「肉食の犬」

 「肉食の犬」という今西 章(いまにしあきら)さんの可愛いパケット・トリックを手に入れました。「3匹の子豚」ならぬ「4匹の子犬」が織り成す、実に愉快なストーリーです。可愛い絵柄のピクチャー・パケットは、必ずや、観客の心を掴むことでしょう。

 マジシャンは、まず4匹の子犬と「おいしそうな肉」が描かれたカードを観客に示します。その犬が、1匹ずつ、次々と消えていなくなってしまいます。犬はとても可愛いので、誘拐された可能性も!?しかし、肉のカードを表向きにしてみると、肉は子犬たちによって食い荒らされ、完全に食い尽くされています!エサの肉に釣られて子犬が続々と移動してしまう、というスト-リー・パケットです。これは今西さんが長年に渡って演じ続けてきたペット・トリックを今回初めて、商品化して公開するものです。可愛い犬が登場する段階から、観客の注目度は抜群で、「絶対にウケるマジック」の1つと言ってよいでしょう。

 一般的なカウント技法や、基礎的なカード・テクニックをいくつか使用していますから、初心者には向きません。ある程度マジックを手掛けている方なら、さほど難しくはないでしょう。オンライン動画により、手順や動作が詳しく解説されています。ノーエキストラの5枚パケットで、エンディングは完全にクリーンに全面を広げて見せています。各カードにいたはずの子犬たちは、ことごとくいなくなっていて、肉のカードも、犬が集合して肉は骨だけになったカードに変わっているわけです。最後に出てくる子犬たちは4匹とも絵が異なっており、イラストも手が込んでいます。エキストラカードを一切使用せずにこの現象を達成するため、面構成をギリギリまで活用して構成した巧妙な手順です。非常によく考え抜かれた傑作に仕上がっています。

 ストーリー展開の着想や流れとしては、マジックランドの傑作「ジョーカーズファミリー」 などと似たものとも言えます。また、犬のイラストは既存の画像素材などではなく、このために特注でわざわざ描いてもらったもので、とても可愛くデザインされています。「肉食の犬」というタイトルとのギャップがまた、面白いところです。カードのクォリティーも優れており、最近再発売された南部信昭さんの「幻覚のESP」(⇒私の紹介はコチラです) と同じタイプのプラスチック・カードですから、耐久性抜群、末永く使うことができます。

 この可愛らしい絵に負けないマジック演出にするために、どんなストーリー仕立てにするかを考えてみるのも楽しみなところです。工夫したり、個性を出す前にまず演技動画を見ながら、解説通りに出来てからがスタート地点でしょう。尊敬するマジックディーラーの清水一正さんだったらどんなひねりを加えて演じられるだろうと想像したりもします。清水さんの手にかかると、あのテンヨー作品が全く別次元のものに生まれ変わってしまうから不思議です。♠♣♥♦

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