鈴木孝夫先生亡くなる

 言語社会学者の鈴木孝夫先生(すずき・たかお、慶応義塾大学名誉教授)が、2月10日、老衰のため東京都内の施設でお亡くなりになりました。94歳でした。慶応大文学部で言語哲学者の井筒俊彦に師事。米エール大など欧米各国の大学で研究、客員教授を務め、慶応大教授、杏林大教授を歴任。1973年刊行のデビュー作『ことばと文化』(岩波新書)で、言語が文化や社会構造に強く規定されていることを論証、日本語と日本文化の特質を示し、ベストセラー&ロングセラーとなりました。自然環境にも造詣が深く、環境保全を訴え、「日本野鳥の会」の顧問も務められました。また、英語教育について、詰め込み型をやめて発信型の英語が身につく教育に改めるべきだと主張し、こうした考え方を実践しようと慶應大学の湘南藤沢キャンパス(SFC)の設立に関わったほか、新書『日本人はなぜ英語ができないか』など、英語教育をはじめとしたことばの教育に関する書籍も多数執筆されておられます。言語と文化をめぐる深い洞察に基づき、米国模倣・英語万能のグローバル化を批判。日本語の国際化と日本文化の発信強化を主張されました。環境保全に関心を払い、資源の浪費や物の使い捨てを戒めて「ミニマム生活」を提唱しておられます。

 私が大学生の時に読んだ デビュー作『ことばと文化』(岩波新書)は、日本語が日本の文化や社会構造といかに切り離しがたく結びついているかを、世界の諸言語と比較しながら平易に説いたものでした。ことばの問題を文化と関係づけて幅広く扱うような類書が、それまでありませんでした。ちょうど国際化ということが言われ出した時代状況もあって、需要とうまく合ってベストセラーになったものと思います。今も版を重ねています。私が英語とその文化に興味を抱くきっかけを与えてくださった運命の書でした。虹の色は何色?、太陽の色は?象は物を忘れない?鼻の描写など、ページをめくる度に、興味深い英語の世界へと引き込まれていったものです。みなさんも、是非読まれることをオススメします。鈴木先生は以下のように述べておられます。

この本が出てからもう40年以上になります。日本は、世界で最も恵まれた国の一つになりました。ただ、欧米の文化と何でも同じにしなければと考える人がいまだにいるのは残念なことですね。日本人はもう少し、自分たちは欧米の文化と違う、だからいいんだ、という見方も世界に対して出していくべきだと思います。

 松江北高では、校長先生がご退職になる際には、図書館に多額の寄付をされる伝統があるんですが、それを活用して、鈴木先生の過去の著作を全部購入したのもいい想い出です。言語の勉強に興味を持ってくれる生徒たちには、格好の入門書となりました。合掌。😢😢😢

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