『最新日米口語辞典』

 40年以上にわたるベストセラー、エドワード・G・サイデンステッカー・松本道弘『最新日米口語辞典』(朝日出版社)の待望の改訂版が登場しました(初版は1977年、増補改訂版が1982年に出ています)。この辞典の主な特長は次の通りです。
●表現の羅列ではなく、読んで楽しめる辞典
●堅い書き言葉ではなく、日常使いの口語表現を採用
●使う際の指針となるような、ニュアンスや使い分けを説明
●実際に使いたくなるような例文付き

 この辞典の担当編集者が、辞典の魅力を総括しておられます。

たいへん好評を博した“読む辞典”『日米口語辞典』の最後の改訂から40年近くがたち、私たちを取り巻く社会情勢は大きく変わりました。私たちが日ごろ使う言葉にも浮き沈みがあり、この度、増補改訂版を刊行する運びとなりました。あまり使われなくなった語は思い切ってカットし、逆に、新しく定着した語や、インターネットなど新しい生活様式を反映した語など、300語あまりを加えました。例文も、現代の生活にそぐうよう、徹底的に手を加えました。今、私たちが発信したい言葉が、例文付きで、「これでもか」というくらいたっぷり盛り込まれた辞典です。

 個人的には、「読んで楽しめる辞典」というのが一番の魅力だと感じています。読み物としても面白いんです。例えば、この辞典で「二刀流」を引いてみましょう。


にとうりゅう[二刀流] a two-way player
大谷翔平という野球スターの誕生以降、さまざまな場面で見聞きする機会が増えた「二刀流」という表現。何らかの競技の選手について言う場合は、見出し英語が合う。日本語見出しは元々、両手に刀を持って戦う剣術の流派を指し、宮本武蔵の剣術として有名である。元来の意味での「二刀流」は次のように表現できる。
In kendo, adults are allowed to fight using two bamboo shinai sticks.
(剣道では、成年者には二刀流が認められている)。
また、両手に一つずつ武器を持って戦うスタイル全般をdual wieldingと言う。wieldとは「(剣などを)振るう」の意。手に持つのは刀でも剣でも銃でもよい。なお、最近あまり聞かなくなったが、ひと昔前は酒と甘いものを両方好む人を指して「二刀流」と言ったが、この場合は簡単に次のように表せる。
He likes alcohol and sweets, so he can enjoy both.
(彼は二刀流で、酒も甘いものも両方好きだ)。
◆大谷翔平選手は投打の二刀流で今のところ成功しているが、元祖二刀流はベーブ・ルースだった。
Shohei Ohtani is succeeding as a two-way player who can pitch and hit, but the original two-way player was Babe Ruth.

 その他の取り上げられた新しい項目例としては、次のようなものが挙げられます。

あおり運転/アバウトな/歩きスマホ/安全神話/案の定/いいとこ取り/イクメン/一発屋/インスタ映え/上から目線/裏技/エッジのきいた/おざなりな/落としどころ/オレオレ詐欺/温度差/格差 など


 注目は、この辞典に載せきれなかった、松本先生の「斬れる英語」の補遺を見ることができます。これも大変勉強になりますよ。⇒コチラです

 その昔、松本先生『和英辞典も知らない英単語スピーキング』(ワニの本、1981年)という新書を読んで感銘を受けました。和英辞典にも載っていない「斬れる英語」のオンパレードでした。こんな難しい表現を、英語ではこんなに簡単に表現できるんだということで、ずいぶん英語に対する考えが揺さぶられたのを思い出します。難しい事柄をいかに簡単な英語で表現できるかが、本当の英語の力なのだ、ということを松本先生に教えていただきました。この本には、尊敬する故・渡部昇一先生が推薦の言葉を寄せておられたので、余計に親しみを覚えたものです。


   「しゃべる英語の発想が身につく!」  上智大学教授 渡部昇一

 入学試験によく出る単語・熟語というのがある。入試はいろいろな制限のもとに行われるので、「よく出る」単語や熟語がどうしてもきまってしまう。ところが入学試験によく出るものが、日常の会話によく出るか、というと必ずしもそうではない。

 日常の会話にも便利でよく出る言い方というのがある。しかし、これは入試のものとは重ならないものが多いのだ。入試によく出る単語や熟語を統計的によく整理して教えてくださる先生が、よい入学指導の先生である。

 会話によく出て、しかも有効な言い方を体験的に見つけて教えてくれる人としては、現在の日本では松本道弘氏が第一人者である。

 これからの人生の中で、英語を使う局面に出会うことを予期して努力しようとしている人には、ここにあげられた表現をマスターすることが、絶対に必要である。


 松本先生の若かりし頃の、通訳者としての原点・苦労話を回想しておられる『アメリカ大使館★神といわれた★同時通訳者 英日・日英通訳のカミワザ』(さくら舎、2019年)も面白く読みました。難訳・和英「語感」辞典』(さくら舎、2018年)も、この辞典同様、面白い読み物となっています。♥♥♥

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