。♥♥♥

 相手が答えを出す前に、先に指導者が答えを言ってはいけない。これは、鉄則だ。「答え」をこちらが与えるようであれば、選手は考えなくなる。いつも手とり足とり指導されていたら、自分で考えることができない人間になってしまう。選手が試行錯誤するのをじっと見守り、自力で答えを出すまで待つことで、その選手も本当に成長していくのだ。

 先に答えを言わないことの利点は、他にもある。じっくり時間をかけて待っていると、どんな人間も仕方なく自分で答えを導き出すものだ。やっとの思いで考えた結果を選手が口にするとき、そこに思いもよらない視点が提示されることがあるのだ。   ―野村克也『問いかけからすべてはじまる』(詩想社新書、2020年8月)

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