『基礎と完成 新英文法』復刊!

 朗報です!私の恩師である故・安藤貞雄先生(広島大学名誉教授)1976年市河賞、2006年英語語法文法学会賞、2008年瑞宝中綬章〕の名著『基礎と完成 新英文法』(初版1984年、改訂版1987年、数研出版)が復刊されることになりました。この本は安藤先生が、高校生向けの文法参考書として書かれたものです。若い頃に私も協力をさせていただいた、思い入れの強い学習参考書なんですが、その「前書き」に私のことを「若い友人」と書いて頂き感激したのを覚えています(詳しいご紹介は⇒コチラをご覧ください)。他書にはないキラリと光る説明が随所に見られる、八幡イチオシの文法書です。現場の先生方の間でも、非常に評価の高かった学習文法書です。ただ残念なことに、版元の数研出版では絶版となっており、入手することができませんでした。私が米子東の「勝田ケ丘志学館」で教えていた女生徒二人は、どうしてもこの参考書を手に入れたいと思い、アマゾンで5,000円近くも出して手に入れたくらいです。二人とも本番試験ではいい点を取り、志望校に合格しました。この参考書が、4月26日【新装版】として、開拓社より発売になります。安藤先生の息子さんから連絡があり教えて頂きました。

 英文法を体系的かつ合理的にとらえ、著者の“考える英文法”の視点が全巻に一貫して流れている本です。安藤先生はこの本の後に、大著『現代英文法講義』(2005年、開拓社)を上梓されています。その内容が凝縮されているとも言える本書は、高校生用に書かれた学習参考書ではありましたが、大学生、英語教師、本気で英語を学び直したい社会人に最適な英文法書と言えるでしょうね。高校生向きの学習参考書とはなっていますが、 どうしてどうして、専門書の趣もある参考書です。ここら辺が他の学習参考書とは一線を画している点です。安藤先生の本らしく、現場の先生方には新しい知見が山のように詰まった、他のものとは一線を画する素晴らしい文法参考書なんです(今私の手元にある現物には第18刷とありますから、よく売れたことが分かります) 。たとえば、「なぜ綴り字yをiに変えるのか」「なぜ母音字+yの場合はyをiに変えないのか」「なぜ<短母音+子音字>ではなぜ子音を重ねるのか」「ではthickはなぜ子音を重ねずそのまま-erを付けるのか」、高校生が暗記に苦労する「no more than, not more than, no less than, not less thanなどの意味のいわれ」「ifとunlessの違い」「a friend of mineとmy friend の違い」などがサラリと分かりやすく書かれています。教員が読んでもずいぶん勉強になる本です。deersheepといったいわゆる「単複同形」の単語を、「これらの動物は、群をなして生活しているので、集団として、いわば”量的”にとらえられるので複数形をもたないのである。cows(牛)、hens(めんどり)、monkey(さる)などは、”個性”を認められて、-sをとる」といった具合です。この本がいよいよ再刊されます。復刊されたら、是非ご覧になってみてくださいね。

 いまここに、会誌』第20号(愛媛県高等学校教育研究会英語部会、1983年)のコピーがあります。今から30年以上も前の会誌です。ここに恩師の安藤貞雄先生(文学博士、広島大学名誉教授)が、英語教師の文法研究」と題して講演をなさった記録が収録されているのです。その講演の中で、 安藤先生は私のことに触れてくださっておられます。


 英語の研究法ということでは、まず、私の島根大学時代の教え子のY君のことをお話ししたいと思います。彼は、まだ29歳の若さですが、既に英語語法関係の論文を十数編書いており、東京外語大の竹林教授に認められて色々と辞書の項目を執筆しています。Y君の勉強ぶりは本格的なもので、そのことは、外国の学会の会員になったり、海外の学術誌に載る第一次論文にもよく目を通していること、内外に多くの学問上の知己を持っていることなどで窺えると思います。彼はまた良い教師でもあります。Y君はよくAsahi Evening News のAnn Landersをcorpusとして利用していますが、あそこへ投書する人の英語が必ずしも良いとは限らないということを承知の上で、あれを一月分位集めるとかなりの資料になると思います。それを(パソコンでも利用して)あらゆる角度から分析していけば、平均的なアメリカ人の日常英語の生態が浮かび上がって来るかもしれません。(p.4)


 これを読ませていただいた当時、飛び上がって喜んだのを思い出します。そして、この講演の最後を、安藤先生の描く「理想の英語教師像」で結んでおられます。私の講演でも、時々紹介させていただいていますが、この言葉を肝に銘じて、今まで一生懸命にこれを実践しようと頑張ってきました。残念ながら足元にも及びませんでした。これからの若い先生方に託したいと思います。


a.  教え方が上手であること―これは大切である。日本語も英語も、いい発音で明快に教えないと生徒に十分理解させることができないからである。

b.  生徒にえこひいきしないこと。

c.  叱るべき時には叱る(怒るのではない)が、意地の悪い叱り方をしないこと。

d.  生徒に親切で思いやりがあること。

e.  生徒の質問にごまかさずに誠実に答えること。自信をもって答えられない場合は、十分に調べた上、のちほど報告すること。(生徒に誠実でありたいと思うならば、このような措置は当然であろう。)

f.  時には生徒と平等の立場(footing)に立つこと―教師は生徒を教え指導する立場では、権威をもって、生徒より一段高い位置に立って差し支えないが(そのためには時には礼儀も敬語の使い方も教えなければならないことがあろう)、生徒が何かcriticalな状況にある時は、教師は「教師」であることをやめて、生徒と同じ(恐らくは「人間同士」という)footingに立って、“まごころ”をもって生徒の悩みと付き合う用意がなければならない。

g.  last but not leastには、教師は肝の奥底に何かゆるぎない信念を持っていなければならない―その信念が恐らくその人の人格を統一しているのであろうが、それが何であるかは、人によって異なっていてもいいのではないか。ただ、それは狂信的でない、理性と普遍性に裏打ちされたものであることが望ましい。(私の場合は、それは「生命の尊厳」という言葉で言い表せるように思われる。〔そこから、平和への決意も、ヒューマニズムも生じてくる。〕

 以上のような資質を兼ね備えた教師が私の「理想の教師像」です。それは、私にとっては、恐らく生涯かけても到達し得ない、にも拘らず、志向することをやめてはならないイデーなのです。


 思い起こしてみるに、安藤先生の教師としてのモットーは、一言で言えば、“a severe teacher and a kind friend”ということでした。当時の厳しかった授業風景を懐かしく思い出しますね。教員になってからも、先生にはずいぶん面倒を見ていただきました。本当に感謝しています。今私の手元には、安藤先生の博士論文 A Descriptive Syntax of Christopher Marlowe’s Language (東京大学出版、1976年)があるのですが、大学生のとき、この本が出ると同時に安藤先生の研究室を訪ね、サインをしていただきました。こんな高い本をよく買ってくれたね」と、喜んで下さったことを今でもはっきり覚えています。あの当時14,000円しました。このサイン本は今でも私の宝物です。♥♥♥

▲安藤貞雄先生の息子さんに提供していただきました

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