勝田ケ丘志学館の最初の英語の授業で、hobby=「趣味」、almost=「ほとんど」、sufficient =「十分な」ではないことを話しました。単語と訳語を一対一対応で覚えてしまうと危険なことが多いんです。受験ではそれで通用するかもしれませんが、私の目標は大学に入れることではないので、上のような安易な指導はしたくありません。ほとんどの単語集(一番売れている『ユメタン』も)に満足できないのは、こんなところです。私が唯一高い評価をしている単語集は、竹岡広信先生の『必携単語LEAP』(数研出版)です。そういうことに気がついてくると、米子東高校は、今まで『ユメタン』(アルク)を採用していましたが、今年から『LEAP』に採択替えになりました。松江北高(『音読英単語』(Z会)も新しい学年から検討中です。一語一語の単語に添えられた訳語を吟味してみると、両者には雲泥の差があることに気がつきます。学問的レベルが全く異なるのです。私は上記の単語などの抱える問題点を、このブログでその都度報告してきました。hobbyは決して「趣味」ではあ
りません。よく高校生がhobbyは音楽鑑賞・読書などを挙げますが、とんでもない話です。⇒私の解説「「趣味」はhobbyではない!」はコチラをご覧ください。almostは、今年の「共通テスト(リスニング)」に出題されましたね。センター試験・試行テストで短い期間に計4回も出題され、私が各所で注意喚起を行っていた単語です。⇒私の「「文法はやらなくてよい」か?!」をご覧ください。コチラです 同様にsufficientも「十分」とはズレています。私たちの『ライトハウス英和辞典』(研究社)が、次の用例を「彼の収入は家族を養うのには十分だった」とはせずに、「彼の収入は家族を養うにはどうにか足りた」としていることに注意してください。そのニュアンスに関しては、詳しくはコチラをご覧ください。
His income was sufficient to support his family.
ここで、sufficientを「十分な」と訳してしまうと、まるであり余るくらいの収入があるかのように聞こえます。この英文はそういう意味ではないと、私たちの編集委員のM.アルトハウス(M.Althaus)先生(津田塾大学)から教えていただきました。
Here, 「十分な」seems to have too positive a nuance. “His income was sufficient to ~” doesn’t really mean that it was plenty. “Sufficient” suggests that his income has enough for his family to get by on, even if they could not save much of anything, or live well.