ダミーの「キズ」

 「共通テスト」で、正しい選択肢を選ぶためには、「原文典拠の法則」(判断の根拠は必ず本文に求める、何となく選ばない)を忠実に実行する事が大切です。そして正解の選択肢「同一内容異表現の法則」(本文と同じ内容のことが違う表現で書いてある)に従って選びます。ここまではみなさんやっておられることでしょう。

    ここでもう一つ、誤りの選択肢(ダミー)間違っている箇所(私は「キズ」と呼んでいます)を確認する習慣をつけると、ずいぶん力がつくことが経験から分かってきました。これを続けていると、「出題者の誤りのダミーの作り方」が見えるようになってきたと生徒たちが言います。模試の得点が飛躍的に伸びた生徒もずいぶんいます。誤りの選択肢の理由をしっかりと確認していく中で、出題者が、大雑把に言うと二種類のダミーの作り方をしていることが分かってきます。(1)記述なし(そんなことはどこにも書かれていない)(2)巧妙な「スリ替え」のどちらかです。先日のオンライン講演(⇒コチラです)でも触れたことですが、(2)のスリ替えには主に10のタイプが見られます。私の『2017年英語センター対策本』(改訂13版)をお持ちの方はp.117をご覧いただければ幸いです。

❶ 人物・事物のスリ替え 
「...と私は言った」⇒「先生は ...と言った」
❷ 肯定・否定の逆転   ※選択肢の否定表現に注意し、プラス・マイナスのイメージをチェック
「常識は役立つ」⇒「常識を使うことはできない
❸ 時間・場所・頻度の副詞要素のスリ替え
「そこに行く前に」⇒「そこに行った後で
❹ 数量表現・数量のスリ替え
ほとんど知らない」⇒「よく知っている
❺ 因果関係のスリ替え
「AゆえにBである」⇒「AなのはBだからだ」
❻ 条件関係のスリ替え 
「XならばYである」⇒「XであるのはYの場合である」
❼ 過度の一般化(断定)と過度の限定(「極端の法則」) 《頻出》
極端な単語・強い限定語句を付加して誤りの記述を作る
❽ 事実と比喩のスリ替え 主観的表現 
事実を「~のようである」とすり替える
❾ 前半○後半×のパターン  《頻出》
正しい前半部に誤った描写を付加して間違いの記述を作る
★ 「タンコブ型」(本文には書かれていないあるいは誤った「余分な情報」(=タンコブ)がくっついている)
❿ 故意の取り違え
本文中の語句の意味をわざと取り違える
(例)fine「罰金」→「立派な」    company「仲間」→「会社」

 絶対に何となく選ばずに、本文に根拠を求め確信を持って選択肢を選ぶことが大切なんです。そのためにも単語の力は絶大です。「共通テスト」のみならず「二次試験」内容一致問題題では、不正解の選択肢が、なぜ間違いなのかを考えることで、ダミーの選択肢の成り立ちがわかり、見抜けるようになっていきます。例えば「all」や「never」や「always」などの単語を使用した、極端で強い表現を含んだ選択肢は誤りであることが多いようです。ダミーが見抜けるようになると、問題の見方も変わってきます。演習や模試で量をこなしながら、自分で分析してみてください。灘高の木村達哉先生もダミーの分析の重要性を語っておられました。⇒コチラです♥♥♥

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