基礎・基本の大切さ

 春になると、美しい花を咲き誇るみごとな桜の木も、冬には枯れ木のように葉っぱ一枚もありません。春になるのを待ち焦がれ、じっと待って下に下に根を張り、桜の花を咲かせる力を蓄えています。下へと伸ばした根っこが深ければ深いほど、根は大地から栄養分を吸い上げて、きれいな花を咲かすことができます。シドニー・オリンピック女子マラソンで金メダルを取った髙橋尚子(たかはしなおこ)さんに、高校時代の陸上部の恩師が贈った言葉をご存じですか?「何も咲かない寒い日は下へ下へと根を伸ばせ、やがて大きな花が咲く」です。最近、書き下ろしの岡本一志『ほとけさまと心がほっこり温まるお話』(王様文庫、2021年4月)の中に、同様の面白い話を見つけました。

 お経の中に、次のようなお話しがあります。
 ある金持ちの男が、友人の新築祝いに招かれました。友人の家は当時にはと
ても珍しく、三階建ての家でした。その三階建ての家から眺める景色は素晴ら
しく、男はその家に惚れ込み、自分も三階建ての家をほしいと思い、早速、大
工の棟梁に命じました。
 さて、数日たったとき、男は様子を見にいくと、大工たちが地面を掘ってお
ります。
 「おい、誰が地面を掘れと言った。俺は三階がほしいのだ」
 大工は困った顔をしていました。
 数日後、男が様子を見にいくと、今度は一階をつくっていました。
 「おい、誰が一階をつくれと言った。俺は三階がほしいのだ」
 数日後、大工たちは二階をつくっていました。
 「いい加減にしろ、何度言ったらわかるのだ。俺は三階をつくれと言ったの
に、もう、工事はやめだ」
 結局、三階建ての家はできなかったというお話です。
 このお話しは、基礎工事を無視して、上に高い建物を建てることはできない
ように、人生においても、しっかりとした土台や基礎が大切だということです。
 私たちは、とかく人が見上げる高い建物を建てたがります。他人から羨まれ、
あこがれられることを夢見て願いますが、もしそれを実現したいと思うなら、
もっともっとしっかりした土台が必要です。
 ところが、地表の下にしっかりとした土台を築くことには、あまり心が向か
わず、上に上に建物を建てることにばかり、心が向かっていってしまわないで
しょうか。土台がなければ建物は立ちませんし、仮に無理やり建てても、ちょ
っとしたことでガラガラ崩れる不安定なものにしかなりません。(pp.250-252)

 最近、勝田ケ丘志学館で10人に曜日名・月名を英語で書いてもらいました。中学校で学習した高校入試レベルの単語ですね。ところが、完全にできたのは2人だけ。松江北高補習科(上位層)では、8人に書いてもらい全滅。北高3年生理系早進度クラスで10人に書いてもらって完答はわずか1人だけ。これが今の受験生の実態です。中学校の基礎的な事項が定着していません。黒板に英作文を書いてもらっても、基本的な単語の綴り、時制(特に三単現)、単数・複数を間違えます。日本語の問題文を読まずに見当外れな答案も目立ちます。自己採点も然り。松江北高に私が赴任した頃は、4月~5月は一切教科書を使わず中学校の復習のみ。使う教科書も非常に簡単なものを採用し、何度も繰り返していました。これが北高の伝統だったんです。ちなみに昨年、勝田ケ丘志学館で、曜日名・月名を10人中完答した3人の生徒は、東北大・九州大・大阪大に合格しました。「基礎・基本の大切さ」を改めて噛みしめたいですね。

 かつて松江北高では、入学時は徹底して中学校で学んだ語彙・文法を復習するところから学習をスタートしていました。実はこれが後になってじわーっと効いてくることを実感していたからです。「中学校の基本単語」をもう一度確認しておこうという趣旨で、次のプリント(基本単語+基本動詞の活用)を配って注意喚起をしました。♥♥♥

・「中学校の単語復習」 八幡成人  ⇒コチラで見ることができます

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