『大学入試共通テスト徹底分析』

 初めて行われた「大学入学共通テスト」における、「センター試験」からの主な変更点は次の通りです:①すべてが読解問題となり、全体の語数も約1200語増加した。 ②メールやウェブサイト、プレゼン用のスライド作りなど、ありとあらゆる素材文が登場した。 ③文字情報と図表などの情報を組み合わせて答える問題が大きく増加した。 ④「事実」と「意見」の区別を問う設問が導入された。 ⑤ふさわしい選択肢を2つ選ばせる問題が登場した。 ⑥イギリス英語が出題された。

 今回の「大学入学共通テスト」(リーディング&リスニング)に関して、私は2月27日(土)に行われたオンライン講演「2022大学入学共通テストに求められるチカラとは~大学入学共通テストの問題分析の報告と指導事例」(ラーンズ主催)において、こんなことを述べました。

 今回の「共通テスト」リーディング・リスニング全ての問題を通じて、最も難しかった問題を取り上げてみましょう。誰が何と言おうと、間違いなくこのリスニング第6問Bが最も難しかったと思います。私が教えている生徒でいつも満点を取る女生徒がいますが、彼女もここを間違えて100点を取ることができませんでした。4人の会話を聞いて「レシートの電子化」に賛成した人数を答える問題です。ここで音声を聞いてみましょうか。―音声― 4人が入れ代わり立ち代わり何度も発言する、誰が誰なのかが分かりづらい、スピードについていけずにメモを取ることができなかった、英語が聞きづらい面があった(おそらく日本人の英語だと思います)、そして1回しか読まれないので、といった要素が重なってみんな間違えたのだと思います。センター試験、試行テストでは登場人物は3人まででしたから、人数が多くなった会話の聞き取りも視野に入れて対策していくことが必要でしょう。こういった入り組んだ会話では、与えられたメモ欄を上手に活用することも練習しておきたいですね。

 3月になって、ベネッセコーポレーションから『2021年度大学入試共通テスト徹底分析』という冊子が届けられました。私は毎年この冊子が届く度に、センター試験の自校の問題別正答率と照らし合わせながら、生徒の強みと弱みを分析していました。それによって次年度の課題が浮き彫りになってくるのです。今回のこの問題に関しては、この冊子によれば全国の正答率は、A層(上位層)17.9%、B層(中位層)9.3%、C層(下位層)7.4%で、全体ではわずか11.2%、上位層でも正解率が低かったことが分かります。私が予想したように、次々と繰り広げられる会話を基に情報を整理し、要点を把握するという難しい作業が求められたために、このような低い正答率になったのです。

   さらに、私はこんなことを言っています。

 今回の「共通テスト」のリスニングのNo.5の問題でalmostの用法が問われました。「バス停にいるalmost everyoneが帽子をかぶっている」という文章です。選択肢の①は5人全員が帽子をかぶっている、②は5人中4人が帽子をかぶっている、③は5人中1人が帽子をかぶっている、④は誰も帽子をかぶっていません。almostという単語は「もうちょっとで~になる」けれどもちょっとだけ足りない、という意味です。選択肢の絵を見ると、5人中1人だけ帽子をかぶっていない人がいる②の絵が正解になります。「もうちょっとで全員になる」という感じですね。実は、2019年のセンター本試験、2回行われた試行テストで計4回もこのalmostが出題されていました。私はこれは大学入試センターからのメッセージであるとして、そこら中で何度も注意を喚起してきました。今回はからずもその予言が的中したわけです。こういった基本単語の理解も重要であることを教えてくれた出題でした。

 この問題も上位者との差が顕著についた問題でした。全国の正答率は、A層(上位層)93.8% B層(中位層)70.7% C層(下位層)23.4% 全体71.3%と、上中位層と下位層とで大きく差がついていることが分かります。このように、

 今回の「共通テスト」の自己採点用紙を回収して、設問ごとの正答率を出してみますと、みんなが共通して間違えている問題があることが分かってきます。その問題をここにリストしておきました。それぞれの問題には間違える理由が必ずあります。それを分析するのです。間もなくベネッセから、設問ごとの正答率、誤答分析をした冊子が届くと思いますが、これと照らし合わせながらみなさんの学校独自の分析をお願いします。(オンライン講演より)

★「やりっ放し」にしない!!

 この冊子をご覧いただくと、私のリストした問題が、軒並み低い正答率になっていることが読み取れます。 オンライン講演でもお話した通り、ヨマイの法則」で、ミトリ(=分析)⇒ナビ(=学習)⇒カシ(=活用)」の原則に沿った評価を行っていけば、次なる改善につながっていきます。生徒も教員も決して「やりっ放し」にしないことです。⇒私の解説「やりっ放しは御法度」コチラです  この冊子を有効に活用して、自校の分析に活かしたいですね。私は毎年こうやって、反省と次年度への課題を積み上げているんです。

 最新の『蛍雪時代』4月号は、特集「大学入学共通テスト全容解明」を組んでおり、「出題分析&2022年最速予想」の記事が参考になります。中でも、尊敬する竹岡広信(たけおかひろのぶ)先生(駿台予備校・学研プライムゼミ)の分析記事が特に勉強になります。先生方はぜひお読みください。♥♥♥

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