さだまさし、エッセイスト・クラブ大賞に!

 

▲第69回日本エッセイスト・クラブ大賞受賞作

 今年で芸能生活48年を迎えたさだまさしさんの『さだの辞書』(岩波書店、2020年)が、「第69回 日本エッセイスト・クラブ大賞」を受賞しました。文芸作品等・創作を除く一切の評論、随筆等の中より、各関係方面の推薦を受け、日本エッセイストクラブに設けられた選考委員により選考がなされます。「1998年11月。岩波書店の『広辞苑第五版』に「目が点になる」が載ったとき、僕の仲間たちは一時騒然とした」―この事件がご縁になって、2018年1月〜2019年12月まで、岩波書店「図書」に連載した「さだの辞書」を単行本化したものです。2年間に綴った24編に、書き下ろしの1編を加えた珠玉のエッセイ集です。テーマは家族・故郷・ご先祖様、友・仲間・恩人、歴史・土地・希望、本・音楽・映画。ときに爆笑、ときに涙の三題噺で語っています。タイトルは「家族・故郷・ご先祖様」「三島・恩師・図書」「友・仲間・恩人」「本・音楽・映画」というように3つの話題が入ります。懐かしい思い出や現代への関心、次世代への期待に、さださんの温かな人柄とユーモアが、紡ぐ言葉にセンスが光ります。多芸多才の秘密も見えてくる本でした。6月28日東京都内で贈呈式がありました。さださんは、「照れくさいくらい力んで書いたエッセー。受賞できて本当に幸せ」と喜びを語っています。

 さださんの今までの人生の、知っている話、知らない話をあれこれと綴っています。コンサートでのMCを少し短め〔笑〕にまとめたものを読んでいるような気分です。そして美しい日本語を大切にしている文章。惻隠の情、飄然、吃驚などという言葉がごく自然に使われて、『さだの辞書』という書名にうなづけるような難解な言葉がいっぱい出てきます。でも文章がうまい。使う日本語がきれい。短く見事にまとめられ淡々と綴られた文章ですが、なぜか何度も泣きそうになりました。 「さくいん」が載っている珍しいエッセイ集です。そうか、「辞書」だからか?多才な人が多彩な人脈に恵まれ、年を重ねても自分を常にアップデートし続ける、生来の清廉さは失わないままで。歌唱力は一流、詞も奥深い、話も面白い、本まで書ける。興味が尽きませんね。

 テレビ番組「あいつ今何してる?」(4月21日放送)で、一人の高校生宝福了悌(ほうふくりょうてい)くんが、今から6年前に、さださんの日本語を卒業研究さだまさしに見る日本語再発見~現代日本語の問題点~」(72ページ)として取り上げてまとめたことが話題になりました。さださんの歌の詞の中に使われた日本語を緻密に分類・分析したマニアックな研究でした。さださん本人もビックリ、感心しておられましたね。その序文では、「さだまさしの詩はその情景を想起させるのに最適な言葉や古典文学からの引用を用いて、私たちの心の機微を表現する言葉を選択しているのではないかと考えるようになり、今一度日本語を見つめ直そうと思った。さだまさしの選択する言葉に比べ、現代日本人の用いる日本語は多様な表現を可能にする豊富な語彙を放棄したかのごとく少数の言葉で済ませてしまっている。このままでは世の中すべてを「やばい」で表現するような時代が来るのではないかと思い、その時に繊細な日本語は存在するのか不安になったため、日本語の素晴らしさを人々に広く伝えることを研究目的とする。」という内容が書かれていました。さださんの曲にはたくさんの言葉が散りばめられています。その語彙は古典文学などから語彙を勉強してその内容を歌詞に起こしていると感じたそうです。そこから日本語の素晴らしさを再認識したそうで、さださんの研究を始めたのがきっかけだったそうです。さださんは、今の日本語の「現状」についてこんな風に述べています。

 語彙が減るということは言葉で説明する方法を放棄するということ。暴力に繋がったり、切れたりする。言いたいことが伝わらないから逆切れする。

 さだまさし、歌手(シンガーソングライター)にして、小説家。そしてその小説のほとんどが映画化され大ヒット。映画監督(「長江」)。28歳にして28億の借金(金利を合わせると35億)。日本一のコンサート回数を誇る(4474回。6月からまた今年のコンサートが始まっています)。「夏・長崎から」を長崎で20年間無料開催。平和を願う「長崎ピースミュージアム」の建設。被災地を慰問活動する中で、「風に立つライオン基金」創設して医療・介護を支援。「高校生ボランティアアワード」まで主催。毎年1枚のオリジナル・アルバムを発表。コロナ禍でコンサート・音楽活動が日本中で止まってしまった中、採算を度外視して勇気を持ってコンサートを再開したのもさださんでした(41回のコンサートを一人の感染者も出さずにやり遂げられました)。「人のやらないことやる」精神に満ちあふれた人です。いつも私は、生徒たちに「人のやらないことをやれ!!」と檄を飛ばしています。♥♥♥

   Go where nobody has gone.(誰も行ったことのない所へ行け)
   Do what nobody has done.(そして誰もやらなかったことをやれ)

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