小説と観光地

 新大阪17時05分発、天橋立行きの特急「文殊1号」が、途中の大江駅を発車してすぐ爆発を起こし、脱線転覆した。何者かがプラスチック爆弾をしかけていたのだ。狙われたと思われる乗客の弁護士夫妻が死亡し(裁判で原告に有利な証言をしてくれる人に会いに行く途中だった)、多くの負傷者が出た。十津川警部は、その事件の一ヶ月前にも、箱根湯本で車が爆破され、男が殺されるという似た爆破事件があったことを知る。プロの殺し屋=爆弾魔による殺人事件の可能性が……。犯罪の影に女あり、と言うが、東京・巣鴨のバーのママが犯人と何らかの関係があるのではないか、と見た十津川警部が動き出す。ママの郷里は「大江山いく野の道の遠ければまだふみも見ず」と歌われた若狭の天橋立だった。殺し屋への依頼人は誰か? 正体を現さない犯人の影を、十津川班の捜査陣が追う 長編トラベルミステリーです。

 大好きな西村京太郎先生の、「天橋立」「城崎温泉」を舞台にした推理小説『若狭・城崎殺人ルート』(実業之日本社文庫、2019年)なんですが、私はどちらも訪問して、よく知っているので、余計に感情移入して読むことができました。やはりその土地を知っていると、なぜか親近感が湧いてきますね。こうやって旅行していた当時を振り返ることもできますからね。♥♥♥

 定刻の午前十一時二三分に、「はしだて一号」は、天橋立駅に着いた。とにかく、十津川たちは、列車を降りると、駅の改札口を出た。洒落た造りの、明るい感じの駅である。駅前には、文殊の知恵を表した、丸い輪の記念碑が建っている。(p.102)

 私が最近のぼせて読んでいる梓 林太郎(あずさりんたろう)さんの『姫路・城崎温泉殺人街道』(ジョイノベルス、2015年)にも、城崎温泉の描写が出てきます(下線は八幡)。駅前の風景です。

 城崎温泉の駅舎は瓦葺きの和風だ。観光客らしいカップルが、バッグを床に置いてスマホを見ながら話し合っている。目当ての場所を地図でさがしているのだろう。駅の横には城崎温泉の旅館が奉納した名入りの下駄がずらりと並んでいた。(p.57)

 小仏と御堂が乗った電車は、城崎温泉に着いた。旅行鞄を提げた人たちが駅舎を出ていった。冷たい風が頬を撫でた。御堂は、駅前の下駄奉納の棚に見とれていた。七、八十足はあるのだろう。どれにも城崎温泉の旅館名が入っている。どれにも城崎温泉の旅館名が入っている。近寄ってみると鼻緒の色が黒、茶、白と異なっており、ひとまわり小さい女性用は赤やピンクだった。(p.244)

▲私が泊まった旅館です

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