模試のラッシュが始まりましたね。毎週のように模試が続きますから、「知力」だけでなく、「体力」勝負となってきます。忙しいので、この時期は模試も「やりっ放し」になりがちですが、そこで頑張った人とそうでない人との間には大きな差がついてしまいます。次に挙げるのは、松江北高で合格した生徒たちが語っていた言葉です。
◆そして、受験がいよいよ現実味を帯びてきた三年生の頃に大切していたのは、模試 の見直しです。これも月並みなことですが、受けた模試をそのままにせず、週末など時間がある時を利用して間違えたところを確認、復習することで少しずつ 力をつけていけたと思います。
◆私みたいに、何から手をつけたらいいか分からないと思っている人は、模試直しが 有効だと思います。私自身、週末課題として模試直しが出されると本当に面倒臭い と感じていましたが、その私でも180度考え方が変わったのだから、模試直しを やらない手はないと思います。
◆また、模試の見直しはした人だけが本当に得をします。
私が現役時代の松江北高では、模試に関しては、【1回目】 試験本番(悪戦苦闘!) → 【2回目】 解答・解説の配布(出来なかった問題の確認) → 【3回目】 見直しプリント(翌日)の配布(難易度・ポイントの再確認) → 【4回目】 答案返却(採点ミスはないかチェック) → 【5回目】「テスト直しノート」の作成(間違いに学ぶ) → 【6回目】 定期考査・課題テストで再出題(形を変えて再確認)、の6回のサイクルで「見直し」を迫っていました。⇒詳しくは「一粒で6度美味しい?!~模試の活用法」コチラをご覧ください。 「やりっ放しにしない!!」ことが重要です。生徒も教師も「やりっ放し」が一番いけません。でもこの「病気」、今でも結構現場に蔓延している気がしています。「やっておきなさい」で終わってしまっては、伸びることはまず期待できないでしょう。最近行われた模試の「見直しプリント」を「ダウンロードサイト」に登録しておきましたので、参考にしてください。
・2020年9月「進研・駿台共通テスト」見直しプリント (編)八幡成人 ⇒コチラで見ることができます
・2020年10月「進研・駿台記述模試」見直しプリント (編)八幡成人 ⇒コチラで見ることができます
・2020年10月「全統記述模試」見直しプリント (編)八幡成人 ⇒コチラで見ることができます
「見直し」が重要なことは言うまでもありませんが、もう一つ「共通テスト」模試では、自己採点の正確性が求められます。しかし実際には自己採点がデタラメです。私が指導している浪人生(松江北高補習科・勝田ケ丘志学館)でもそうですから、現役生はなおさらのことです。二桁違っている生徒もかなりいます。これも「やりっ放し」にされてしまうと、本番でとんでもないことになります。単なる数字と数字の照合だけですからきちんとやれば、誤差は0点が当たり前です。それなのに、一体なぜ「自己採点ミス」が起こるのか?私の考える主な原因は次の通りです。いずれも2回点検することで防げる凡ミスばかりです。
(1)問題を解く際に、自分の解答をきちんと問題用紙に転写していない。問題番号をずらしてしまう。不鮮明でどれにマークしたのかが読めない。消しゴムできちんと消していない。その結果、自己採点当日に自分の答案が再現できなくなる。
(2)問題用紙の解答を「自己採点用紙」に転記する際に写し間違える。もう1回点検することで防げるミス。
(3)正解と自分の解答を照合する際にうっかり○×を間違える。もう1回点検することで防げるミス。
(4)得点を小計、合計する際に手計算や暗算でやって間違える。電卓を使って、2回計算することで正確に合計できる。自己採点当日、電卓を忘れ手計算でいい加減にやっている生徒も目につく。
(5)解答用紙にマークする際に、決められたようにマークしていないので(形、濃さ、消し忘れ)機械が読み取れない。
某予備校のデータによれば、自己採点と実際の得点が一致しない生徒の割合は82%もあります。模試会社の公表によれば85%とも言われています。「横断歩道、みんなで渡れば怖くない」であってはなりません。成績が悪いことよりも、自己採点がデタラメなことの方が問題ですが、もっと問題なのは、それをきちんと理解してミスをなくす努力をきちんとしている生徒が非常に少ないという点です。学校も「きちんとしなさい!」とは言うけれど(そもそも自己採点の時は教員は教室にいません)、それ以上の手立てを講じようとはしません。いかに正確な自己採点が重要かは、受験指導を長年やった先生なら、よくよく分かっておられることでしょう。英語の「センター本試験」の分布で、平均点付近で2点違うとどのくらいの順位が違ってくるのかを、同僚の正村 修先生に計算してもらったことがあります。それによれば9,504人です。長文問題1問6点違うと、28,621人です。どうです?馬鹿にならないことが一目瞭然でしょう?たった1問でこれだけ順位が異なってくるのです。模試の判定でも、自己採点がデタラメ状態では、デタラメな志望校判定結果しか返って来ません。ましてやこれが本番となると…?この恐ろしさを生徒にきちんと伝えて、毎回追跡をかけて、限りなく自己採点ミスを0点に近づけていく努力を怠ってはなりません。「当たり前のことをバカになってちゃんとやる」(ABC)ということです。現場では「忙しい」と称して、こうした努力を行っていない学校が数多くあります。私には本末転倒の「言い訳」としか思えません。生徒の自己採点を信じて、二次出願を行う訳ですから、そこをきちんとしておかないと、ボロボロと取りこぼしが出てくるでしょう。まず「自己採点」の意義とやり方をきちんと生徒に伝え、教員がきちんとついて自己採点を行う。結果が返却された時には、追跡をかけてその精度を高めていく。長年、担任&進路部長を務め、毎年校内データ追跡をしながら痛感したことです。
今からもう20年も前に、島根県立大田高等学校で、私が進路部長を拝命し(2000年~2002年)、上で述べたような「見直し」や「自己採点」などの「当たり前」を徹底したところ、国公立大学合格者が飛躍的に伸びたことからも、その重要性がお分かりいただけることと思います。当時は全国各地の高等学校から学校訪問が相次ぎ、毎日対応に追われてめちゃ忙しかったことを覚えています。♥♥♥
■国公立大学合格者数の推移(島根県立大田高等学校)
1998年 68人
1999年 66人
2000年 94人
2001年 103人
2002年 96人
2003年 88人
2004年 92人
2005年 66人
2006年 92人