『LEAP Basic』

 竹岡広信先生『必携英単語LEAP Basic』(数研出版、930円税別)が昨年出ました。中学英単語の復習から始める4技能対応型の入門編英単語集です。「英語が苦手」「中学校レベルの英語が固まっていない」といった生徒をイメージして、「情報を最重要なものに絞った」単語集です。初めに言っておきたいのは、他の英単語集によくあるように、親版『必携英単語LEAP』(私は今ある単語集の中では、これがベストのものと思っています。この本の私の紹介記事はコチラをご覧ください)を編集し直しただけの単なる簡約版ではないということです。全くの別物です。内容だけでなく、前著に比べて見出し語の活字も大きくなっています。初学者にとっては、「見やすさ」というのも勉強の意欲につながる大きな要素なんです。

 前著の『LEAP』同様に、語のニュアンス・覚えるための工夫・使うための解説が満載です。見出語の語彙難易度をCEFRレベルで明示。Part 1~3には頻出の熟語や定形表現・語法・注意すべき点などを掲載。全Partに語のニュアンス、暗記の手がかり(語源や語呂合わせなど)、重要な派生語、発音のコツ、前置詞のイメージ、などを掲載しています。ここら辺の記述は、竹岡先生ならでは親切な手引きとなっています。主な特長はコチラをご参照ください。カラー刷りの紙面は実に見やすくなっています。前著同様に『活用ノート1~3』が付属教材として用意されていますから、これに取り組むことで、内容理解を一層深めることができます。私は勝田ケ丘志学館で、この『活用ノート』を使って、単語学習⇒英作文の土台作りを実践しています。

 幾つか例を見てみましょう。almostという単語は、日本語で「ほとんど」と覚えるだけで、その正確なイメージをつかめていないために、間違いが起こりやすい単語です。そのことを問う問題が、センター試験、試行テスト、共通テストでも何度も出題されました。この単語集では、「ほとんど」と訳語を示して、~まであと少し足りない」という正確な注意書きが添えられています。また高校生が英作文でよく間違えるalmost all people「ほとんど全ての人」には([×]almost people)という注意書きが添えられています。「今雨が降っている」をIt is raining .と書けない生徒が高校3年生でもいます。It is rain.とか平気で書いてきます。It is rainy.も同じ意味だと思っている生徒が数多くいますが、注意が必要です。この単語集では、It is raining. 「(今)雨が降っている」◆ It is rainy.「(一日中)雨模様だ」と注意を促しています。 take part in~という熟語を「参加する」と丸暗記した生徒は、正しくこの熟語を使うことができません。「(何かの役割を持って)~に参加する」と理解して、初めてアウトプットにつながります。竹岡先生の豊富な受験指導経験が凝縮された記述ですね。似たような意味の単語を使い分けが丁寧に解説してある(例えば「起こる」「見る」「聞く」)のも、この単語集の特徴と言ってよいと思います。

 この単語集では「カタカナ表記」が採用されています。これに関してはいろいろなご意見があると思われますが、初学者・英語の苦手な生徒にとっては、発音記号は読めませんから、背に腹は代えられません。ただ注目したいのは、26の「発音の仕方の注意点」をコラムとして掲載してある点です。英語の苦手な生徒にこそ、ぜひ読んでもらいたい情報です。4種類の「音声データ」も活用したいですね。

 著者の竹岡広信先生が、『CHART NETWORK英語』No.92(写真右)に、この本の執筆に対する熱い思いを語っておられますので、ぜひお読みください。⇒コチラです  入門期に『必携英単語LEAP Basic』を用いて基礎を固め、必携英単語LEAP』につなげるというのが、私の描く理想の単語指導となっています。必携英単語LEAP』同様みなさんに広くオススメしておきますね。♥♥♥

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